民法566条が商法526条の定めに上書きされるわけではない。

今般は、「調べる・読む・使いこなす! 企業法務のための判例活用マニュアル(花野信子氏編集)」を読んでみました。

本書は、下記目次の通り、前半部分にて、判例の調査方法、読み方、活用方法等が解説されていました。また、後半部分では、「ビジネス判例は、活用すべき他社情報である」と言う視点から、100個のビジネス判例を、「概要」、「論点」、「判決の結論」、「注目点」という項目に分けて、1ページ1判例にてコンパクトに解説されておりました。

上記ビジネス判例の内、3つの判例について、備忘として以下にメモを書き留めておきたいと思います。

<以下、個人的に心に留まったビジネス判例>
1.製作物供給契約に商法526条が適用された事例
  損害賠償請求事件(東京地判昭52.4.22判時863号100頁)

  <hitorihoumuメモ>
  売買と請負の混合契約である製作物供給契約が「売買契約」とみなされて、
  「買主による目的物の検査及び通知」義務を定めた商法526条が適用された事例です。

  目の前の契約書が「委任契約」と「請負契約」のどちらに該当するのか、という
  良くありがちな紛争と同様、「売買契約」と「請負契約」のどちらに該当するのか、
  という紛争が発生しないよう、しっかり基本契約書等に手当てしたいものです。

2.瑕疵の修補請求および損害賠償請求と除斥期間との関係が問題となった事例
  約束手形本訴、損害賠償請求反訴事件(大阪高判昭53.10.26判時920号133頁)
  
  <hitorihoumuメモ>
  「引渡しから1年の除斥期間内に瑕疵の修補請求をした場合、当該期間経過後に、
  瑕疵に関する損害賠償請求を請求できるか否か」が論点の事例です。

  上記判例では、衡平の観点から、損害賠償請求権が認められています。

  ちなみに、以前、上記論点でモメた経験がありますが、上記と同じ結論となりました。
  裁判上で修補請求するならともかく、平時の修補請求時に、予備的に賠償請求をする、
  というのは一般的ではないことを考えますと、上記判例について納得感がありますね。

3.瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権の保存について争われた事例
  損害賠償請求事件(最判平4.10.20民集46巻7号1129頁)

  <hitorihoumuメモ>
  「商法526条は、商人間の売買で目的物に瑕疵・数量不足がある場合に、
  買主が売主に対して損害賠償請求等の権利を行使するための前提要件を
  規定したもので、この前提の下で行使できる損害賠償請求権は、
   民法566条3項に基づき瑕疵等の発見から1年で消滅する。」という結論です。

   「商法は民法の特別法」ということから、民法566条は商法526条に上書きされるので、
   「売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合、
   買主が6か月以内にその瑕疵を発見したときは、ちゃんと売主に通知しておけばおk」と
   勘違いしている人は気を付けましょう。

   なお、あくまで例えばの話ですが、買主と売主間で、買主は売主の瑕疵担保責任を主張し、
   売主は買主に納入済の売買製品の代金支払いを主張して係争していて、その間、
   売主は、当該目的物の仕入先に瑕疵の存在については一応、通知していた場合を
   想定してみましょう。

   上記裁判の結果、売主の瑕疵担保責任が認められた場合、同じ理屈で、上記裁判後に、
   売主が、製品の仕入先に瑕疵担保責任を追及した場合、民法566条3項の除斥期間が
   経過していて、損害賠償請求が出来ない、というオチもありうるわけです。

   その為、上記のオチを避ける為、自社としては瑕疵はないと考えていても、念の為、
   仕入先に対して、瑕疵の通知と製品の補償請求をしておく、という選択肢もありますね。
   仕入先との取引関係にもよるかと思いますが。

   または、上記民法の規定は任意規定ですので、除斥期間の問題が発生しないように、
   契約書上の表現に留意したいものです。

<目次>
第1部 判例リサーチ力を磨く
     (判例リサーチ基本ガイド―目的の判例に効率的にたどり着く;
     特定の紛争解決、契約交渉等のためのリサーチ方法 ほか)
第2部 判例を効率的に読み込む
     (心得参箇条;第一審の判決書の読み方をマスターする ほか)
第3部 ビジ判活用のススメ―他社情報としての有効活用
     (判例のどこに着目するか?;社内向け活用方法 ほか)
第4部 契約書作成への処方箋
     (売買契約;一般的によく使う条項(解除、損害賠償・違約金、
     秘密保持) ほか)
第5部 ビジ判100!
     (契約の成立の有無;契約の準備段階における責任 ほか)

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
18歳の著作権入門(福井健策氏著作)
英語塾(マークピーターセン著作)
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