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総務&法務担当の部屋     

現在、ある企業で法務担当として仕事に従事している者です。このブログは、特に法務に関する書籍や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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中国法人同士の仲裁合意では、中国外の国の仲裁機関は選択不可

今般は、「中国ビジネス法体系 第2版(藤本 豪氏著作)」を読んでみました。

上記書籍を読んで心に留まったことが多々ありましたので、計2回に分けて本ブログに書きとめておこうと思います。
今回は、中国法人間の契約における仲裁合意について書いてみます。

早速ですが、上記書籍のP611を以下に抜粋させて頂きます。

1.中国法人同士の契約の仲裁合意では、海外の仲裁機関は選択出来無い


(c)国内契約に関する国外の仲裁
  中国国内の契約(両当事者とも中国法人である場合)について中国以外の国・地域(香港を含む)における
  仲裁機関での仲裁を選択できるかについては、法律上不明確である。

  この点、中国の裁判所は現在のところ、そのような仲裁の裁決を中国国内で執行することはできないと
  解しているようである122。

  中国国内の契約については、執行可能な相手方の財産が中国国外にある等といった特殊な場合を除き、
  中国以外の国・地域(香港を含む)の仲裁機関を選択しないようにするのが無難である。

(脚注122)
再考人民法院民事審判第四庭「渉外商事海事審判実務問題解答(一)」第83項参照



上記の通り、中国本土内の当事者同士の契約では、中国以外の国・地域における仲裁機関を利用した仲裁合意をした場合、執行不能という問題が発生しますので注意が必要です。



2.中国法人同士の契約の準拠法では、中国法が強制適用される

本書には記載はありませんでしたが、準拠法についても、中国本土内の当事者同士の契約では、準拠法は中国法が強制されるため、例えば、日本法を選択しても無効となります。

なお、中国契約法 第126条により、渉外契約であれば、準拠法を自由に選択出来ます。ただし、外資系企業であっても中国法人間の契約であれば「渉外契約」とはいえず、以下の「民事訴訟法の適用に関する若干問題についての意見」第304条に記載の「渉外契約」に該当しなければ、中国法人間の契約となります。

  [渉外契約の定義]
  (a)当事者の一方又は双方が外国人、無国籍人、外国企業もしくは組織
  (b)当事者間の民事法律関係の設立、変更、終了の法的事実が外国で発生
  (c)訴訟目的物が外国にある民事案件を渉外民事案件とする。



3.以前、遭遇したケース(1)

以前、当社の中国現地法人が、日系の取引先から提示された基本契約書に、「準拠法」は「日本法」、「仲裁合意条項」には仲裁機関を「日本商事仲裁機関」と定めているケースがありました。

中国法人同士の契約で上記内容はいかがなものかということで、変更依頼をしたものの、先方のグループ統一フォーマットで、日本の親会社が変更を認めないとか何とか言って変更してくれませんでした。

上記は、当方が売主の基本契約書で、売主である当社の権利で定められているのは代金の受領債権くらいなもので、大手日系の顧客の為、債権回収リスクは少ない中、品質保証責任等、当社の義務の方が多数定められていた為、仲裁判決で当方が敗訴しても執行不能になるからよいかと、最終的には原文通りで締結した記憶があります。



4.以前、遭遇したケース(2)

そういえば、少し話は変わりますが、日本法人の取引先と当社の中国現地法人間の秘密保持契約書で、先方から提示されたフォーマットに、「紛争の解決方法」が「日本での裁判」と定められているケースがありました。

上記ケースでは、当方は秘密情報を受領するだけで、当方から先方に秘密情報を開示することは想定されていなかったので、契約違反するとしたら当方しか無い中、仮に当方の中国現地法人が上記契約に違反して裁判を提起されて敗訴した場合でも、日本の裁判所の判決に基づいて中国では執行されることは無いから、上記日本法人の取引先は泣き寝入りをするしかない、ということで、あえて仲裁条項への変更は提案せずに締結したこともありましたね ( ´,_ゝ`)

実際、上記ケースで訴訟に発展した場合、どうなっていたんでしょうね~。
執行出来るものならしてみろとか言っちゃってたんでしょうかね ( ´,_ゝ`)

ただ、上記訴訟が、日本法人の取引先が当社の中国現地法人に対して賠償請求するような係争案件だった場合、上記日本での判決に基づいて日本での執行は可能なので、当社の中国法人が親会社である当社に対して売掛債権を有していた場合、当該売掛債権が差押されることはありえますね (,,゚д゚)



5.結論
いずれにしても、地理的有利さだけで安易に準拠法、紛争の解決方法を選択することなく、執行可能性、準拠法に関する強行法規を念頭にして契約審査・ドラフトしたいものですね。





[中国契約法 第126条]
渉外契約の当事者は契約紛争に適用する法律を選択することができる。但し、法律に別段の定めがあるときはこの限りではない。渉外契約の当事者が選択しないときは、契約と最も密接な関係のある国の法律を適用する。中華人民共和国で履行する中外合弁経営企業契約、中外合作経営企業契約、中外合作自然資源調査開発契約には中華人民共和国の法律を適用する。




「民事訴訟法の適用に関する若干問題についての意見」
(最高人民法院審判委員会1992 年7 月14 日制定,同日公布,同日施行)

第18 渉外民事訴訟手続の特別規定
第304条 当事者の一方又は双方が外国人、無国籍人、外国企業もしくは組織、あるいは当事者間の民事法律関係の設立、変更、終了の法的事実が外国で発生、あるいは訴訟目的物が外国にある民事案件を渉外民事案件とする。



[その他、本書で参考になった内容等]
・中国では、債権が二重に譲渡された場合、債権譲渡契約の締結時期が早かった
 譲受人が優先される。日本のように対抗力を備えた通知という概念は無い。

・無断録音は、他人のプライバシーや商業秘密、国家機密を侵害しない場合には
 証拠として使用可能と一般的に解されている。
          ↓
 契約交渉をICレコーダーで録音した場合は、証拠に使えそう。

・中国の訴訟は、日本の訴訟と比較して、口頭主義の要素が強い。

・中国の民事訴訟法(第125条2項)上、答弁書の提出は義務ではない。

[以下、中国の民事訴訟法 第125条2項]
2.被告が答弁書を提出しない場合にも、人民法院の審理に影響を及ぼすことはない。



・中国では、リバースエンジニアリングによって得た情報は基本的には
 自由に使用することができる。不正競争防止法における「商業秘密」の
 侵害に該当しないとされている。
 (「不正競争民事案件の審理の法適用についての若干問題に関する解釈」第12条)

・請求権競合
 中国法上も債務不履行責任と不法行為責任の並存(請求権競合)が
 認められているが、訴訟を提起する時点で、いずれかを選択する必要がある。
 民事訴訟の訴えでは、客観的選択的併合は認められていない。

・違約金の金額が実際の損害額の130%より高い場合、違約金の金額が
 実際の損害よりも著しく高いとして無効となる。
 (「契約法の適用の若干問題に関する解釈(二)」第29条2項)

  [個人的メモ]
  個人的な経験上、上記解釈に該当して違約金の定めが無効とされたケースも
  ありますが、130%を超えていても不当とは認定されず、契約書通りの
  遅延損害金の利率が認定されたケースもありましたので、
  ケースバイケースなんでしょうね。

  以前、130%を超えた損害賠償金の利率を裁判で認定されて、また、
  弁護士費用+請求金額を大きく超える実勢価格のある抵当権を当方が
  設定していた中、強制執行・抵当権の実行をさせないように、
  時間稼ぎ作戦をしてきた取引先がいました。

  相手方が時間稼ぎをすればするほど、遅延損害金がどんどん膨らんでいく状態で、
  銀行金利が雀の涙である中、ある意味良い金融商品を手にして
  ウハウハな状態だったことがあります(゚∀゚)
  遅延損害金のことが頭になかったのでしょうか。以上、蛇足でした。



・増値税専用発票は税務局から貸与されたシステムを用いて発行される。
 発行内容は全て税務局によってオンラインで捕捉、把握されている。


  [個人的メモ]
  中国のサプライヤーの中には、モノを出荷後、増値税専用発票を発行すると
  売上を計上しなければならず、支払うべき税金が増加するので、なかなか
  増値税専用発票を発行してくれないサプライヤーもいます。

  「自社が発行した増値税専用発票の額」から「現実に受領した増値税専用発票」の
  差額を納税する必要があるので、サプライヤーから増値税専用発票を貰えないと
  増値税の負担額が増加するので、注意が必要ですね。



・不動産に抵当権を設定する場合、建物とその敷地の土地使用権の両方に抵当権を
 設定する必要があり、片方のみ設定した場合は両方に設定したものとみなされる。
 (「物件法」第182条)

・中国でも売掛金について質権を設定することは出来るが、日本法と異なり、債権者による
 直接取りたてが認められていない為、担保としての実効性は不十分。(流質契約の禁止)

・中国では「事情変更の原則」が明文により認められている。
 (最高人民訪院の司法解釈)

・中国では粗悪な模倣品が出回っていることもあり、中国内でPLのクレームを受けた場合は、
 本当に自社が納入した製品かどうか、事実確認をした方が良い。

change china hou taikei

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込
(オードリー 若林 正恭さん著作)

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