書籍:キャリアアップのための知財実務のセオリー

今般は、「キャリアアップのための知財実務のセオリー ―技術を権利化する戦略と実行― (岩永 利彦氏著作)」を読んでみました。

本書は、「BOOKデータベース」によりますと、「OJTのベースとなる知財のセオリーを、知財担当者の心構えから個々の知財業務遂行スキルと案件での実践を豊富な事例で解説。知財戦略の立案、発明発掘、先行技術調査、侵害紛争の対応まで、知財業務を標準化。」という内容です。

本書では、「練習用箸」という発明を題材に、発明の発掘から出願、登録、特許侵害者への対応、自社が第三者の特許を侵害した場合の対応において、実務家目線で解説されています。

なお、本書のタイトルは「キャリアアップのための知財実務のセオリー」ではあるものの、ほとんどの紙面が「特許権」に割かれており、商標権、意匠権、不正競争防止法は、おまけ程度にしか触れられていません。その為、「キャリアアップのための知財実務のセオリー 」という書名は、内容と相違しているかと思いますが、いずれにしても、例えば、理系技術者が特許担当に異動となった場合等、これから特許実務の基礎を勉強しなければならない、という方には参考になる本ですので、手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

本書について、個人的に参考になった箇所を以下の通りまとめておきたいと思います。詳細について気になる方は、ページ番号を記載しておきますので本書をご参照下さい。

1.欧州特許庁のウェブサイト(Espacenet)では、各国に出願した特許(パテントファミリー)の
  検索が出来る。さらに、日本語に対応している。(P155)

 「Espacenet」とググったところ、「Espacent」の使い方を解説した資料がありましたので、
 とりあえず、以下の通りリンクを記載しておきます。

 欧州特許庁Espacenet を利用した特許出願・審査情報の取得方法
 https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/pdf/user03.pdf

 誰でも出来る簡単 欧州特許庁での特許調査方法
 http://trac.umin.jp/hospital/file/20111121/2.pdf

2.自社の特許権の実施者以外の者(実施者の取引先)に、実施者が特許侵害をしている旨、
  警告する行為は、不正競争防止法第2条1項14号の信用毀損行為(=競争関係にある
  他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為)に該当する可能性があるので、
  安易に上記行為をしないほうが良い。(P243)

3.「特許権侵害訴訟の判決のほぼ100%が最高裁のウェブサイトで公開されている。」
  (中略)
  「当事者が法人の場合、そのまま商号が掲載されることになる。上場企業のように、
  IRの観点から発表せざるを得ない場合でも大きなダメージであるが、上場企業
  ではなく、本来発表しなくてもよい場合にもかかわらず公開されるのは更に
  大変なダメージになる。」(P248)

  特許権の訴訟で負けたことが公表された場合、レピュテーションが大きく低下することに
  加えて、当該特許に係る従来のライセンスビジネスの継続が困難となる等の
  大きな副作用があるので、特に自社保有の特許権に係る訴訟では、
  意固地にならず、和解の選択肢を十分検討する必要がありますね。

4.特許権の権利化前に、無効資料を特許庁に提供して権利化を阻止することが出来る
  「情報提供制度」、「特許異議の申し立て制度」を利用した場合、そのことが特許権の
  出願人側に通知され、薮蛇になるので、上記制度を利用する場合は注意が必要。(P258)

5.「無効審決が確定すると対世的に無効にできる(特許法125条)。もちろん、
  特許権侵害訴訟で、無効の抗弁が認められた場合も、同じ実施者に同じ特許権で
  権利行使することは二度とないだろう。」(P274)

  とのことですが、特許権侵害訴訟で、無効の抗弁が認められた場合も、訴訟の相手方に
  対する「相対効」しか認められず、「対世効」が認められない理由について、
  本書に記載が無く、私の勉強不足ながら理解出来ておりませんので、
  他の書籍にあたる等して、勉強を進めていきたいと思います。

6.特許権者が、特許のクレームを広く解釈して、特許権侵害を主張してきた場合、
  その分、当該特許権が、新規性欠如、進歩性欠如により無効となる可能性が高まるので、
  クレームを広く解釈して攻めてきたら、上記の点を突くことを検討すべし。(P275)

<本書目次>
第1部 知財部門担当者の心構え
     (知財部は何をするところか?;グローバル化における、企業知財管理業務の
     全体像;企業力強化のための知的財産戦略;発明者などが求める知財担当者の役割)
第2部 知財業務遂行スキル
     (法的文書の読み方;法的文書の書き方;外国語;技術;特許法の基礎知識;
     特許調査;クレームチャート)
第3部 知財案件のセオリー
     (発明発掘と出願;権利行使までを想定した拒絶理由通知への対応;
     特許権侵害の実務/特許権者編;特許権侵害の実務/実施者編;
     ブランドとデザイン保護のための商標権・意匠権等活用法;研修)
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