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元総務&法務担当の部屋     

これまで、ある企業で約十数年間、法務担当(+α)として仕事に従事していた者です。最近、財務・経理部門に移動しました。このブログは、仕事に関する書籍を読んだ感想や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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(1)「預かり在庫」を預かったエビデンスを整えるべき、(2)「預かり在庫」の瑕疵担保責任期間に注意

期末が近付いてきて実地棚卸(以下、実棚)の季節がやってきた為、前回の記事に引き続き、実棚時の注意点パート2を書いてみようと思い、上記ネタ探しと実益も兼ねて、「誰も教えてくれなかった 実地棚卸の実務Q&A」(國村 年氏、松井 大輔氏、大野 貴史氏著作)という本を読んでみました。



1.預かり在庫の区分管理

上記書籍にも解説されていましたが、販売先から預かった在庫がある場合は、(自社に所有権の無い)「預かり在庫」と(自社に所有権の有る)「自社在庫」が混在しないよう、しっかり区分して保管・管理した上で、実棚したいものですね。

ただ、そもそも「預かり在庫」の存在そのものが、監査法人や税務署の立ち会い調査時に問題視されることがありますので注意しましょう。



2.預かり在庫の発生要因

「預かり在庫」が発生するケースとはどのようなケースでしょうか。以下に思いつくケースを列挙してみたいと思います。

(注)下記ケースは、私の所属会社の業界(某商材の専門商社)の視点・経験から書いている為、他の業界には当てはまらないケースかもしれませんが、ご了承ください。


[預かり在庫が発生するケース(例)]
(1)販売先から製品の製造委託を受け、製造部材が販売先から無償支給されてきた為、
   自社内または自社の外注加工先で「預かり在庫」として保管しているケース

(2)販売した製品に不具合が見つかり、原因究明の為に販売先から返送されてきたものの、
  実棚時点ではまだ調査中で自社で預かっていることになっているケース

(3)販売先がある製品(完成品)の生産・販売を終了した為、自社との製造部材に関する
   量産取引を終了したものの、販売先がエンドユーザーに対するカスタマーサポートを
   継続する為、自社と販売先との間で(細々とした数年間に渡る)サービスパーツの
   供給取引に移行する場合において、自社が販売先から今後の所要数量を
   一括して受注して数年間分の在庫を確保し、販売先に全て販売して代金を受領したものの、
   販売先に保管場所が無いこと等を理由に「預かり在庫」として上記在庫を
   「預かり品」として長期間、自社で保管するケース

(4)自社の外注先が、定期的に自社が購入していた製造部材の生産を終了(EOL)する為、
   販売先の今後の所要数量を一括して自社で買い上げ、販売先に全て販売して
   代金を受領したもの、当該在庫は「預かり在庫」として自社倉庫で保管し、
   販売先からの出荷指示を受けた都度、納入することになったケース




3.預かり在庫の問題点

そんな預かり在庫が、監査法人や税務署からどのような理由で問題視されるのでしょうか?
それはこんなケースが想定されます。

[疑われポイント(例)]
(1)本当は販売先から注文を受けて販売していないものの、
  自社の決算数字を良くしたいことから、売上を架空計上する為に
  「預かり在庫」として管理していることにする、という不正を疑われるケース

(2)販売先から保管場所の不足を理由に、頼まれて保管しているものの、
  販売先の真の意図としては、仕入れた製品を在庫として認識したくないので、
  仕入先に在庫を保管させて出荷させないという、
  棚卸資産除外という不正に加担していることを疑われるケース

(3)「預かり在庫」とはいえ、帳簿に無い簿外在庫が倉庫にある場合、
  通常在庫よりは管理がずさんになる可能性があり、
  自社の社員が簿外在庫を販売先や第三者に販売して、
  販売代金をポケットに入れる社員の不正に繋がることを問題視されるケース




4.販売先から在庫を預かった場合は預かったエビデンスを整えるべき

色々な事情から預かり在庫が発生する場合がありますので、預かり在庫をゼロにすることは難しいかと思いますが、以下の諸施策を講じて、調査時に不正を疑われないように注意したいものですね。


[諸施策(例)]
(1)販売先から在庫を預かった場合は、預かり証を取り交わす等して
   預かったことのエビデンス(販売先の記名・捺印付)を残す

(2)在庫を預かる場合は事前に預かる期限等を決めて書面で取り交わす

(3)極力、長期の預かり在庫はしない

(4)預かり在庫に関する管理票を作成して定期的に棚卸する




5.「預かり在庫」に係る販売先に対する瑕疵担保期間に注意

会計、税務の不正とは関係ありませんが、「預かり在庫」を保管する際の別の問題点としては、販売先に対する瑕疵担保責任が考えられます。

販売先の都合で在庫を預かることになったものの、販売先との基本契約書では、自社の瑕疵担保責任の発生の起算点が「販売先に対する納入日」や「販売先の受入検査の合格時」となっている場合、販売先から出荷指示を受けて納入した頃には、当該製品を購入したサプライヤーの自社に対する瑕疵担保期間が終了しており、サプライヤーの保証の無い製品を販売することになってしまう、という問題が生じることがあります。

ということで、止む無く長期の「預かり在庫」を保管する場合は、「販売先と自社」、「自社とサプライヤー」との間で瑕疵担保期間のギャップが生じ、自社が販売先に対して単独で責任を負担する事態が生じないよう、事前に契約書で手当てしたいものですね。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
図解&設例 会計・財務の本質と実務がわかる本
(関 浩一郎氏、菅野 貴弘氏著作)

[本書で参考になった内容等]
減損の要否を判定する際、日本の会計基準では「割引前の将来キャッシュフロー」と「固定資産の帳簿価額」を比較して判定する。これは、減損したものの、将来キャッシュフローの見積りと実績との間に大きな乖離が生じ、結果論として減損する必要は無かった、という事態が生じる可能性を少なくする為、「割引後の将来キャッシュフロー」ではなく「割引前の将来キャッシュフロー」をベースに減損の判定を実施している。

一方、IFRSでは即時に「割引後のキャッシュフロー」で減損判定している。

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