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総務&法務担当の部屋     

現在、ある企業で法務担当として仕事に従事している者です。このブログは、特に法務に関する書籍や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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日本国外のグループ会社を被保険者とする単一のグループ保険に加入する際の付保規制に注意

今般は、後で読もう読もうと思って切り抜きしていた、「BLJ2018年6月号」実務解説 上場会社のD&O保険の論点と社内手続(オリックス株式会社 投融資管理本部 ポートフォリオ管理部(担当部長 山越誠司氏、課長代理 大津康子氏))を遅ればせながら読んでみました。

早速ですが、上記記事の一部を抜粋させて頂きます。


Ⅳ グローバル保険プログラムの段取り

(中略)

また、日本の親会社のマスター保険証券で保険適用地域を「全世界」とし、補償範囲に海外子会社も含めておけば、マスター保険証券で全世界をカバーすることになるので、わざわざローカル保険証券は必要ないのではないかという疑問も出てくる。しかし、国によっては、保険契約に関して、当該国に所在するリスクは当該国で免許を取得している保険者から保険を購入する必要があるという付保規制が存在し、海外の子会社が日本の親会社のマスター保険証券でカバーされることを禁じている。よって、マスター保険証券とローカル保険証券の組み合わせは、そのような規制が厳しい国に対応するための苦肉の策ともいえる。

例えば、仮に付保規制の厳格なインドの子会社で保険事故が発生した場合、マスター保険証券の締結されている日本からは保険金支払いができない可能性があるので、インドのローカル保険証券の1億円から保険金が支払われることになる。あるいは、米国で保険事故が発生した際は、まず先にローカル保険証券の1億円が適用され、その1億円をすべて費消した後に、マスター保険証券の9億円が適用になる。この保険プログラムでは、マスター保険証券とローカル保険証券の支払限度額が共有されているため、マスター保険証券に記載されている金額の10億円が最大支払限度額となる。



上記記事で、マスター保険証券とローカル保険証券同士で支払限度額を融通し合うグローバル保険商品があるのは初めて知りました。ただ、付保規制を厳格に考えると、融通した保険枠を使うというのはちょっとグレーな感じがしますね・・。また、支払限度額の融通が発生した際の会計・税務処理がどうなるのか気になるところです。

なお、上記抜粋箇所にも記載の通り、国により適用加減は異なりますが、D&O保険に限らず、保険業界には世界の共通ルールとして付保規制というものが存在します。

例えば、日本の親会社が単独で費用負担して、海外現地法人も被保険者と設定した、日本の保険会社が販売している賠償保険に加入し、いざ、海外現地法人が日本の保険会社から保険金を受領しようとしても、付保規制によって、海外現地法人が保険金を受領出来無い(日本の保険会社が海外現地法人に送金出来無い)事態が発生する可能性がある為、注意が必要です。

なお、例えば、下記の商流の取引を実施していた場合で、


  (売買時のモノの流れ)
  サプライヤー(日本法人)
    ↓
  A社(日本法人)
    ↓
  B社(A社子会社。中国法人)
    ↓
  C社(顧客。中国法人)



A社が、A社単独費用負担で、B社を含む自社の海外グループ会社も被保険者とするPL保険に加入していた場合を考えてみましょう。

以前、保険会社に確認したところによると、付保規制があるとしても、B社の先でPL事故が発生したので保険を使いたい場合は、B社が、顧客C社から賠償請求を受けて賠償金を支払い、その賠償金額をA社に求償してA社がB社に支払い、A社(日本法人)が日本の保険会社に保険請求することで、付保規制の制約を受けることなく、保険金を受領することが出来るとのことでした。

ただ、昨今、日本の親会社(材料メーカー)が、日本のセットメーカーと製品の仕様等を決定してビジネスが決まったものの、実際の量産取引は、セットメーカーの海外現地法人(工場)と材料メーカーの海外現地法人(工場)間で行われて、日本の親会社が商流に介在しないケースは多々あります。

このように、日本の親会社が商流に入らない場合、付保規制にモロに引っかかりますので、特に付保規制が厳格と言われている国(中国、ブラジル等)の現地法人では、保険金を受領出来無いリスクを考慮して、独自に費用負担して現地保険会社から保険を購入するか、上記記事の抜粋箇所のように、少しグレーナ感じもしますが、マスター保険証券とローカル保険証券同士で支払限度額を融通し合うグローバル保険商品の加入を検討した方が良さそうですね。

なお、私の所属している保険の加入方法は秘密ということで・・。

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破天荒弁護士クボリ伝(久保利英明氏、磯山友幸氏著作)
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