書籍:失敗に学ぶ不動産の鉄則

本書は、個人、不動産業者そして金融機関が、不動産取引においてこれまで繰り返し
失敗してきた原因を分析し、今後、各々がどのように行動するべきかを解説されています。

その中で、ここ数年前に発生したミニバブルの形成と崩壊の経過に関する記述は、ちょうどこの頃、
不動産仲介営業マンとしてその真っ只中にいた私としては、非常に深く読むことが出来ました。

本書で個人的に心に留まった箇所はいくつかありますが、その一つを書き留めておこうと思います。

^^^^(以下、本書抜粋)^^^

大幅値引きの「新価格」はお徳か

1990年のバブルが崩壊した直後、不動産価格は予想をはるかに超える水準まで下落しました。
特に、大都市の都心部の商業地はバブルのピーク時の十分の一以下まで下落し、土地神話の
崩壊を実感させられました。
住宅の価格についても相当なレベルまで低下してしまいました。
価格下落に拍車がかかったことで、マンションデベロッパーは新築住宅の完成在庫の処分を急ぎました。

例えば、8,000万円の新築マンションを2,000万円割引し、「新価格」として6,000万円に設定しました。
その結果、多くの人が、「2,000万円も値下げして売るなら、お得だ」と意気込んで買いました。
そして数年後・・・。事情があって中古マンションとして売却をしようとすると、すぐには
売れない上に、最終的には購入価格の半値でしか売却できませんでした。
人間の心理として、「8,000万円の物件を2,000万円引きで」と言われれば、正直、一瞬、
大きく心を揺さぶられるでしょう。
しかし、よくよく考えてみれば、最初の8,000万円という値付けそのものに妥当性がなかったのです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

先日、小、中、高校と同じ学校で、卒業後もずっと連絡を取り合ってきた友達と約1年ぶり位に
飲む機会がありました。
その彼は、最近新築マンションを買ったとのことで、ちょうど上記抜粋の例と同様に、
ここ数年の間に起きたミニバブル崩壊に伴うマンション業者の停滞在庫処分により、
当初の販売価格が約3,000万位の所を、2,500万円で出来たと嬉しそうに話してくれました。

しかし、その購入価格は果たして妥当な価格だったのでしょうか。
通常、マンション業者は、マンションの竣工から逆算してだいたい3年前にその用地を取得します。
そうしますと、友人が取得した売れ残り新築マンション(未入居、築後1年以内)の土地は、
だいたい不動産バブルの最終期である2,006年位に取得したことになります。

最近では、特に法人が抱えていた大規模な土地の売却の際には、競争入札で行うことが
主流になっておりますが、当時は、各マンション業者とも、これでは採算が合わないんじゃないか、
というとんでもない高い価格で次々と落札していきました。

マンション業界は基本的に自転車操業の業界ですので、バカ高い価格でも飯のタネになる土地を
購入するしかなく、また、外資の不動産ファンドによる需要と、金融機関の「いけいけどんどん」な
融資姿勢もあり、マンション用地は需要過剰・供給過少状態となり、価格はどんどん高騰していきました。
当然、建物部分の建築コストの削減にも限界があるわけで、必然的に新築マンションの販売価格も
高騰していきます。

上記の事を考えますと、その時は、嬉しそうな友人に水を差すようなことは言えませんでしたが
果たして良い買い物だったのか、そもそも当初の販売価格は妥当だったのか、という思いは拭えませんでした。
しかし、不動産価格の上昇&転売を前提に購入するのではなく、あくまで最後まで自分が
使用することを前提に不動産を購入するのであれば、資金繰りが厳しくない程度の住宅ローンを
組んでいるかぎり、高い価格で不動産を購入しても良いのではないか、という考え方にも一理あります。

「住宅ローンは年収の5倍が目安」という説が営業マンの常套句でもありますが、
「借りられる価格」=「借りる価格」と短絡的に考えるのではなく、年収が下がるリスクや
リストラされるリスク等を総合的に考慮し、資金繰りに余裕を持った住宅ローンの設定を
心がけたいものです。


失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)
(2009/01)
幸田 昌則

商品詳細を見る
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
プロフィール

Author:hitorihoumu
35歳 男 二児の父
主に、週末にブログを更新する予定です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: