ストーリーで学ぶ「債権譲渡契約」の締結時の留意点

最近、育児が忙しくてブログの更新を怠っていましたが(と、ここで良き夫をアピールしてみる)、そろそろ更新しないとなぁ、ということで、久々に更新してみました。

今回の記事は、「債権回収をする上で債権譲渡という方法を使うケースがありますが、債権譲渡契約書の構成には気をつけましょうね」というお話です。

以下の話しは架空のストーリーで、私が所属している会社とは何の関係もありません。。

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【前提条件】
A社は、B社に対して商品の売買代金債権を有しているが、B社は当該債務を不履行している。B社の業績は非常に悪く、上記債務の支払いの目処は立っていない。

そこで、A社は、債権回収の一環として、B社がC社に対して有している債権を譲受し、第三債務者であるC社に対して、B社の代理人として債権譲渡通知書を内容証明郵便で送付した。

するとA社は、C社から以下の通り主張された。

「御社(A社)だけでなく、複数の者から、B社のC社に対する債権を譲受したとして、債権譲渡通知書を受領しているので、誰に支払えばいいのか分からない。もし、当社(C社)が御社(A社)に支払った後に、万一、その支払いが法的に無効だった場合、当社(C社)は二重払いのリスクがあるので、御社(A社)には支払えない。」

そこで、A社はC社に対して、

「複数の確定日付のある債権譲渡通知書を受領した場合は、一番初めに受領した債権譲渡通知に関する譲渡人が対抗要件を有するので、受領時期を確認して欲しい。」

と伝えたが、「たくさん到着していて、いつ到着したのか正確には分からない。」と言われてしまった。

ひょっとしたら、第三債務者であるC社は、これをいい機会に、このままB社に対して有していた支払い債務を踏み倒すことを検討しているのかもしれない。

なお、C社が、複数の者から受領していると主張している債権譲渡通知書は、確定日付がついておらず、単純な支払いを求めるレターの可能性もあるが、A社がC社に、他社から受領している債権譲渡通知書を見せて欲しいと言っても、そんな義理は無いとして承諾してくれない。

【設問】
このようなケースの場合、A社はどのように対応すれば良いでしょうか。









【考察】
A社の一つの選択肢をしては、C社に対して「供託」するよう提案することでしょうね。

ただ、C社は、B社に対する支払い債務を踏み倒す覚悟をしているとすれば、そんな提案は無視されてしまうかもしれません。

また、仮に、C社がA社の提案通りに「債権者不覚知」を理由として「供託」した場合(供託出来るのか、という問題はとりあえず置いておきます)、供託金の払い渡し請求をする者は、「債権者不覚知が解消されたことを証明する書類」を供託所(法務局)に提出する必要があります。

なお、法務省が公表している「供託物を払渡請求する際の一般的注意事項」には、以下の通り記載されています。
http://www.moj.go.jp/content/000063523.pdf

<以下、上記書面抜粋>
4 〔還付を受ける(又は取戻しをする)権利を有することを証する書面〕
弁済供託について,供託受諾や供託不受諾を理由に払渡しを受ける場合など,供託書の記載から即時に供託物の払渡しを受けられることが明らかな場合のほかは,還付を受ける権利を有することを証する書面又は取戻しをする権利を有することを証する書面の添付を必要とします。

以下に代表的な書面を記しますが,個々の事案により添付すべき具体的な書面も異なりますので,詳しくは最寄りの供託所にお尋ねください。

(1) 利害関係人の承諾書
払渡請求をする場合において,利害関係を有する者がいるときには,当該利害関係人の承諾書を添付する場合があります。当該承諾書を添付する場合には,承諾書に押した印鑑について,市区町村長又は登記所の作成した印鑑証明書(当該承諾書の作成前3ヵ月以内又は当該承諾書の作成後に作成されたものに限る。)を添付しなければなりません。また,利害関係人が法人である場合には,これに加えて代表者の資格証明書(当該承諾書の作成前3ヵ月以内又は当該承諾書の作成後に作成されたものに限る。)を添付しなければなりません。

(2) 権利の承継を証する書面
請求者が権利の承継人であるときには,これを証する書面(例えば「戸籍謄本」など)を添付します。

(3) 判決書正本及び確定証明書
還付請求権(又は取戻請求権)の確認訴訟において,当該請求権を確認する判決がされ,当該判決が確定したときは,判決書正本及び確定証明書を添付します。
<抜粋終了>

ということで、「債権者不覚知」を理由に供託された場合、A社は、他の被供託者から「A社が代金を受領する正当な権利があることの同意書」や、判決書等を証拠として提出しないと、供託金が払い渡しされないことになりますので、これはまたハードルが高いですね。

そこで、ダメもとで、C社に対して債権の支払いを求める訴訟を提起し、文書提出命令にて、C社が受領したとされる債権譲渡通知書を開示するよう要請する選択肢もあるかもしれません。

しかし、裁判を起こした結果、実際には他の者が対抗要件を取得していて、訴訟の申し立て費用が無駄になる可能性もあるわけです。

【結論】
ということで、結論としては、債権を複数譲渡された場合は、債権の一譲受人としてはお手上げ状態ということですかね。譲渡を受けた債権が高額で、ダメもとで裁判を起こすメリットがある場合は、裁判という選択肢もありかとおもいますが。

第三債務者がずる賢い人であることも想定して、上記ケースの通り、債務者と債権譲渡契約を締結する場合には、あくまでA社が第三債務者であるC社から債権の支払いを得られた段階で、B社のA社に対する弁済の効力が得られる旨、債権譲渡契約書に定めるべきであり、間違っても、債権を譲渡した段階で、譲渡代金と同額について、B社のA社に対する弁済が完了する、というような内容にするのは止めましょう、というお話でした。

「他にこんな選択肢があるのでは」という方がいましたらご指摘ください。。

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