訴訟告知を活用した訴訟対応と専門商社のジレンマ

1.こっちが訴訟告知しはずが相手方の見方になる場合も・・

今般は、「企業法務のための訴訟マネジメント(笹川豪介氏編集)」を読んでみました。

早速ですが、本書で個人的に心に留まった箇所を以下の通り抜粋させて頂こうと思います。


訴訟告知は、告知を受けた者に、訴訟参加の機会を与えるものであり、訴訟に参加して自己の法的地位または法的利益を防御することができるメリットがあります。

告知を受けた者は、当然に参加しなければならないわけではなく、参加するか否かは自由に判断できます。また、立場によっては、告知人の側に参加することが必ずしも有益とは言えない場合もあり、告知人の相手方の側に参加することも可能です。



訴訟告知制度は知っておりましたが、こっちが訴訟告知して補助参加を促したはずが、相手方の見方として補助参加することも可能なんですね ((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル

訴訟告知を検討する場合は、上記(寝返り)リスクも考慮した上で判断したいものですね。

2.訴訟告知を活用した訴訟対応

私の所属会社のような専門商社が、サプライヤーから購入した製品を顧客に転売後、当該製品に不具合が発見されたとして、顧客から賠償請求に関する訴訟提起を受けた場合、製品に関する技術的な知見・資料・データを有していない商社が、サプライヤーの担当者に対して証人尋問を申し立てるを検討するケースがあります。

ただ、サプライヤーが証人となることについて非協力的な場合には、次善の策として、サプライヤーに対して訴訟告知をして、(半強制的に)訴訟の場に引っ張り出す選択肢も検討する必要がありますね。

サプライヤーとしては、当然、商社からの訴訟告知に応じない自由もあるわけですが、サプライヤーが補助参加を拒否後、商社と顧客間の訴訟で、サプライヤー起因の製品の不具合が認定された場合、その後、商社とサプライヤー間の訴訟となった際、サプライヤーは不具合の事実認定を否定することが出来なくなる為、商社から訴訟告知を受けたら、やむを得ず、参加せざるを得ない立場にあります。

3.商社のジレンマ

上記ケースにおいて、仮にサプライヤーが重要取引先の場合、商社としては、サプライヤーに訴訟告知をすることは、自身の訴訟に無理やり巻き込むことにもなりますので、その後の取引関係への影響を考えると、訴訟告知をするかどうか、なかなか厳しい判断を迫られます。

そこで、

(1)訴訟告知をすることで、サプライヤーとの他の取引に大きな悪影響が出るリスク
   (=機嫌を損ねたサプライヤーから、以後の製品供給を停止されることで、
      他の顧客に対する供給責任を果たせず、顧客からラインストップ等の
      補償請求を受けるリスク)

(2)サプライヤーに遠慮して、訴訟告知の選択肢を選ばなかった結果、
  顧客との訴訟に敗訴し、その後、サプライヤーに求償する訴訟をするも、
  証拠不十分で商社側が敗訴した結果、商社が単独で損害を負担することになった場合、
  株主代表訴訟を提訴されるリスク

等を総合的に考慮して、訴訟告知の要否を検討する必要がありますね。

不勉強な為、専門商社がサプライヤーに対して訴訟告知をするケースがどれほどあるのか
分かりませんので、今後、顧問弁護士にでも聞いてみようと思います。

[その他 本書で個人的に参考となった事項]
(1)2013年の弁護士照会申出件数は約14万件で、その内、照会に対する許否件数は
  約7千件と、約5%の拒否割合。
  ※拒否割合は、思ってたんと違い、結構低い。

(2)(忙しい)裁判官は、証拠説明書を非常に重要視している一方、弁護士は証拠の
   おまけ程度に捉えており、裁判官と弁護士の認識にギャップがある。

(3)ディスカバリー上、事実の存否を証明する情報でなくても、主たる証言・証拠の
   信頼性を低める為だけの弾劾証拠についても開示義務がある。l

(4)米国では、社内弁護士だけでなく、法務担当と役職員間のコミュニケーションも
   秘匿特権の対象となる。

(5)訴訟ホールドの指示を適切な時期に行わなかった場合、訴訟手続上、
  制裁(不利な事実の存在の推定等)を課せられることがある。
  
  ※定期的な訴訟ホールドの予行練習が必要ですね・・。
   日系企業で、予行練習している会社はどれだけいるのか気になるところです。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・ベトナム法務ハンドブック(第2版)
 曾我法律事務所


[本書で参考となった事項]
ベトナム法上、契約言語については、消費者契約等の一部例外を除いて
自由であり、外国語のみの契約も禁止されていない。

但し、企業法上、会社名を記載する場合は、外国語の契約書にも
ベトナム語表記の社名を記載する必要があるが、実務上、
遵守されていないことが多い。

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・キャリアデザイン入門[II]専門力編 第2版
 大久保 幸夫氏著作


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・若手法律家のための和解のコツ
 廣田 尚久氏著作


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「PL保険の求償権放棄特約」と「賠償責任制限条項」の関係に関する一考察

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

本年の個人的な抱負は色々とありますが、一言で言えば、先日、テレビで放映された映画「魔女の宅急便」にちなんで、キキ共々、

(´-`). 。 o O (落ち込む事もあるけれど、私この街が好きです。)
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と言える様、仕事に従事していこうと思います。

さて、お目出度い新年一本目の記事が、表題の

「PL保険の求償権放棄特約」と「賠償責任制限条項」の関係に関する一考察

なんて堅い話でいいのかというのはありますが、「書きたい時が書くとき」ということで書いておきたいと思います。



1.PL保険の求償権放棄特約とは?

PL保険に加入後、PL事故が発生して保険金を受領した場合で、そのPL事故の原因が第三者(例えば、部品サプライヤー)に責任がある場合、保険金を支払った保険会社は、被保険者の当該第三者に対する損害賠償権(求償権)を代位取得します。

PL保険について追加保険料を負担して「求償権放棄特約」を付けた場合、保険会社は、上記の通り取得した求償権を当該第三者に対して行使しないことになります。

2.賠償責任制限条項とは?

ご承知の通り、賠償責任制限条項とは、契約当事者の他の当事者に対する賠償責任を、所定の範囲(例えば、年間の取引金額の総額等、色々なバリエーションあり)に制限する旨を定めた条項です。

3.「賠償責任制限条項」がある場合に「PL保険の求償権放棄特約」を付けないと・・

例えば、当社とサプライヤー(A社)との基本契約書に「賠償責任制限条項」を定め、当社とA社間の取引において、A社の当社に対する賠償責任(瑕疵担保責任、PL責任、不法行為責任等、責任の種類を問わない)が発生した場合のA社の賠償限度額は、問題が発生した製品代金の総額を上限とすると定めていたとしましょう。

上記ケースで、当社がA社に製造委託して顧客に販売した部品に起因してPL事故が発生し、当社がPL保険に関する保険金を受領した場合を考えてみましょう。

上記ケースにて、当社が加入しているPL保険に「求償権放棄特約」を付けていない場合、「賠償責任制限条項」のある基本契約書は当社とA社間の二社間契約であり、保険会社は上記契約には拘束されないとして、保険会社がA社に対して求償権を行使することも想定されます。

そうなりますと、A社としては、上記基本契約書に関する取引にて、「賠償責任制限条項」に定めた賠償限度額を超える損害を負担したとして、A社が当社に対して、賠償限度額を超える部分の損害金額について負担を求めてくる場合もあります(PL保険の会社にも確認済)。

上記のように、折角、PL保険に加入していた場合でも、サプライヤーと「賠償責任制限条項」のある契約を締結していた場合、保険加入の効果が軽減してしまう場合もありますので、注意したいものですね。

(注)
ご加入のPL保険契約により、上記とは運用が異なる場合もあるかもしれません・・。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方(横張 清威氏著作)

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・製品開発メーカーのリスクマネジメント 失敗学からわかる部門別の留意点
 製品安全研究会 (編集)


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均質化の為にプレイングマネージャーが後輩のアウトプットをチェックすることの難しさ

私の所属している会社には法務専任の部門は無く、私は、法務以外の管理業務も職務分掌とする部署にて、主に法務担当として仕事をしています。

上記部署のトップは、これまでのキャリア上、特に契約法務には深く携わっていない非法務畑の方である中(まだトップ在任して1年未満)、私は、役職上は管理職であり、また、法務担当としては一番古株(10年目)ということで、中間管理職的な立場として、入社1年未満の後輩法務担当2名(両名とも在席1年未満で、法的知見はあるものの、入社するまで法務経験はほぼ無し)を指導する立場にあります。

上記状況の中、現在の課題としては、契約審査業務の質をどのように均質化させるのか、というところにあります。

1.チェックマニュアルの作成

全社配信用の営業担当向けマニュアル(契約知識の基礎:簡易版)だけでなく、部内限定の法務担当向け契約審査マニュアル(詳細版)は既に作成していて、後輩に配布しております。ただ、全てをマニュアルに書き出すことには限界がありますね。

部内における自分の相対的な優位性を残す為に、あえて全てをマニュアルに落とさないようにしている、なんてつまらないことは当然のことながら考えていません。ただ、「この修正内容であれば多分、社内承認が得られそう」と言った感覚的なところを全て書面化するのは難しく、どうしても暗黙知が残ってしまいます。この辺はOJTで学んで貰うしかありません。

2.部下・後輩の成果物を管理職がチェック

たしか、雑誌「ビジネス法務」2017年10月号の「法務部の生産性向上」の特集だったかと思いますが(もし、違う出版者の法務系雑誌だったとしたらすみません orz)、契約審査業務の質を均質化する為の方法の一つとして、法務部門の管理職が部下・後輩のアウトプットをチェックする、という方法が取り上げられていたかと思われます。(方法論と言うほど大げさなことでもなかったかもしれませんが。)

ただ、上記方法は、管理職が後輩指導に専念出来る程、余裕がある会社は十分可能かもしれませんが、(私のような)自分の仕事もたくさん抱えているプレイングマネージャーとしては、後輩の法務担当のアウトプットを丁寧に全てチェックしていくのは、なかなか厳しいものがあります。

個人的には、本当は、後輩に一人で任せても大丈夫と言える様になるまでは、じっくりとアウトプットのチェックをした上で(当然、マイクロ・マネジメントにはならない程度を想定)、さらに、私が担当している案件の契約に関する成果物を、勉強のために供覧して貰うことで、自分の案件以外にも触れる機会を提供し、私の背中を見て学んで欲しいなんてことを考えていますが、ギリギリの人員で回している状況下では桃源郷のような話ですね。そもそも、私のやり方が正しいのか、背中を見せられるほど、綺麗な背中なのか、背中にイボは無いのか、という根本的な問題がありますが、ここでは触れません・・。

法務部門に対する契約審査依頼に関する需要と供給が合っていない、需要過多の状況下において(要は仕事がちゃんと回っていない中)、個々の仕事を捌くだけを考えれば、本当はマネージャーである自分がやったほうが早いものの、自分だけではそもそもマンパワー的に対応し切れず、また、後輩の教育的効果を考えて、色々と後輩に契約案件を振るものの、当該案件について後輩が作成した成果物が、ダブルチェックの為に自分の手元に再びブーメランのように戻ってきて、ダブルチェックすべき書類が机に積まれていき、自分が担当している契約案件について営業部門から催促を受けるだけでなく、後輩からもチェック状況について催促を受けるという、なかなか厳しい状況に陥っております・・。多重債務者の気持ちが分かる気がしてきました。

とはいえ、当社としては、管理部門は筋肉質の少数精鋭部隊になるべしと目標を掲げている中(今はただ「少数」なだけなような気が・・)、これ以上、人を容易には簡単には増やせないので、後輩が一人前になるまでの間は、ドラゴンクエストの「作戦」コマンドでいえば、「とにかく頑張る」みたいな状況になっています。(注)


(注)
例えば、数年の短期限定ということで、法務担当を派遣社員として増やすにしても、上司の指導・教育が必要なレベルの法務経験の無い・浅い方(学費を稼ぎたい司法試験勉強中のロースクール生のように、法的な知見は高いものの、実務経験が無い方)を増やしても、キャパシティがオーバーしている私がダブルチェックをすべき案件が増えるだけで、法務部門全体としてアウトプット出来る量は増えず、即効性はありません。

そこで、少しの間、当社のやり方を教えれば、後は勝手に自己完結してくれるレベルの契約法務のベテランを増やす必要がありますが、コストの関係上、難しく、そもそも、そんな方が派遣市場に転がっていると思えません。



ということで、ダラダラ書いてしまいましたが、100%の均質化を目指そうと完ぺき主義にならず、全てのチェックは無理でも、最低限のポイントだけもチェックすれば良いのでは、ということで、ちょうど良いお湯加減を目指すしかありませんね。

また、これまでの対応方法をより効率化して、無駄を削ぎ落とし、均質化の為に時間を割ける余裕を作るべく、これを機に、仕事の進め方を再検討していきたいと思います。これまで少数法務でやってきたので、もしかしたら、意味の無いマイルールのような業務がたくさんあるかもしれませんので・・。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

仕事の問題地図 「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方
(沢渡 あまね氏著作)


[本書で参考となった事項]
外注化は、効率化、品質向上の他にも、属人化の排除、自己満足の排除にも役に立つ場合がある。

前例踏襲、謎のこだわりは捨てて、こだわる場所を再検討する。

<個人的なメモ>
今の自分の仕事で、コアな部分はどこで、外注化した方が一石二鳥な業務が無いかどうか、無駄な工数を割いている余計な業務が無いかを再検討したいと思います。

人がいない、人がいないと不満をいうよりも、人がいなくても何とか回る仕組みを作るにはどうすれば良いかを考えるべきですね。

「不平不満を言うよりも、進んで明かりをつけましょう」ということですね。違うかな・・。

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基幹系システムを活用して懸念事項のある締結済契約書を社内周知する方法

前置きがやたら長くなってしまったので、表題の方法を採用するに至った私の所属会社特有の事情・経緯等についてご興味の無い(大多数の)方は、下記2(3)にお進みください・・。

1.懸念事項のある締結済契約書を周知する必要性

当社は某商材に関する専門商社なので、サプライヤーから購入した製品を顧客に販売するビジネスを展開しています。

そのような中、例えば、当社のA支店がサプライヤーX社と取引口座を開設した際、X社と基本契約書について交渉した結果、下記の通り、X社の補償責任が通常よりも制限された形で契約に至る等、やむなく、懸念事項のある契約書を締結せざる得ない場合もあります。


※以下、懸念事項のある契約条項の一例

[X社の納入した製品に瑕疵が発見された場合の補償方法]
サプライヤーの補償方法は「修理」、「交換」、「返金」に限られ、「損害賠償」は行わない。



一方、通常、当社と顧客と締結する基本契約書では、当社が納入した製品の瑕疵に起因して顧客に損害が生じた場合、当社は、当該損害を賠償する旨、定めております。

「当社とサプライヤー」、「当社と顧客」間の補償方法のギャップが生じていることは、契約交渉に関与した当社A支店の営業担当は当然、把握しておりますので、実務上、ギャップが生じないよう、顧客と取り交す仕様書や見積書に、サプライヤーXの補償方法を考慮した条件を記載して、当社が単独で顧客に責任を負担することが無い様、対応してくれます。

ただ、サプライヤーXと取引口座を開設後、しばらくして、当社のB支店が、サプライヤーXと他の顧客(H社)向けに新規取引を開始しようとする際、当社のA支店とB支店間で、X社の基本契約上の留意事項について情報共有が出来ていないと、補償条件上のギャップが生じた状態で取引してしまうリスクがあります。



2.懸念事項のある締結済契約書を周知する方法

(1)法務部門から周知 → 効果薄・・

上記リスクがある為、約3年前位から、当社に不利な条件で基本契約等を締結した際には、私が所属している法務部門が「懸念のある契約書一覧」(実際のファイル名は少し違います)を作成し、社内ポータルサイトに掲載して、社内周知を図っております。この辺の事情は、下記記事にも掲載しています。

「締結済の契約書を全社で共有する方法(BLJ 2016年7月号)」
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-519.html

しかし、当社の業界の場合、締結済の基本契約書を読み込まなくても実務が回ってしまう中、私の周知不足もありますが、そもそも、一部の志の高い営業担当は別として、営業担当が忙しい中、わざわざ社内ポータルから入っていって、「懸念のある契約書一覧」を見に行く人がいるかというと、私が言うのもなんですが、かなりの少数かと思われ、法務担当の自己満足で終わっている感があります。上記試みは今でも継続していますが、若干の虚無感を感じています。。。



(2)営業部門で確認するルールを設ける → 効果が出るのはまだ先・・

上記の反省を踏まえて、本年の初旬に、各営業担当者は、新規・既存の取引にかかわらず、自分が担当している「当社と顧客」、「当社とサプライヤー」間の「基本契約書(保証条件を記載したその他の契約書を含む)の有無」、基本契約書上の4つの重要ポイント(品質保証期間、不具合発生時の補償方法等)を確認して貰い、当社がサプライヤーにて対応可能な範囲を超えて、顧客に対して過度な責任を負担している取引は無いか、営業部門が確認するルールを設けました。この辺の事情は、下記記事にも掲載しています。

近々、各種契約書の全社公開に向けて文書管理システム(クラウド版)を導入します。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-539.html

ただ、上記試み前にある程度、想定はしていましたが、私の周知不足もありますが、そもそも、一部の志の高い営業拠点長のいる拠点の営業担当は別として、大多数の営業担当は、上記確認をしている暇は無いということで、ルールがなかなか浸透しません。

なお、先般、営業部門が契約関係を確認した結果を見て欲しいということで、法務部門でダブルチェックしてみたのですが、確認結果が間違えているものが散見されました。

そこで、どうせダブルチェックするのであれば、初めから法務部門でチェックした方が早いということになり、結果として、各拠点の販売高上位10位の顧客とその顧客向けに製品を供給しているサプライヤーに対象を限定して、法務部門で契約関係の確認をすることになりました。

ただ、法務部門の人員にも限りがあるので、全ての拠点に関する上記契約関係を確認するには、今期一杯は時間が掛かりそうです。。。チェックすべき契約案件も多数あるなか、なかなかハードな話です。



(3)基幹系システムを活用して懸念事項のある締結済契約書を周知

前置きが非常に長くなりました。。

懸念事項のある締結済契約書を周知する上で、これまで試みてきた上記(1)、(2)の周知方法には効果・対応に限りがあることが分かりました。

そこで、懸念事項の定めのある契約書を締結している場合には、その内容を、基幹系システム上の「顧客マスタ」、「サプライヤーマスタ」に登録して、受注登録、発注登録をする都度、ポップアップ画面で、懸念事項が「強制的に」表示される仕組み作りを、現在、検討しています。

「ポップアップ画面が出てきても、直ぐに消されるだけで意味がない」という社内意見もありますが、そこは、重要性の周知でカバーしていきたいと思います。上記画面を無視し続けてトラブルが発生したら、営業部門が責任を問われますと脅してみるとか・・。

なお、上記仕組みを導入する場合、既存の某基幹系システムを改修する必要があります。
また、要検討事項としては、毎回、ポップアップ画面が出てくるのはウザイという意見もあり、「今後このメッセージを表示しない」というチェックボタンの機能を追加するかどうかを検討しています。
上記オプションを追加しない場合は、約30万円の初期費用で済みますが、上記オプションを追加した場合、コストが3倍の約90万円に増加します。

ただ、毎回出てくるのはウザイとはいっても、上記チェックボタンを押した直後は、懸念事項の存在を認識していたとしても、1年後、そのことを覚えているのかどうかは怪しいので、近々、営業実務の分かる人を交えて、どのようなシステムであれば、ウザ過ぎず、また、効果薄にもならないお湯加減になるのか、協議する予定です。

上記試みの推移については、今後も本ブログで取り上げたいと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

知財担当者になったら読むべき本」(大石憲一氏著作)

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[本書で参考となった事項、再確認させられた事項]
・「発明」と「発明品」は異なる。「発明」を実施形態や図面で判断してはいけない。

・意匠は特許と異なり、意匠の内容を補正することは困難なので、拒絶理由通知を受けた場合は、
 意見書で審査官の判断を覆すしかない。但し、意匠に係る「物品」を補正する場合はある。

・意匠制度には出願公開制度は無い。

・意匠権には、「登録意匠に類似する意匠」という概念があることもあり、意匠の類比判断は
 非常に難しい、ということを逆手に取り、特許権ではなく、意匠権で商品や製品を保護する選択肢もある。

[個人的メモ]
上記内容については、以前、「知的財産管理技能検定」2級を勉強した際に学習した覚えのある項目も含まれていますが、実務で使わないと忘れてしまうものですね・・。

知財については個人的に興味のある分野であるということもあり、今後、定期的に関連する書籍を読むなどして、ブラッシュアップしていきたいと思います。

また、「1級知的財産管理技能検定試験」の問題集がもっと充実してきたタイミングで、同試験の受験も検討したいと思います。



下請法の実務〔第4版〕(鎌田 明氏編著)

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[個人的メモ]
下請法の担当者にとっては、下記公取委のHPに掲載されている、公取委・中小企業庁が発行している「下請取引適正化推進講習会 テキスト」がバイブル的な存在かと思います。

http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.html

なお、上記書籍と上記テキストを正確に比較したわけではありませんが、あくまで個人的な感覚としては、上記書籍は、前公正取引委員会事務総局 取引部企業取引課長だった鎌田明氏が編著したものであることもあり、上記テキスト以上のことは書かれていなかったように思われます。その為、下請法について知りたい方は、上記テキストを読み込めば十分かと思います。たぶん。。

上記テキストは随時改定されますので、特に公取委や中小企業庁から新たな通達等が出た場合は、その通達等に言及された最新版をチェックしたいものですね。

契約書上の当事者の定義では極力、「丙、丁、戊・・」は使わない 他2本

1.契約書上の当事者の定義では極力、「丙、丁、戊・・」は使わない

契約書上、当事者を契約書の文中で定義する略称として、「十干」の「甲、乙・・」使用することが一般的です。

例えば、

AAA株式会社(以下「甲」という)

という具合です。

なお、三者間以上の契約となった場合には、「甲、乙」に加えて、「丙、丁、戊・・・」も使用されるケースもあります。

なお、契約書は、当然のことながら、法務担当だけが見る書面ではなく、営業担当等の実務担当も見る書類でもあり、実務担当が理解出来る文面でなければダメだと思いますので、私が、当事者が三者以上の契約書をドラフトする場合は、極力、「丙、丁、戊・・・」は使わないようにしています。

以前、「甲、乙、丙、丁、戊・・・」を使ってドラフトしていたこともありますが、「乙」とすべきところを間違って「丙」と書いてしまったり、「丁って誰を指してたっけな~」といちいち考えてしまい、ドラフトに時間が掛かることもある、という実務上の問題点もありますので、上記の通り対応しています。

ただ、さすがに、相手方から提示された三者間以上の契約書に「丙、丁、戊・・・」が使われていた場合に、後述のように、ばっさり、一括置換して他の定義文言を修正依頼する、というような無作法はしないようにしています(笑)



2.では、どのように定義するか

「甲、乙、丙、丁、戊・・・」の「十干」を使わないでどう定義するのかですが、例えば、私が所属している業界の取引先名で例を挙げれば、


 株式会社東芝(以下「東芝」という)

 ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下「SOMC」という)

 日本電産株式会社(以下「NIDEC」という)



というように、相手方から「うちの社名として勝手に変な略称を使うんじゃねえ」と後々、言われないよう、相手方自身が自社のHP等で使用している略称を見つけて、定義する文字(東芝、SOMC、NIDEC 等)として使用するようにしています。

ただ、色々とググっても、特に小規模な会社の場合、公式な略称が見つからない場合もありますが、極力、実務担当である営業担当の頭にすっと契約書が入ってくるように、定義する文言にも気を使うようにしています。



3.「売主」、「買主」と定義した場合の懸念事項

売買契約書の場合、


AAA株式会社(以下「買主」という)

BBB株式会社(以下「売主」という)



というように、各当事者を「買主、売主」と定義したり、英文契約書では「BUYER、SELLER」と定義する場合も一般的かと思います。

なお、「売買契約」と「請負契約」の両方の性質を有する「製作物供給契約」という契約類型があります。

ちなみに、当社の取引基本契約書も上記契約類型に該当する内容となっておりまして、契約当事者の略称の定義は、二者間契約ということで「甲、乙」を使用していますが、仮に、「甲、乙」ではなく「買主、売主」を使用した場合、どうなるのか、今、ふと頭をよぎりました。

民法上、「売買契約」と「請負契約」は当事者間に適用される権利・義務が異なりますが、「製作物供給契約」に、当事者を定義する略称として分かり易い「買主、売主」を使用した場合で、上記契約書に関する取引について裁判となった場合、個人的な素人考えとしては、裁判官は、上記契約を「売買」契約として解釈する可能性もありそうですね。たぶん。。。

英文の契約書では、「Heading条項として」、


第○条(表題)
各条項の表題(タイトル)は、参照目的で使用しているだけであり、本契約の意味や解釈には影響を与えない。



というような条項が定められているケースがあります。そこで、上記条項に習い、私の少ない経験上、これまで見たことはないですが、「買主、売主」といった、契約書の解釈に何か影響を与えそうな文言を定義文言として使用する場合には、


「契約書上で用いる定義文言は、参照目的で使用しているだけであり、本契約の意味や解釈には影響を与えない。」



というような条項や条文を、定義条項あたりに書いておいたほうがいいかもしれませんね。
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主に、週末にブログを更新する予定です。

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