秘密保持契約書でたまに見かける「循環参照」あるある

先日、取引先から提示された秘密保持契約書に、以下のような秘密情報の「開示者」、「受領者」の定義を定めた条項があり、心に留まりましたのでご紹介します。


本契約にて「開示者」とは、「秘密情報」を「受領者」に開示するものを意味する。
本契約にて「受領者」とは、「開示者」から「秘密情報」を受領するものを意味する。

※実際は上記内容を含む英文の秘密保持契約書を提示されましたが、
  私が特定されてしまうかもしれないので、日本語訳を記載しておきます。



非常に趣があるといいますが、読んでいてじわじわ来る条項ですね。

一向に「開示者」、「受領者」の定義が定まらない言い回しになっています。
一からドラフトしていると上記のような内容になってしまうこともあるかもしれないので、注意したいものですね。



上記の他にも、契約書をチェックして、循環参照といいますが、このままじゃダメな条項がなかったか考えたところ、以下のようなケースがありました。


第1条(目的)
本契約は、甲乙間で、非接触温度センサに関する秘密情報を交換するにあたり(以下「本目的」という)、甲乙間で相互に開示される秘密情報の秘密保持に関する取り扱いを定める。



上記は、自社の雛形秘密保持契約書のフォーマットに、営業担当が、「本目的」のブランク部分を赤文字のように追記したんだけど、これでいい?ということで、確認依頼の為に私に送付してきた秘密保持契約書の一こまです。

上記言い回しですと、「秘密情報を交換すること」自体が契約の目的となってしまい、「秘密情報の目的外の使用禁止条項」上、秘密情報を交換すること以外には、秘密情報を使用してはいけない、という、何とも、いとをかしな条項に仕上がっています。



営業担当が、「本目的」のブランク部分を追記したんだけど、これでいい?ということで、確認依頼の為に私に送付してきたシリーズでいうと、「本目的」の箇所に、これから取引の検討を行う製品名(例えば、非接触温度センサ)だけが記載されているケースは多々ありますね。もう少し考えて追記して下さいよといつも思います。

上記以外にも、たまに見かける可笑しな条項があれば、今後もご紹介していきたいと思います。

個々の条項について修正案を作成しながら読むか、とりあえず全部読んでから修正案を考えるか

最近、当社の法務担当数が緒事情により減少したこともあり、契約書チェックの需供ギャップが大きくプラスになっており、日に日に、受信トレイと机の上のトレイ上に契約書がどんどん溜まっていき、日々、催促に追われる事態となっています orz

たくさんの借金を抱えて、返しても返しても元本が減らず、借金取りに追われる毎日を過ごしていると、借金を返済するモチベーションが低下していく負のスパイラルに陥る、多重債務者の気持ちが何となく分かってきました orz

とはいえ、なかなか求人活動も上手くいかないので、少しでも契約審査のスピードをUPする為、これを機に、自身の契約書審査スタイルの見直しを進めております。

例えば、溜まりに溜まっている契約書(百数十件)を一掃するまで限定として、取引先に提示する修正提案書を作成する際、(一応)これまでは丁寧に修正依頼理由を記載していたスタイルは一時停止することにしました。

その代わりとして、取引先から提示された契約書のワードファイルにて、校閲機能を使って修正履歴を付けた修正案(+ちょっとしたコメント付)を作成して、取引先に提示することで、審査作業を効率化するよう方向を変えました。

また、スピードUP化の一環として、契約書審査の際、特に分厚くて斜め読み出来無いような契約書を審査する際、「個々の条項について修正案を作成しながら読み進めるか」、もしくは、「とりあえず全部読んでから修正案の作成に着手するか」、改めて検討してみました。

前者の場合、個々の条項について修正案を作成しながら読み進めている内に、後半の条項の方では、前半の条項の内容の記憶が薄れていて、一貫性の無い内容となり、森を見たチェックが出来無い場合があります。

一方、後者の場合、同じ条項を二度、じっくり読むことになり、チェックの目がしっかり行き届くことになるものの、審査スピードには前者より劣るような気がします。たぶん。

これまではだいたい後者のスタイルで進めてきましたが、ケースバイケースでどちらのスタイルがいいのかを使い分けた上で、効率的な審査を進めていきたいと思います。

ただ、これだけでは、法務担当の減少を補うことは出来無いので、早く欠員を補充しなければ・・。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本>
・海外取引でよく使われる与信管理の英語(牧野 和彦氏著作)

[上記書籍で学んだ事項]
米国の構成債権回収行為法上、債権回収代行会社や弁護士が督促状を送付するには、督促状にmini-Miranda warning(ミニミランダ警告)または、validation notice(正当性通知)と呼ばれる文言を記載する必要があるようです。

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・メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法(長谷川 滋利氏著作)

[上記書籍で気になったフレーズ]
分からないのに分かったフリをするのは、日本人の悪いクセ。

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・企業内法務の交渉術(北島敬之氏著作)

[上記書籍で再確認させられた事項]
自社の雛形契約書をベースに交渉を開始した方が、交渉をリードしやすいものの、
場合によっては、むしろ相手方から契約書式を出させて交渉した方が、
より迅速で実務に合致した契約書を作成出来るケースあります。

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・ITビジネスの契約実務(伊藤 雅浩氏、久礼 美紀子氏、高瀬 亜富氏著作)

[上記書籍で学んだ事項]
ソフトウェアの開発委託契約を締結したベンダーと、当該ソフトウェアの保守契約も
同時に締結した場合、「瑕疵担保責任」と「不具合の修補に関する保守業務責任」との
関係性をどう考えるのかに解説された箇所が参考になりました。
今まで抱えていたモヤモヤがすっきりしました。
詳細は本書「第2節 システム保守委託契約の条項例と解説」を参照下さい。

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1.契約審査時の後輩指導方法、2.若手弁護士・法務担当者の心得 他(ビジネス法務 2017年6月号)

遅ればせながら、積読していた「ビジネス法務 2017年6月号」を読み終えました。

本号では、「新人弁護士のためのリーガル・リサーチ」という特集が組まれており、「若手弁護士」や「先輩弁護士」らによる匿名座談会形式で、話が展開されておりました。

早速ですが、個人的に参考になった箇所(2箇所)を以下の通り抜粋させて頂きます。

1.後輩に対するドラフト指導について


若手弁護士 座談会 新人の失敗談と先輩へのホンネ

3 先輩からほしいフィードバック

D:私の事務所には、新人と2人で会議室に寿司詰めになって、
  新人が作成した書面について、一言一句、どうしてこうしたのか、
  こうした方がよりよくなるだとうと、修正の趣旨や理由を
  伝え続けるという指導をする先輩がいます。

B:それはとてもいいですね!

D:私もそんな指導を受けたいです。ドラフトのレビューは大変だと
  思いますが、細かく論理的に教えてくださるとありがたいです。

E:修正理由を細かく教えてくれる先輩は少ないですが、修正理由を
  自分で考えるのも勉強なので、それはいいんですよ。
  ただ、修正の中には、理屈じゃなくて先輩の好みでなされた修正が
  はいっていることがあるんですね。説明がないと区別はつかないので、
  理由なく好みでなされた修正の理由まで考えることになります。
  これは時間の無駄だと思うので好みで修正した部分と理屈で
  修正した部分を分けて欲しいです。

※hitorihoumu:以下、会話が続きますが記載を省略します。



上記は、弁護士だけでなく、法務部門にも当てはまる話かと思いますが、私は、後輩が作成した契約書のドラフトや顧客に提出する提案書に赤を入れたり、私のチェック結果を後輩に伝える際には、必ずその理由を納得するまで説明するようにしています。

また、後輩が作成した目の前の文章でもいいかもしれないけど、何か気に入らずに、手を入れたいという場合には、「これは趣味の問題かもしれないけど」と必ず付け加えるようにしています。

俺の背中を見て学べという寿司職人スタイルの方もいるかと思いますが、後輩をずっと下請として「使う」のではなく、早く独り立ちさせて、指導しなくても自発的に対応して貰えるようにしなければならないのであれば、教える手間を省かずに、丁寧な指導を心がけたいものですね。

なお、私であれば、後輩が早く独り立ちしてくれた方が、自分がチェックする作業が無くなって楽になるので、忙しくても、しっかり指導しようというモチベーションが(一応)あります。一方、弁護士事務所で勤務する弁護士の方は、一人ひとりが個人事業主のような存在かと思いますので、メンター制度も無く、(目に見えない)後輩指導が評価される制度になっていなければ、後輩弁護士を教えるモチベーション(メリット)がそもそも無いので、結果として、教え方がぞんざいな人もいるんでしょうね・・。

2.新人弁護士・法務担当の心得

次の抜粋箇所は、若手弁護士が業務に従事する際の心構えについて、「若手弁護士」の匿名座談会で交わされた会話の一部を抜粋した内容です。


新人弁護士に求める最低限のクオリティー

IV 新人の頃を振り返って・・・

(略)

A:たとえばM&Aの場合には、新人だと、案件に入っても、
  デューデリジェンスをしてレポートを作成して終わりという
  ケースが多いと思います。
  ただ、案件自体はそれで終わりではなく、最終的な契約書の締結や、
  さらにクロージング後の作業というのもありえます。
  私が新人のときは、自分が忙しいということもあって、
  デューデリジェンスの後にどのようにして案件がクローズしたのか
  といったところまであまり関心を持ちませんでした。
  しかし、デューデリジェンスで自分が発見した事項が最終的な契約書で
  どのように扱われることになったのかというのを知っておくのは、
  自分がいざ契約書をドラフトしたり契約交渉をしたりする立場に
  なったら生きてきます。
  今振り返ると、なるべく自分から先輩弁護士に聞きに行って、
  一歩先、二歩先を勉強していくということを心がけておけば
  よかったなと思います。



上記についても、弁護士だけでなく、法務部門にも当てはまる話かと思いますが、デューデリジェンスに限らず、法務担当をしていれば、大きなプロジェクト(業務提携、投融資、合弁、大規模な社内調査等)に対して、「法務分野」について部分的に関わるケースが出てきます。

この場合には、業務完了後の最終結果を(もし上の人が教えてくれないようであれば)自分から確認するようにしないと、やりがいも達成感も感じられませんし、いつまでたっても一担当者のレベルから抜け出せず、全体を統括する仕事には従事させてくれないでしょう。

なので、目の前の(時には単調な)業務をしっかり対応しつつ、色々な仕事に忙殺している中でも、最終的な結果にも好奇心を持って知りに行く姿勢が必要ですね。

3.契約審査業務における会社毎の相違

私の所属会社では、法務担当が営業担当と二人三脚となって、交渉段階から社内で承認を得て、捺印作業を進める段階まで関与しますので、自信が作成した修正案なり提案内容が、取引先からどう評価されて、最終的にどのような落としどころで決着したのかを知りえることから、徐々に契約審査の経験値がUPしていくことになります。

一方、以前、他の大きな会社の法務担当から聞いた話では、法務担当は、所定の審査基準に基づいてリスクと対応方法をアドバイスするところまでしか対応せず、「後は営業判断で」ということで、最終的に事業部門がどのように締結に至ったのか分からない、という体制になっている会社もあるようです。

こちらの体制の方が効率的なのかもしれませんが、法務担当としてはあまり面白くは無さそうな制度ですね・・。もし、他の会社に法務従事者として転職を考えている方は、社風や待遇面も大事かもしれませんが、通常、法務部門の業務は契約審査が大半を締めている会社が多い中、どのような契約審査方法を取っているのか、面接等で確認するのはいかがでしょうか。

(下請法上の)下請事業者との相殺に関する一考察(ケーススタディ)

下請法 第4条第2項第1号に基づき、「有償で支給した原材料等の対価を、当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること」は禁止されております。

では、以下のケースは下請法上、適法なのでしょうか?

最近、社内で下記内容の相談を受け、下請法担当者のバイブル的な存在である「下請取引適正化推進講習会テキスト」(中小企業庁・経済産業省)では触れられていなかったので、公正取引委員会の相談窓口に質問してみたのですが、その確認結果を、個人的な備忘と誰かの参考の為に、以下の通り書き留めておきます。



Q.下記のような支払い方法は下請法上、問題無いのか。
  
  1. 下請代金の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)下請代金
      120万円
  
  2. 有償で支給した原材料の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)原材料の取引金額
       100万円

  3. 前提条件
    親事業者が2017年X月に下請事業者に製品の製造を発注。
    親事業者は当月中に下請事業者に有償支給材を納入し、同月中に
    下請事業者から有償支給材を用いて製造された製品を受領。
    2017年(X+1)月末に、上記1と2の支払い期日が到来する。

  4. 質問事項
   下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)を2017年(X+1)月末で相殺し、
   親事業者がその差額の20万円について、下請事業者に手形払いすることは、
   下請法上、問題無いか。



A.下請法上、問題無し。

上記相殺については、親事業者の禁止事項である、「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」にも「下請代金の支払遅延の禁止(物品等を受領した日から起算して60日以内に定められた支払期日までに下請代金を支払わないこと)」にも該当しない為、下請法上、問題無し。

※2016年12月14日付で公正取引委員会が出した下記の通達(=下請代金の支払手段について)1と2は、今のところ努力義務である為、考慮しないものとします。


<通達:下請代金の支払手段について>
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、
  下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と
  下請事業者で十分協議して決定すること。
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の
  業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、
  将来的には60日以内とするよう努めること。





「個人的な疑問点」
上記ケースで、もし、相殺をせずに、「下請代金」と「原材料の代金」を別個に支払いした場合、下請事業者は、下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)の差額である「20万円」の手形ではなく、下請代金の「120万円」の手形を親事業者から受領出来ることになります。

そうなりますと、下請事業者は、上記手形を受領した時点ではまだ、原材料の代金の支払いについて、手形サイトの120日分、猶予されていますので、親事業者から受領した手形を割引して現金化すれば、「20万円の手形」を割引したときと比較して、割引手数料は別として、「100万円」分、多いキャッシュを手に入れることが出来、資金繰りが楽になります。

なので、下請法第1条で定めている本法の「目的」(親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護)を考えれば、上記のような相殺は下請法上、問題があるかもしれないと思い、上記疑問点を提示した上で、公正取引委員会の相談窓口に相談してみましたが、繰り返しとなりますが、結論としては法律上、問題は無いようです。

ここまで読んできて(ここまで駄文にお付き合い頂き、ありがとうございます・・)、そもそも、下請事業者との「支払方法」を「手形払い」ではなく、「現金(振込)払い」で合意しておけば、上記問題は生じないじゃね?という疑問が沸いてくるかと思います。

ただ、上記下請事業者とは、「有償支給材に関する取引」だけでなく、下請取引には紐付いていない、純粋な販売取引(当方:売主)も実施している取引先であり、同じ取引先口座:コードを使用していることから、このようなややこしい疑問が生じているわけです。

将来、下請法上の立ち入り検査を受けた際、万一、今回の確認結果とは異なり、「上記方法は違法です」と差し込まれたときに備えて、今回、確認した窓口の担当者の方の名前も含めて、確認結果を記録に残しておくようにしたいと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本>
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(1)仕事が人についている状態はダメ、(2)所有権留保の実行方法 他

(1)仕事が人についている状態はダメ

ゴールデンウィーク明けから先週金曜日までずっと、契約審査等の通常業務そっちのけで、土日も返上して朝から深夜まで、某特命案件に掛かりっきりで対応しておりました。時間と戦いながらの長時間労働したので、さすがに心身共に疲弊しましたね。燃え尽きたので、今日は、溜まりに溜まっている通常業務達を置き去りにして、この記事を書いています・・。

この忙しさの際にも再認識させられましたが、法務業務に限らず、少人数体制で業務対応をしていますと、何か突発的な重い業務が発生した場合、とたんに仕事が回らなくなる、というのは何とかしないといけないですね。

ただ、大企業であればまだしも、私の所属会社のような中堅企業ですと、常時、余剰人員を抱えておくというのは難しいので、部門を超えたジョブローテーション、後輩の指導を早期に進めて、特定業務が人(私)についている状態を改善するしかないですね。言うが易しですが・・。

(2)所有権留保の実行方法

GW前に読み終わっていた「与信・債権回収管理ハンドブック改訂新版(橋本 喜治氏著作)」に、所有権留保の実行方法として、下記のような書式で、所有権留保条項を定めている売買契約を「解約」し、債務者の同意を取った上で商品を引揚げる方法が解説されていました。

上記について少し考えさせられましたので、その内容を個人的な備忘の為に書き留めておきたいと思います。


【図表173 所有権留保物件引渡合意書】

            所有権留保物件引渡合意書

1.甲株式会社(以下、甲という)と乙株式会社(以下、乙という)は、
  平成○年○月○日付甲、乙間の割賦販売契約書(以下、原契約書という)に
  基づき甲が乙に対して販売した下記の甲の所有権留保物件について、
  本日原契約を合意解約した。

2.乙は前項の解約に基づき本物件を甲に引渡し、甲はこの引渡しを受けた。

3.乙は、甲が本物件を任意に処分し、処分代金をもって甲の乙に対する
  売掛金に充当することに同意する。

  物件の表示
  ○○○○

  平成○年○月○日

(hitorihoumu注)捺印欄の記載を省略します。



上記の引用部品で個人的に理解出来なかったのが、「所有権留保物件引渡合意書」第3条を定めている意図です。

本合意書第1条で、売買契約を「合意解約」し、第2条で、契約解約に伴う原状回復義務に基づいて、乙(買主)が本物件を甲(売主)に引渡す、というところまでは理解出来ました。

一方、本合意書第3条では、「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する」と定められているではありませんか。契約を解約したのに、なぜ売掛金が存続しているのか。

原契約書の「契約解約」条項にどのような定めがあるのかにもよるかと思いますが、本合意書の第3条の意味合いを個人的に以下の通り考えてみました。

(仮説-1)
実は、「所有権留保物件引渡合意書」で解約した売買契約とは別の売買契約があり、その別の売買代金の売掛金に対して、処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これでは買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。

(仮説-2)
上記書式では、原契約を「合意解約」したと定められており、「合意解除」とは記載されておりません。

「解除」は、締結した契約の効力が最初から存在しなかったのと同じ状態にすることを意味するのに対し、「解約」は、契約の効力を将来に向ってのみ消滅することを意味します。その為、本合意書では、原契約(=割賦販売契約書)を将来に向かって消滅させ、「合意解約」前に発生していた売掛金は引き続き存続し、その売掛金に対して、返還を受けた本物件の処分代金を充当することを意図している可能性があります。しかし、これについても、買主としては痛くも痒くもありませんので、売主が担保を取った意味がありません。

未だに上記書式の合意書第3条の意味が分かりませんが、暇な時(お風呂に使っている時)にでも、第3条を設けた他の可能性について、もう少し考えてみたいと思います。

(3)契約解除条項に損害賠償義務を設ける必要性

売主が所有権留保を実行する場合には、売買契約を解除した上で、商品を引き揚げるのが一般的になっているようです。モノの本によると、契約を解除することで、売主の引渡し義務を消滅させておく意味があるようです。

ただ、契約を解除した場合、売主の商品引渡し義務は消滅するものの、一方で、売主の代金請求権も消滅してしまい、受領済の代金があれば、売主は返還しなければなりませんので、契約解除のタイミングについては留意したいものですね。

また、単純な契約解除条項しか定めていないと、売主としては、原状回復の結果、経年劣化したモノが返還されるだけで、損をする場合がありますので、契約解除条項には、売主が契約を解除し、商品の返還を受けてもなお、契約解除に伴い売主に損害が生じた場合、売主は買主に対して当該損害の賠償を請求出来る権利が生じる旨、定めておきたいものですね。

そういう意味では、上記の「所有権留保物件引渡合意書」第3条には、

「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する。」

と定めるのではなく、

「買主は、売主が本物件を任意に処分し、処分代金をもって、原契約書 第○条(契約解除)に基づき、契約解除をしたことに伴い発生した、売主の買主に対する損害賠償請求権に売主の買主に対する売掛金に充当することに同意する。」

と定めた方が良さそうですね。

ということで、つらつらの書き連ねてみましたが、疲れがまだ残っているからか、まとまりの無い文章となりましたが(いつもかもしれませんが・・)、そろそろ筆を置きたいと思います。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本 その1)>
プライベートバンカー カネ守りと新富裕層(清武 英利氏著作)
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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本 その2)>
一億人の英文法 すべての日本人に贈る「話すため」の英文法
大西 泰斗氏、ポール・マクベイ氏著作
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35歳 男 二児の父
主に、週末にブログを更新する予定です。

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