合併して消滅会社から契約関係を承継した結果、契約書が重複する場合の優先関係

早速ですが、合併して、消滅会社から契約関係を包括承継した結果、同一の取引先との契約書が重複することになった場合の優先関係について、弁護士に相談した結果を、個人的な備忘の為と誰かのご参考の為に書きとめておきたいと思います。

なお、下記解釈はあくまで上記弁護士の個人的な意見であり、色々な考え方があるかと思います。
「その考え方、おかしいんじゃね」という方は、コメント欄からでもご指摘頂ければ幸いです。

<設問>
A社がB社と2016年6月1日付で合併し、A社(存続会社)は、B社(消滅会社)の全ての契約関係を包括的に承継した。

AとB社が合併する前、

(1)A社は、C社と2000年10月1日付で「基本契約書」を締結していた。
  ※A社のC社に対する瑕疵担保責任期間=納入後1年間

(2)B社は、C社と2015年4月1日付で「基本契約書」を締結していた。
  ※B社のC社に対する瑕疵担保責任期間=納入後5年間

上記の通り、2つの契約内容(瑕疵担保期間等)が異なる場合、合併後、A社とC社に適用されるのは、上記2つの契約内容のどちらか。

なお、上記の基本契約書は、いずれも、基本契約書が適用される取引製品、事業部門を特定しておらず、AC間、BC間の取引全般に適用される内容になっているものとする。

<選択肢>
(1)締結日の新しい契約書(B社とC社の契約書)が優先適用
(2)存続会社が締結していた契約書が優先適用
(3)その他

<回答>
A社とC社との間に、上記2つの契約が有効に存続している状態となり、ケースバイケースで判断される。

(ケース1)
A社内でB社の従前の事業を実施する部門(元B社の所属社員で構成)と、従前B社と取引をしていたC社の担当部門が取引する場合。
いずれの担当者も、「B社とC社との間の契約書」しか認識しておらず、A社とC社間の契約内容を把握していない場合は、BC間の契約書が適用される。要は、当事者間の認識を重要視する。

(ケース2)
A社とC社との間の取引で、双方の担当者が、二つの契約が存続していることを認識して、取引をしている場合。
通常、二当事者間において複数の契約書がある場合、日付の新しい契約が優先すると解釈される。
上記理由は、日付の新しい契約を締結するということは、日付の古い契約を廃止するという合意が黙示的に認められるということが根拠となる。

上記考え方は、上記ケース1には当てはまらないが、ケース2について大枠で該当し、日付の新しい契約書を優先したものとして(裁判所や仲裁廷で)判断される可能性が高い。

<個人的なメモ>
ということで、合併直後は別として、上記のように重複が生じた場合は、日付が新しい契約が優先されて適用される可能性が高そうですが、一方の当事者から「(日付の古い)○年○月○日付の契約書」に基づいて取引していたと主張されて紛争に発展する可能性もゼロでは無さそうですね。

そこで、紛争予防の観点からは、合併後、同一の当事者との契約書が複数存在することになる場合は、どちらかに一本化することを合意した契約書を取り交すようにしましょう。

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とはいうものの、なかなかそこまで手が回らないのが現状です。。。
M&Aをたくさん実施している会社はどうしているのでしょうかね。

私が所属している会社では、契約書原本は、私が所属している管理部門が保管・管理しているので、営業担当の方から、

「Z社との基本契約書の締結の有無を教えて下さい。もし、締結されていれば、そのコピーを下さい。」

と依頼を受けることがあります。

ただ、Z社は、過去、多数のM&Aを繰り返して実施しており、当社が、Z社が吸収合併した複数の消滅会社と基本契約書を締結している、というケースもありまして、どれが適用されるのか明確に回答出来無いケースがあります。。orz

また、折角、契約交渉をして妥当な契約を締結出来ても、合併した際に、その消滅会社から承継した契約書は、同一の取引先とろくに契約交渉をしておらず、消滅会社(存続会社となる自社)に不利な原文通りで締結しており、さらに、消滅会社から承継した契約書の日付の方が新しい場合、当該契約書が優先適用され、契約交渉した時間が無駄になる、という悲しい事態も想定されます。

シナジーを得るため、同業者を吸収合併すればするほど、自社に不利な契約関係がどんどん増えていくというスパイラルに陥る可能性もあるわけです。

その為、M&Aを検討している際に、特に同業者を吸収合併するような場合は、重要な取引先との契約書に重複が無いか、また、重複がある場合は相違点(不利な内容)が無いか、DDの段階からチェックをして、不都合のある重複は早く解消するように対応したいものですね。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
手ごわい頭脳―アメリカン弁護士の思考法(コリン・P.A. ジョーンズ氏著作)
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