書籍:中国赴任者のための法律相談事例集

先日、『今、あなたが中国行きを命じられたら 失敗事例から学ぶ中国ビジネス』という
本を紹介させて頂きましたが、表題の本は『今、あなたが~』の法律版といった体で
(著者は違いますが・・)、
1.事例 → 2.ポイント → 3.解説・アドバイス → 4.根拠法令
という構成も非常に分かりやすくなっております。
但し、本書が対象とする読者層は法務担当ではなく、あくまで一般的な中国出向者ですので、
根拠法令は記載されていても該当する条数までは特定してくれてません。
従って、日本語訳で書かれた中国版六法『中国経済六法2010年』等を参照しながら読む、
という使い方は出来ません(難しい)のであしからず。

さて、本書にラインマーカーを引いた箇所はたくさんありますが、「紛争処理」の章で解説されていた、
強制執行に関する箇所が参考になりましたので、備忘録の為に書き留めておこうと思います。

^^^^^(以下、本書抜粋)^^^^

4 判決の強制執行
債務者が判決により命じられた義務を履行しない場合には、債権者は、人民法院に
その執行を申し立てます。申立期間は判決確定から2年間です。
債務者がどれほどの資産を有するのか、それがどこに存するのかについては、
人民法院が調査権限を有しています。
しかし、実務上、執行手続きを進める中で、債務者の財産が明らかにならないような場合には、
各人民法院で取り扱いに差異はあるものの、人民法院から債権者に対し
債務者の資産の情報提供を求められることがあります。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

ということで、中国の強制執行は日本の場合と異なり、執行の対象となる資産は
裁判所が調査してくれるという建前のようですが(日本にも一応「財産開示手続」は
ありますが、あくまで債務者の協力が大前提です・・・)、執行を逃れる為に
平気で財産を隠匿したり、第三者に故意に移転したりする会社も多々あるようですので、
結局は自分で執行の対象とする資産を特定するか、もしくは裁判に勝っても
泣き寝入りするしかありません。

ちなみに余談ですが、以前、台湾の強制執行事情について弁護士に確認した所、
台湾にも一応「財産開示手続」みたいな制度はあるようですが、活用される例はほとんどなく、
強制執行の対象となる資産はあくまで債権者が特定する必要があるようです・・・。

そこで、もし債務者が、現行の事業の拠点としているような不動産を所有しているようであれば、
仮に多額の銀行の抵当権が設定されていてもとりあえず仮差押を実行し、
強制執行時に競売しても仮差押権者まで配当がまわってこなそうな場合でも、
「配当が貰えなそうでも競売しますよ! そうしたら事業が継続出来なくなりますよ!
抵当権者の銀行も嫌がるでしょうね~」
と先方に伝え、強制執行直前で有利な和解案を引き出すという手もあるのではないでしょうか。
しかし、この手段は諸刃の刃で、どちらも一歩も引かない場合には、一銭(元?)も
回収出来ない可能性がありますので、引き際に注意しながら行いたい所です。

【目次】
総論/企業組織/投資・事業再編/契約/生産/販売/輸出入取引/
銀行取引/労務/税務/紛争処理/コンプライアンス

中国赴任者のための法務相談事例集中国赴任者のための法務相談事例集
(2010/03)
経営法友会中国法務研究会

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