書籍:日経文庫-債権回収の進め方

最近、債権回収関連の本ばかりを読んでいますが、
今回は表題の『日経文庫-債権回収の進め方』を読んでみました。

本書は新書ながら、債権回収に必要な基本的な知識・ノウハウはほとんど網羅されており、
条文や判例もしっかり参照しながら、実務に則した解説がなされていますので、
『債権回収 基本のき』の次に読みたい債権回収本としてオススメです。

ちなみに、個人的には、しっかりとした法務部署の無い会社に所属している、
私の様な法務兼○○担当は、弁護士の様に法的手続きに関する細かい知識を
全てしっかり覚えている必要はなく、基本的な所だけはしっかりと理解していて、
後は弁護士に確認しながら対応していく、というスタンスで十分であると考えています。
問題が発生して「どうすれば良いか全く分からない」、「弁護士に丸投げしてしまおう」
というスタンスはよろしくありませんが、「これは○○だと思うが、弁護士に念のため
確認しておこう」という風になれれば良いと思います。
上記のスタンスから考えますと、債権回収については表題の本に書いてあることを
しっかりと身に付ければ、これ以上の細かい知識は必要無いのではないかと思います。

さて、本書の中で、詐害行為取消権の要件を記載した箇所があり参考になりましたので、
少し長いですが、以下に書き留めておこうと思います。

^^^(以下、抜粋)^^^^^^^^^^^^
詐害行為取消権の行使の要件

詐害行為取消権で債権回収を図るには、以下のような壁が立ち塞がります。
決して容易ではありませんが、散逸した財産が高額なものであるときは、
チャレンジする価値はあります。受益者からさらに転得者に対象財産が移ると面倒なので、
訴訟に先立ち処分禁止の仮処分をかけておくべきです。
①債務者が法的整理手続きに入ったときは管財人などの否認権が優先し、
 債権者が詐害行為取消訴訟を提起することは許されず(破産手続については大判昭四
  10.23民集8-787)、また訴訟係属中の詐害行為取消訴訟は中断し、その後
 管財人に引き継がれる(破産45②、民再40の2、会社更生52の2)。
 かくして独り占めはできなくなる。
②詐害行為取消権の行使は訴訟によるので、費用がかかる。
③原告が債務者や受益者の詐害の意思を立証責任を負担する。
④債権者が取り消し原因を知ったときから二年間で時効により消滅する。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
上記のいくつかある要件の内、上記②の費用負担の面や上記③の立証の難しさも
さることながら、上記①の、債務者が法的整理手続きに入った後は
詐害行為取消訴訟を新たに提起できないし、係争中の場合でも、
法廷手続きに入ってしまったらその訴訟に基づく利益は一人で享受出来ない、
という点は非常に大きなハードルだと思います。

そもそも、多くの手間とお金だけが掛かって、後々自分にとって何の利益も生み出さない
事態となるリスクのある訴訟を、わざわざ全債権者の利益を考えて提起する「御人好し」は
いないと思います。
もしいるとすれば、自分が一大債権者で、「債権者平等の原則」を当てはめても
法的手続きに伴い分配される配当に比べて、実入りが多いことが想定される場合にしか、
取消訴訟を提起する者はいないと思います。

債務者が法的手続きに入る前に、詐害行為取消訴訟を提起して債権回収を図る方法も
ありますが、債務者の最新情報を他の債権者に先んじてキャッチする情報力が
大前提となりますので、営業活動を通して取引先の状態を常にチェックしていくことの
重要さを改めて考えさせられました。

債権回収の進め方 (日経文庫)債権回収の進め方 (日経文庫)
(2006/08)
池辺 吉博

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