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一義的に条項の解釈が決まらない契約書は紛争の元になる。

契約書に関して解説した書籍はこれまでたくさん読んできまして、もう読む必要は無いかなとは思うものの、本屋やアマゾンで新しい本に遭遇すると、何か一つでも仕事に活かせることが書いてあるのではないか、ということでつい手に取ってしまいますね。上記フレーズはたびたび、本ブログで書いているような気が・・。

さて、今般は、「弁護士が教える実は危ない契約書-実践的リーガルチェックのすすめ-(櫻井 喜久司氏著作)」を読んでみました。

早速ですが、本書で心に留まった箇所を抜粋させて頂きたいと思います。
下記は、「契約期間の更新条項」について解説された箇所の一部です。


(2)更新条項の記載方法

問題は更新条項の書き方です。
例えば、「期間満了の3ヶ月前までに甲または乙から更新しない旨の通知が無い場合に更新する」という書き方が巷に溢れています。

しかし、これだと、「甲または乙」=「甲or乙」、つまり、甲と乙のどちらか一方でも通知しなければ更新する、という意味になってしまいます。逆にいくと、甲が更新しない旨の通知をして乙がしなかった場合でも更新することになるのです。これでは更新しない通知をした甲は、意に反して更新を強制されてしまいます。このような書き方は、紛争の原因となるので注意が必要です。

そこで、例えば、「当事者のいずれからも」とすることによって、紛争の原因を解消することができるのです。



上記のように、このような意図で書いた条文ではないけど、そうとも読めてしまう条文というのは、特に、取引先から自社の雛形契約書に対する修正案を提示された際や、取引先の雛形契約書に対する修正案を作成したのでチェックして欲しいということで、後輩からチェックを依頼される修正案でたまに目にします。

例えば、期限の利益の喪失条項について、双方対等な内容にしようと、下記のような修正案を提示されることがあります。どのような支障があるか分かりますでしょうか?


[原案]
第○条(期限の利益)
乙が、第○条(契約解除)各号の一に該当する場合、乙は、甲に対して負担する債務のすべてにつき当然に期限の利益を失い、ただちに全額を弁済しなければならない。
                  ↓
[修正案]
第○条(期限の利益)
甲および乙が、第○条(契約解除)各号の一に該当する場合、甲および乙は、相手方に対して負担する債務のすべてにつき当然に期限の利益を失い、ただちに全額を弁済しなければならない。



修正案ですと、細かい話、甲と乙の双方が第○条(契約解除)各号の一に該当した場合に限り、甲と乙の双方が期限の利益を喪失するので、甲と乙のいずれか一方だけが第○条(契約解除)各号の一に該当した場合、当該当事者が期限の利益を喪失するのかどうか不明確な内容になっています。

契約を締結する前であれば、そのような解釈をするとは思っていない場合でも、上記修正案で締結した後、しばらくして、契約の相手方から期限の利益の喪失を主張された他の当事者は、上記理屈を持ち出して、期限の利益の喪失はしないと主張するかもしれません。

もし、裁判になれば、契約書の趣旨からして、上記屁理屈は認められないかもしれませんが、当然のことながら、全てを裁判で解決するわけにもいかず、たいていの問題は話し合いで解決されますので、「裁判になれば勝てる」というのは、不完全な契約条項を正当化する理由にはなりません。

○○○のような意図は無いけども、○○○のように解釈出来てしまうという、一義的に解釈が決まらない条項というのはは、契約として致命的ですので、契約相手から変な屁理屈を言われない為にも、目の前の文章で解釈が確定されているかどうか、特に一からドラフトする場合や修正案を作成する場合には、気をつけたいものですね。

解釈が一義的に決まらない問題については、本書にて、他の箇所でも解説されており、参考になりましたので、以下の通り抜粋させて頂き、ペンを置きたいと思います。


①この契約書は、賃貸人工と賃借人乙との間の賃貸借契約書です。第△条の1号は、賃借人乙が賃料の支払いを3回以上怠ったら、賃貸人甲は賃貸借契約を解除することができる、と規定しています。一見、特段問題ないように見えます。現実にも、このような書き方をした契約書が溢れています。

②しかし、このような「○回以上滞納」という書き方は、後日の紛争の原因となります。上記ケース研究「×」の第○条によれば、賃料は月額金10万円となっていますが、例えば、賃借人の乙が、先々月は金7万円、先月は金5万円、今月は金3万円を支払った場合、どう考えるべきでしょうか。

(中略)

しかし、賃借人乙から見れば、各回の支払額が不足しただけであり、賃料の支払いを3回以上滞納したわけではないと反論するでしょう。その結果、解除事由の解釈を巡って紛争に発展してしまうのです。



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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

なぜ僕たちは金融街の人びとを嫌うのか?
(ヨリス ライエンダイク氏著作、関 美和氏翻訳)


本書は、金融業界について全くの門外漢だったジャーナリストの著者が、ロンドンの金融街で働く200人超の人々にインタビューする中で、著者が「空っぽのコックピット」と表現する当該業界の問題点をあぶり出していく、という内容です。

著者によれば、金融危機が起きた当時だけでなく今でも、以下のような金融業界の構造は存続しており、この構造を改善しない限りは、金融危機が起きる火種は残ると主張しています。

・金融業界の役職員には雇用の保障が全く無い中で、収益に対する大きな
 プレッシャーを受ける為、目先の利益しか考えなくなる。
・原則、買い手がリスクを負担する構造。
・金融商品が複雑になりすぎて、金融機関のトップは、取り扱っている商品が
 どのような商品で、どこにリスクがあり、どのようなリスクを取っているのか
 把握出来ていない。
・大きすぎて潰せないという構造。

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図解 カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門
(平野敦士カール氏著作)


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ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方(横張 清威氏著作)

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