(下請法上の)下請事業者との相殺に関する一考察(ケーススタディ)

下請法 第4条第2項第1号に基づき、「有償で支給した原材料等の対価を、当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること」は禁止されております。

では、以下のケースは下請法上、適法なのでしょうか?

最近、社内で下記内容の相談を受け、下請法担当者のバイブル的な存在である「下請取引適正化推進講習会テキスト」(中小企業庁・経済産業省)では触れられていなかったので、公正取引委員会の相談窓口に質問してみたのですが、その確認結果を、個人的な備忘と誰かの参考の為に、以下の通り書き留めておきます。



Q.下記のような支払い方法は下請法上、問題無いのか。
  
  1. 下請代金の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)下請代金
      120万円
  
  2. 有償で支給した原材料の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)原材料の取引金額
       100万円

  3. 前提条件
    親事業者が2017年X月に下請事業者に製品の製造を発注。
    親事業者は当月中に下請事業者に有償支給材を納入し、同月中に
    下請事業者から有償支給材を用いて製造された製品を受領。
    2017年(X+1)月末に、上記1と2の支払い期日が到来する。

  4. 質問事項
   下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)を2017年(X+1)月末で相殺し、
   親事業者がその差額の20万円について、下請事業者に手形払いすることは、
   下請法上、問題無いか。



A.下請法上、問題無し。

上記相殺については、親事業者の禁止事項である、「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」にも「下請代金の支払遅延の禁止(物品等を受領した日から起算して60日以内に定められた支払期日までに下請代金を支払わないこと)」にも該当しない為、下請法上、問題無し。

※2016年12月14日付で公正取引委員会が出した下記の通達(=下請代金の支払手段について)1と2は、今のところ努力義務である為、考慮しないものとします。


<通達:下請代金の支払手段について>
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、
  下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と
  下請事業者で十分協議して決定すること。
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の
  業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、
  将来的には60日以内とするよう努めること。





「個人的な疑問点」
上記ケースで、もし、相殺をせずに、「下請代金」と「原材料の代金」を別個に支払いした場合、下請事業者は、下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)の差額である「20万円」の手形ではなく、下請代金の「120万円」の手形を親事業者から受領出来ることになります。

そうなりますと、下請事業者は、上記手形を受領した時点ではまだ、原材料の代金の支払いについて、手形サイトの120日分、猶予されていますので、親事業者から受領した手形を割引して現金化すれば、「20万円の手形」を割引したときと比較して、割引手数料は別として、「100万円」分、多いキャッシュを手に入れることが出来、資金繰りが楽になります。

なので、下請法第1条で定めている本法の「目的」(親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護)を考えれば、上記のような相殺は下請法上、問題があるかもしれないと思い、上記疑問点を提示した上で、公正取引委員会の相談窓口に相談してみましたが、繰り返しとなりますが、結論としては法律上、問題は無いようです。

ここまで読んできて(ここまで駄文にお付き合い頂き、ありがとうございます・・)、そもそも、下請事業者との「支払方法」を「手形払い」ではなく、「現金(振込)払い」で合意しておけば、上記問題は生じないじゃね?という疑問が沸いてくるかと思います。

ただ、上記下請事業者とは、「有償支給材に関する取引」だけでなく、下請取引には紐付いていない、純粋な販売取引(当方:売主)も実施している取引先であり、同じ取引先口座:コードを使用していることから、このようなややこしい疑問が生じているわけです。

将来、下請法上の立ち入り検査を受けた際、万一、今回の確認結果とは異なり、「上記方法は違法です」と差し込まれたときに備えて、今回、確認した窓口の担当者の方の名前も含めて、確認結果を記録に残しておくようにしたいと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本>
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