「コーポレートガバナンス・コード」への対応について(当社の状況)

3月決算の上場企業の場合、「コーポレートガバナンス・コード」を反映した「コーポレート・ガバナンス報告書」の提出期限が2015年12月に迫っていますが、対応状況はいかがでしょうか。

私の所属企業は上記に該当しますので、11月下旬に開催される取締役会で開示内容について承認を得るべく、鋭意、準備を進めております。

私の所属企業では(どの企業も同様かと思いますが)、まず、「コーポレートガバナンス・コード」の全73原則について、当社の取り組み状況・方針等を詳細に書面に落とし込みました。

その後、(当社は、みずほ銀行等の金融機関とは異なり、コードについて「全開示」は実施しませんが)、将来、株主からコードの対応状況について説明を求められた場合を想定し、「コーポレート・ガバナンス報告書」に開示が必要な項目(エクスプレイ項目を含む)だけでなく、コンプライしている項目についても、「仮に全開示するとしたらこう記載する」という内容について、簡潔明瞭な記載素案を手元資料として完成させました。

ご承知の通り、「コーポレートガバナンス・コード」は「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)が採用されておりますので、解釈の裁量の幅が広く、正解が一つではないことから、記載素案の作成段階(特に初期段階)では、社内で色々な意見が出ました。

特に偉い役員から「(素人考えかもしれないけど)このコードはこう解釈するんじゃないか」と言われるケースもあり、「それは違いますね」と言える根拠、十分な他社事例、気概も無いことから(笑)、第三者的な観点からチェックを受けようということで、上記コード対応において、当社はコンサル会社を使いました。

なお、上記コンサル会社と提携している某法律事務所(四大法律事務所の内の一つ)にも、開示素案だけでなく、上述の全73原則に関する記載素案についてチェックを受けました。

あまりこういう使い方は個人的には好みませんが、今回の一連の対応で、「商事法務に寄稿されている○○先生もこう言っています」というのが、上層部からの素朴な疑問を事前に封じる上でかなり有効に機能しました(笑)

上記コンサルや法律事務所とやりとりする中で、コードの解釈の仕方について参考となった事項を数点、誰かの参考の為に以下にまとめておきたいと思います。

上記コンサルや法律事務所の具体的な名前はあえて伏せておりますので、記載の内容の信憑性に欠けるかと思いますが、下記解釈の採用の有無については、各社の裁量にお任せします。

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1. 「補充原則1-2④」について
上記コードでは、「上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。」とされています。

上記コンサル・法律事務所によりますと、必ずしも、全ての上場企業が、「議決権電子行使プラットフォームの利用等や招集通知の英訳を進める」必要は無く、「自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ」、上記対応が不要であると判断している会社は、上記コードについてはコンプライと整理して良いようで、「上記対応をしていないこと」、「上記対応が不要であると判断している理由」をエクスプレインする必要は無いようです。

なお、当然のことながら、後日、株主から、「議決権電子行使プラットフォームの利用等や招集通知の英訳を進める」必要が無いと判断した理由について説明を求められる場合に備え、手元資料として上記内容を書面に落としておいた方が良いとのことでした。

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2. 「補充原則2-5①」について
上記コードでは、「上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり、また、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。」とされています。

なお、上記コンサル・法律事務所によりますと、仮に、外形的に見て、通報窓口を外部の弁護士(顧問弁護士等)に設置していた場合でも、当該通報窓口から通報内容を受ける自社側の窓口が、経営陣から独立した者ではなく、例えばコーポレート部門となっている場合、「経営陣から独立した窓口」を設置しているとはいえないようです。

当然のことながら、どこかの段階で、会社は通報内容を把握する必要がありますが、その第一窓口として、経営陣から独立した窓口(外部の弁護士や、通報窓口サービスを提供している会社等の全くの外部機関ではなく、社外取締役や監査役等、会社に対して通報内容を報告する義務はあるものの、仮に会社が通報内容を握りつぶしたとしても、通報内容について自分でも取締役会等で問題提起出来る者)を設置する必要があるようです。

なお、「社外取締役や監査役(常勤監査役を含む)」は、単独でも、経営陣から独立した者に該当するようですので、現在、コーポレート部門を通報窓口に設定している会社は、2015年12月までに提出する「コーポレート・ガバナンス報告書」には間に合わないにしても、今後、例えば監査役を通報窓口に変更する等して、来年の報告書提出時にコンプライする選択肢もありますね。

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