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基幹系システムを活用して懸念事項のある締結済契約書を社内周知する方法

前置きがやたら長くなってしまったので、表題の方法を採用するに至った私の所属会社特有の事情・経緯等についてご興味の無い(大多数の)方は、下記2(3)にお進みください・・。

1.懸念事項のある締結済契約書を周知する必要性

当社は某商材に関する専門商社なので、サプライヤーから購入した製品を顧客に販売するビジネスを展開しています。

そのような中、例えば、当社のA支店がサプライヤーX社と取引口座を開設した際、X社と基本契約書について交渉した結果、下記の通り、X社の補償責任が通常よりも制限された形で契約に至る等、やむなく、懸念事項のある契約書を締結せざる得ない場合もあります。


※以下、懸念事項のある契約条項の一例

[X社の納入した製品に瑕疵が発見された場合の補償方法]
サプライヤーの補償方法は「修理」、「交換」、「返金」に限られ、「損害賠償」は行わない。



一方、通常、当社と顧客と締結する基本契約書では、当社が納入した製品の瑕疵に起因して顧客に損害が生じた場合、当社は、当該損害を賠償する旨、定めております。

「当社とサプライヤー」、「当社と顧客」間の補償方法のギャップが生じていることは、契約交渉に関与した当社A支店の営業担当は当然、把握しておりますので、実務上、ギャップが生じないよう、顧客と取り交す仕様書や見積書に、サプライヤーXの補償方法を考慮した条件を記載して、当社が単独で顧客に責任を負担することが無い様、対応してくれます。

ただ、サプライヤーXと取引口座を開設後、しばらくして、当社のB支店が、サプライヤーXと他の顧客(H社)向けに新規取引を開始しようとする際、当社のA支店とB支店間で、X社の基本契約上の留意事項について情報共有が出来ていないと、補償条件上のギャップが生じた状態で取引してしまうリスクがあります。



2.懸念事項のある締結済契約書を周知する方法

(1)法務部門から周知 → 効果薄・・

上記リスクがある為、約3年前位から、当社に不利な条件で基本契約等を締結した際には、私が所属している法務部門が「懸念のある契約書一覧」(実際のファイル名は少し違います)を作成し、社内ポータルサイトに掲載して、社内周知を図っております。この辺の事情は、下記記事にも掲載しています。

「締結済の契約書を全社で共有する方法(BLJ 2016年7月号)」
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-519.html

しかし、当社の業界の場合、締結済の基本契約書を読み込まなくても実務が回ってしまう中、私の周知不足もありますが、そもそも、一部の志の高い営業担当は別として、営業担当が忙しい中、わざわざ社内ポータルから入っていって、「懸念のある契約書一覧」を見に行く人がいるかというと、私が言うのもなんですが、かなりの少数かと思われ、法務担当の自己満足で終わっている感があります。上記試みは今でも継続していますが、若干の虚無感を感じています。。。



(2)営業部門で確認するルールを設ける → 効果が出るのはまだ先・・

上記の反省を踏まえて、本年の初旬に、各営業担当者は、新規・既存の取引にかかわらず、自分が担当している「当社と顧客」、「当社とサプライヤー」間の「基本契約書(保証条件を記載したその他の契約書を含む)の有無」、基本契約書上の4つの重要ポイント(品質保証期間、不具合発生時の補償方法等)を確認して貰い、当社がサプライヤーにて対応可能な範囲を超えて、顧客に対して過度な責任を負担している取引は無いか、営業部門が確認するルールを設けました。この辺の事情は、下記記事にも掲載しています。

近々、各種契約書の全社公開に向けて文書管理システム(クラウド版)を導入します。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-539.html

ただ、上記試み前にある程度、想定はしていましたが、私の周知不足もありますが、そもそも、一部の志の高い営業拠点長のいる拠点の営業担当は別として、大多数の営業担当は、上記確認をしている暇は無いということで、ルールがなかなか浸透しません。

なお、先般、営業部門が契約関係を確認した結果を見て欲しいということで、法務部門でダブルチェックしてみたのですが、確認結果が間違えているものが散見されました。

そこで、どうせダブルチェックするのであれば、初めから法務部門でチェックした方が早いということになり、結果として、各拠点の販売高上位10位の顧客とその顧客向けに製品を供給しているサプライヤーに対象を限定して、法務部門で契約関係の確認をすることになりました。

ただ、法務部門の人員にも限りがあるので、全ての拠点に関する上記契約関係を確認するには、今期一杯は時間が掛かりそうです。。。チェックすべき契約案件も多数あるなか、なかなかハードな話です。



(3)基幹系システムを活用して懸念事項のある締結済契約書を周知

前置きが非常に長くなりました。。

懸念事項のある締結済契約書を周知する上で、これまで試みてきた上記(1)、(2)の周知方法には効果・対応に限りがあることが分かりました。

そこで、懸念事項の定めのある契約書を締結している場合には、その内容を、基幹系システム上の「顧客マスタ」、「サプライヤーマスタ」に登録して、受注登録、発注登録をする都度、ポップアップ画面で、懸念事項が「強制的に」表示される仕組み作りを、現在、検討しています。

「ポップアップ画面が出てきても、直ぐに消されるだけで意味がない」という社内意見もありますが、そこは、重要性の周知でカバーしていきたいと思います。上記画面を無視し続けてトラブルが発生したら、営業部門が責任を問われますと脅してみるとか・・。

なお、上記仕組みを導入する場合、既存の某基幹系システムを改修する必要があります。
また、要検討事項としては、毎回、ポップアップ画面が出てくるのはウザイという意見もあり、「今後このメッセージを表示しない」というチェックボタンの機能を追加するかどうかを検討しています。
上記オプションを追加しない場合は、約30万円の初期費用で済みますが、上記オプションを追加した場合、コストが3倍の約90万円に増加します。

ただ、毎回出てくるのはウザイとはいっても、上記チェックボタンを押した直後は、懸念事項の存在を認識していたとしても、1年後、そのことを覚えているのかどうかは怪しいので、近々、営業実務の分かる人を交えて、どのようなシステムであれば、ウザ過ぎず、また、効果薄にもならないお湯加減になるのか、協議する予定です。

上記試みの推移については、今後も本ブログで取り上げたいと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

知財担当者になったら読むべき本」(大石憲一氏著作)

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[本書で参考となった事項、再確認させられた事項]
・「発明」と「発明品」は異なる。「発明」を実施形態や図面で判断してはいけない。

・意匠は特許と異なり、意匠の内容を補正することは困難なので、拒絶理由通知を受けた場合は、
 意見書で審査官の判断を覆すしかない。但し、意匠に係る「物品」を補正する場合はある。

・意匠制度には出願公開制度は無い。

・意匠権には、「登録意匠に類似する意匠」という概念があることもあり、意匠の類比判断は
 非常に難しい、ということを逆手に取り、特許権ではなく、意匠権で商品や製品を保護する選択肢もある。

[個人的メモ]
上記内容については、以前、「知的財産管理技能検定」2級を勉強した際に学習した覚えのある項目も含まれていますが、実務で使わないと忘れてしまうものですね・・。

知財については個人的に興味のある分野であるということもあり、今後、定期的に関連する書籍を読むなどして、ブラッシュアップしていきたいと思います。

また、「1級知的財産管理技能検定試験」の問題集がもっと充実してきたタイミングで、同試験の受験も検討したいと思います。



下請法の実務〔第4版〕(鎌田 明氏編著)

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[個人的メモ]
下請法の担当者にとっては、下記公取委のHPに掲載されている、公取委・中小企業庁が発行している「下請取引適正化推進講習会 テキスト」がバイブル的な存在かと思います。

http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.html

なお、上記書籍と上記テキストを正確に比較したわけではありませんが、あくまで個人的な感覚としては、上記書籍は、前公正取引委員会事務総局 取引部企業取引課長だった鎌田明氏が編著したものであることもあり、上記テキスト以上のことは書かれていなかったように思われます。その為、下請法について知りたい方は、上記テキストを読み込めば十分かと思います。たぶん。。

上記テキストは随時改定されますので、特に公取委や中小企業庁から新たな通達等が出た場合は、その通達等に言及された最新版をチェックしたいものですね。
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