書籍:法律実務家が知っておきたい作法(原 秋彦氏著作)

今般、原 秋彦氏著作の「法律実務家が知っておきたい作法」を読んでみました。

原 秋彦氏といえば、(私が約10年前に法務担当になり立ての頃に読んで感銘を受けた)名著「ビジネス契約書の起案・検討のしかた」の著者で、「法律実務家が知っておきたい作法」について期待を持って読み始めましたが、本書でも色々と気付きを与えられました。

その内の一部を、以下の通り抜粋させて頂きたいと思います。


自分方の企業の関係者との事情聴取・打ち合わせをしてはじめて見えてくるような潜在的なリスク・トラブル、放置できないほどに深刻な潜在的なリスク・トラブルというものが、往々にして存在する。

その意味で、ファクシミリやEメールで送られてきた<自分方の企業(営業担当部門)自身の作成にかかる契約書案や相手方作成のドラフトを文面だけでレビューすることの限界>、「相手方の契約書ドラフトをファックスで送っておきますから、何か問題無ないかどうか、見ておいてください」といった<契約書ドラフトを前提情報なしでレビューするという依頼に応じることの現在>を、法律実務家としては自覚しておきたい。



1.契約審査の前に取引内容を良く確認することの重要性

以前、当社に後輩法務担当が入社したばかり頃、他社で契約審査経験があるということで、試しに、営業担当から確認依頼を受けた取引基本契約書を渡して単純にチェックを依頼してみたところ、「特に問題ありませんでした。原文通り締結して良いかと思います。念の為、ダブルチェックをお願いします。」というフィードバックを受けました。

そこで、取引の商流や取引商品、取引規模等を聞いてみたところ、取引に内容について、営業担当に何も確認しないで契約内容を表面的にチェックしていることが分かりました・・。ただ、今では上記のようなことなく、押さえるべき事項を営業担当からしっかりヒアリング、確認した上で、契約審査対応をしてくれています。

本来は、法務部門の方から確認を依頼しなくても、営業担当から自発的に、取引の内容・背景、営業担当が考える目の前の取引特有のリスク等を提示した上で契約審査依頼をしてくれるのが一番かと思いますので、随時、社内啓蒙を進めていきたいと思います。

なお、当社では以前、法務部門としての要ヒアリング項目を記載した申請フォームを作成して、当該申請書に必要事項を記載・提出した上で契約審査を依頼しないと、審査しないルールを導入することも検討したことがあります。

ただ、上記ルールにした場合、審査の効率はUPするものの、法務部門の敷居が高くなってしまうという懸念が持ち上がり、未だに導入していません。ただ、昨今、そうも言っていられないほど忙しいので、そろそろ、再検討しようかと思います。

2.ライセンス契約に関する検討すべきリスク

本書では、「ライセンス契約におけるリスクの想定の具体例」と題する箇所で、ライセンス契約を検討する上で「比較的通有的で一般的な、想定可能なリスク」がいくつか挙げられておりました。

日頃、頻繁にチェックすることのない種類の契約書について、営業担当から、取引先の作成したドラフトの確認依頼を受けた際、当該ドラフトに既に記載されている条項の受け入れの可否については、比較的容易に検討出来るかと思います。一方、自社のリスクをマネージする為、目の前の契約書には記載されていないけど追記すべき条項というのは、なかなか思いつかないものですが、個人的には、ライセンス契約書が上記に該当します。

今後、ライセンス契約を検討する際に備えて、著者が挙げていたライセンス契約に関する検討すべき複数のリスクの内、あくまで当社に関係ありそうで、個人的に見落としてしまいそうなリスクの一部のエッセンスを、備忘の為に以下の通り記載しておきたいと思います。その他の検討すべきリスクの詳細については本書P140~P143をご参照下さい。

[想定されるリスク]
リスク(1)
ライセンス契約が途中解約された場合、ラインセンシーはイニシャルペイメントの全部か一部の返還を主張出来るか。

<備忘メモ>
ライセンス契約の締結前から、ライセンス契約の終了時や途中解約時の条項の追記を検討・提案するのは気が引けるものですが、上記は揉めるポイントの一つなので、イニシャルペイメントに限らず、例えば、契約終了時に残存している在庫の処分方法、買取り義務の有無、その他、契約終了時に処々の事項はどうなるのかについては、しっかりと定めておきたいものですね。

リスク(2)
ライセンサーが、使用許諾している無形資産(特許権を含むがこれに限らない)をライセンシーに無断で第三者に譲渡したり、はたまた、ライセンサーが倒産して管財人が無形資産を第三者に譲渡した場合、ライセンシーは対抗出来るのか。

3.本書で登場した、個人的に心に留まった言葉

「下手な長考、休むに似たり」

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<本書 目次>
1 はじめに
2 「紛争処理業務」における初動対応としての面談並びに関係資料の収集・整理
3 法務文書の起案・作成
4 法務文書における用語・語法
5 法務文書における引用の一般的作法
6 法務リサーチ
7 契約書案の起案と検討
8 周辺専門家との協働
9 国際業務における外国弁護士との協働
10 終わりに



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>

弁護士の格差 (別冊宝島)

bengosi kakusa



法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典
(影島 広泰氏著作)

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海外事業を成功に導く 経理・財務の教科書
(染谷 英雄氏、湯浦 克彦氏、河辺 亮二氏著作)

kaigai_convert_20171007110318.jpg



初心者でもわかる!中国ビジネス担当者マニュアルステップワン
中国進出・組織構築・撤退編、貿易・ビジネスモデル編
外貨管理・クロスボーダー人民元編、国際税務編
(水野真澄氏著作)

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初心者でもわかる! 中国ビジネス担当者マニュアルステップワン2
(会計編、企業所得税と個人所得税編 流通税編)
(水野真澄氏著作)

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