(1)契約の開始日を過去に遡及する場合の留意事項、(3)契約書のサイン日、(3)中国の印紙税(印花税)の3本です

先般は、「秘密保持契約の実務―作成・交渉から平成27年改正不競法まで(森本 大介氏・石川 智也氏・濱野 敏彦氏 (編集))という本に関して、NDAの「目的」の定義を工夫して定めるテクニック ※使用上の注意ありという記事を書かせて頂きましたが、上記ポイントの他、下記のポイントに関する記述についても参考となる箇所がありましたので、以下の通り書き留めておきたいと思います。

契約の開始日を過去に遡及する場合の留意事項について

本書P28に、秘密保持契約の締結前に情報の開示が行われていた場合の対処法として、下記の3つの方法が挙げられています。
 ①秘密情報の定義に、「本契約の締結の前後を問わず」、相手方から
  開示された情報、というような括弧書きのような文言を加える方法
 ②バックデートで締結する方法
 ③契約の締結日は実際の締結日を記載し、契約の効力発生日を遡らせる方法

そして、上記②の方法は、後々、情報の開示時点で秘密保持契約の内容が合意済であったかについて争いが生じ得るので、選択すべきではないと解説されています。

特に、情報の開示時点と契約書の締結時点が離れている場合や、情報の開示後に契約書の修正のやりとりを行った事実がある場合には、「情報の開示時点で秘密保持契約の内容が合意済であった」という前提が成り立たないので、上記②の方法は採用しないほうが良いとのことでした。

ただ、秘密保持契約書に限りませんが、(特に立場の強い)契約相手方の要望により、上記②の方法で対処するケースは多々ありますので、万一、上記②で取り交して、情報の開示時点で秘密保持契約の内容が合意済であったかについて争いが生じた場合には、あくまで効力発生日を遡及させるとの黙示の合意があったことを主張するしかないですね。

契約書のサイン日について

なお、上記ポイントとはやや離れますが、契約書のサイン日をどうするのかについても、悩まされるポイントですね。

例えば、国をまたいだ当事者間で、米国法人、中国法人、日本法人(当社)の三社間で秘密保持契約書を締結する場合、米国法人、中国法人が既にサイン済で、サイン日の箇所には、契約開始日と同一日付が記載されていた場合、当社のサイン日にも同一日付を記載しなければならないのか。サミットみたいに三者が一堂に会した事実はないけど、細かいことは無視して、同一日付を記載しておけば良いのか。

上記のような場合、二度手間を防ぐ為、当社のサイン日をどのように記載するべきか確認するようにしていますが、実際のサイン日と異なる日付を記載することになった場合、後々、問題が生じることは無いのか、多少、不安を感じております。

さらに、同じような?問題として、たまに、契約書の本文に、「本契約は中華人民共和国 上海市で締結された」と記載されているものの、実際の契約当事者は、当社も日本法人、相手方も日本法人(但し、親会社が中国法人)で、日本で締結されており、事実と異なるが、このままスルーしても良いのか、という問題があります。

後者については、実際の締結場所は日本であり、中国で締結されたわけではないとして、契約書の効力が否定されてしまうリスクも(たぶんそんなに大きくは無いものの)あり得ますが、その他、契約書が基本契約書の場合、実際の締結場所は日本であるとして、日本の印紙税が発生するリスクがある、ということです。

その為、上記のような場合は、角が立たないように、契約書原本を自社で保管する場合に、後でこっそり印紙を貼付・消印して保管するよう対応していますが、日本以外にも印紙税制度がある国もありますので、将来、印紙税の二重課税問題が発生する可能性もありますが、その点はあまり深く考えないようにしていますが、不安は募るばかりです・・。

中国の印紙税(印花税)制度について

ちなみに、三菱東京UFJ銀行 国際業務部が発行している、BTMU CHINA WEEKLY 2015年10月14日号の「部品の製造委託取引と印紙税」という特集には、中国の印紙税(印花税)について、以下の通り記載されています。


1. 課税文書の一般的要件
(1)「印紙税暫定施行条例実施細則」(以下「細則」といいます。)2条は、課税文書の要件として「印紙税暫定施行条例」(以下「条例」といいます。)1条に定める「中国国内で締結された」という要件の解釈を定めています。即ち、中国国内で締結されたか、中国国外で締結されたかを問わず、中国国内で法的効力を有し、中国の法律の保護を受ける文書が課税文書とされています。

(2)「中国国内で法的効力を有する」についても課税要件として、これをどのように解釈すべきかが問題となりますが、一般的に印紙税の課税根拠が課税文書が各種の経済的取引の証憑であって課税国に関係する担税力の間接的な表れであることにかんがみると、基本的には、文書が中国の法領域にかかわり、中国国内で履行されることが予定されるものである以上、例えば、渉外契約当事者がその準拠法の指定合意により中国法の適用を排除したとしても、課税を排除することはできないと考えるのが合理的です。



ということで、契約書の準拠法にかかわらず、契約の履行地が中国の場合には、当該契約書が所定の課税文書に該当する場合、中国の印紙税(印花税)が発生することになります。

これまで、中国に限らず、当社、当社海外子会社における海外の印紙税の対応状況について調査したことはありませんが、ちゃんと対応出来ているのか怪しいものですので、今後、調査してみたいと思います(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

また、他社の法務担当の方にも、上記対応状況について、機会があれば確認してみようと思います。
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