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総務&法務担当の部屋     

現在、ある企業で法務担当として仕事に従事している者です。このブログは、特に法務に関する書籍や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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実効性の高い「海外贈収賄防止コンプライアンスプログラムの作り方」を求めて・・

1.仏作って魂入れずとならないように

今般は、「海外贈収賄防止コンプライアンスプログラムの作り方」(國廣 正氏、五味 祐子氏、中村 克己氏著作)を読んでみました。

早速ですが、本書で個人的に心に留まった箇所を以下の通り抜粋させて頂きます。


 社内規則に、「外国公務員に対する一切の交際(接待・贈答)を禁止します」「贈答に該当する行為や、その疑いのある行為を行ってはなりません」といった非現実的な規定や抽象的な規定を置いても、企業は贈賄リスクを合理的に防止することが出来無い。現地の駐在員やプロジェクト担当者が、「何がよくて、何が悪いのか」を実際のケースに当てはめて判断できるように、社内規則には、禁止行為が明確な形で定められなければならないのである。



 現場がこのような「悩ましい立場」におかれることを前提にして、単なるタテマエ論に止まらない対応策を考えなければならない。この場合に気をつけなければならないことは、「こちらから賄賂を持ちかけたかわけではない(だから仕方ない)」「断ると仕事に支障を生じ、会社に迷惑がかかる(だから仕方ない)」「コンサルタント料や外注費として支払うのだから賄賂にはならないだろう」といった現場担当者の「正当化」をいかに防ぐか、ということである。
 大事なことは、現場で問題を抱え込まない(現場に問題を抱え込ませない)ということである。


まさに上記の通りですね。本社が「贈収賄はダメ」と現地に発信するのは簡単ですが、現場からすれば「本社は何も分かっていない」と思うだけで、贈収賄防止について高い効果は期待出来無いでしょう。

自社の役職員が贈賄(私利私欲の為ではなく、ファシリテーションペイメント等、会社の利益を考えた上での便益提供)に関与していることを経営トップが何となく、気付いているものの、黙認して上記タテマエを発信しているだけでは、現場を苦しませるだけで、経営者としての責任を放棄していることと同じですね。

経営トップには、贈収賄防止に向けて強くコミットメントして貰い、(私のような)コーポレート部門としては、現地の慣習も十分考慮した、実効性の高い贈収賄防止プログラムを策定する必要がありますね。



2.本書に期待していた事項

ちなみに、私の所属会社は、業界上、日本国内外の行政当局と入札等を通じて取引するケースはほぼゼロということもあり、本書に期待した内容は主に下記の2点です。

(1)中国等の贈収賄防止規程を念頭に、民間の取引先に対する贈賄防止ルールを徹底する際、
  実効性を高める為には、具体的にどのようなルールを導入すれば良いか。

(2)当社では贈収賄防止規程を策定済であり、ファシリテーションペイメントも
  禁止としているが、「後は現場にお任せ」という感じで、このままで良いのかという懸念がある。
  そこで、本社の承認を得た場合を例外とする、というような例外規定を置く場合、
  具体的にどのような判断基準を導入すれば良いか。



3.本書の内容、参考になった事項

本書では、本書末尾に資料編としても掲載されている

「外国公務員等に対する贈収賄防止に関する基本規程(雛形)」
「外国公務員等に対する便益提供等に関するガイドライン(雛形)」

等の条項を随時、参照しながら、贈収賄防止に向けた社内規則・ルールの制定方法等が解説されていました。

ただ、上記雛形規程(雛形)は、あくまで外国公務員に対する贈賄を規制対象とした規程で、取引先に対する贈賄行為は規程の範囲外となっておりました。

また、上記雛形規程の建付け上、外国公務員に対する金銭(ファシリテーションペイメントを含む)・接待・贈答その他の便益の提供は禁止とされており、例外として、

(1)所定のガイドラインに応じて、事前承認を得た場合
(2)緊急避難として外国公務員からの便益の提供に応じた場合で、
   事後に上記提供をした事実を報告した場合

は、上記規程の罰則対象外とする旨、定められていました。

また、「外国公務員等に対する便益提供等に関するガイドライン(雛形)」では、本社のコンプライアンス・オフィサーは、外国公務員に対する接待・贈答、経費の負担に関する申請を受けた場合、「目的」、「時期」、「回数」、「節度」という4つの判断基準を総合的に検討して、問題無いと判断した場合に限り、承認するという内容となっておりました。個人的には、上記4つの尺度を知れたのは参考になりました。

ただ、個人的に、もやっとした疑問が残ったのが、申請を受けて判断する本社側としては、公務員に対する明らか接待・贈答その他の便益の提供であれば、可否について比較的容易に判断可能であるものの、例えば、ファシリテーションペイメントや取引先に対する接待・贈答その他の便益の提供について事前申請が合った場合、「これは問題無い」として判断し切れるのか。

緊急避難を除き、不正な意図の無いファシリテーションペイメントなんてものがあるのか。

保守的に見て、グレーな場合は全て反対する、という硬直的なスタンスを取らざるを得ず、過剰対応の結果、ビジネスを阻害してしまわないか、と言う点は、本書に解説は無く、個人的にはすっきりしなかったですね・・。

上記については、各国によって贈収賄防止ルールの有無、厳格さ、リスクの高低が異なるので、明確な判断基準は出しにくいかと思いますが、各国別に、より具体的な判断基準を提示した類書の出現に期待したいと思います・・。

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・レベルアップをめざす企業法務のセオリー 応用編
 一段上の実務とマネジメントの基礎を学ぶ
 (瀧川 英雄氏著作)


[本書にて参考になった事項、再確認させられた事項]
経営トップは法律論を求めていない。
要は何が起きて、何が問題で、どのような選択肢があるのかを求めている。

初動の遅れは、その案件の選択肢を減らし、時には致命傷となる。

「事実」と「意見」を区別して報告すべし。

(忙しい)トップにメールを送付する場合、結論とポイント部分はスクロールしなくても一読出来るようにするのが原則。

以下のような行動は部下のモチベーションを下げるので注意が必要。
・任せきりで、進捗や結果に興味を示さない
・マイクロマネジメント
・部下の報告・相談に対していつでもネガティブモード
・上から指摘された事項を、自分で良く咀嚼することなく、
 部下にそのまま伝達・指示する
・中途半端に手を出した状態の仕事を部下に投げる

[メモ]
主観としては、上記行動は取っていないつもりですが、相手はそう思っていないかもしれないので、気をつけたいと思います・・。
特に一番上の「任せきりで、進捗や結果に興味を示さない」については、「信頼して任せること」と「無関心」は違うと思いますので、随時、進捗状況を確認したいと思います。

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・Business Law Journal 2017年12月号
Q&A 法務相談の現場から他社から 今月の相談「特許権侵害警告書が届いた際の初動対応」(黒田法律事務所 吉村誠弁護士)


積読していて、読み忘れていた上記書籍を遅ればせながら読んでみました。

[本書にて参考になった事項]

他社から特許権侵害警告書が届いた場合、まずは下記事項を調査する必要があり、警告書にて他社が指定した回答期限以内では、自社のスタンスを判断出来ない場合もある為、なるべく時間稼ぎ行う必要があるとして、その手法が紹介されていた。
上記事態が発生した場合は、上記記事を再度、参照したい。

[調査項目]
・相手の特許権の内容
・相手の特許権のクレームに自社製品が入っているか
・相手の特許権の無効理由
・自社のリスク分析
・先使用権の主張の可否

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