和解契約には、紛争の発生から和解に至った事情や経緯、動機などを詳しく書くべし

今般は、佐藤孝幸氏著作「実務 契約法講義 第4版(2012年8月発行)」を読んでみました。
本当は民法改正後に、第5版が出てから読もうと考えていましたが、待ちきれずに読んでしまいました。

本書の内容は、「BOOK」データベースよりますと、「実務の視点から体系化された理論と紛争処理の指針を明示。第4版では、重要判例を追録するとともに、取引実情の変化、最新の実務の動向を踏まえて、大幅改訂増補。弁護士等の実務家、企業の法務担当者、法科大学院生のための各種契約形態の基礎知識と実務を明示した必携書」です。手抜きですみません・・。

下記目次の通り、色々な契約書について、30超の事例を基に解説がされています。
早速ですが、個人的に心に留まった個所を以下に抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋>
この問題に関し、最高裁は、全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、少額の賠償金で早急に解決を図る趣旨で、示談が成立した場合には、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時、被害者が予想していた損害についてのみであると解するべきであって、示談当時、被害者の予想できなかった不測の再手術や後遺症が示談成立後に発生した場合には、その損害についてまで、損害賠償請求権を放棄した趣旨と解することは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえないと判示し、示談(和解契約)の効力を認めたうえで、被害者の後遺症害に関する損害については、別途、損害賠償請求を認めた(最判昭和43.3.15民集22巻3号587頁 注30)
注30 賀茂紀久男「示談と事情変更」判夕268号184頁
<抜粋終了>

ということで、せっかく和解契約を締結したのに、後々、相手方から紛争を蒸し返しされることを防ぐべく、和解契約には、紛争の発生から和解に至った事情や経緯、動機などを詳しく書くべし、と著者は主張します。

上記はその通りですね。

私は、営業担当から、「製品の不具合に関する示談書のドラフトを作成したのでチェックして欲しい」と依頼されることがたまにあります。しかし、見てみると大概が、和解に至った事情や経緯、動機がほとんど書かれておらず、単純に、「○○問題について○○円を支払う」しか書かれていません・・。

和解契約書も当然のことながら、(裁判や仲裁で一番重要視される書証である)契約書の一種なので、最悪、和解契約書に関連して裁判や仲裁に発展した場合に、第三者(裁判官や仲裁人)が目の前の契約書をどう判断するのか、という視点から、契約書をドラフトする必要がありますね。

また、和解契約に限らず、単純な売買契約を除いて、何らかの契約書をドラフトする場合にも、英文契約書に良くあるWhereas条項のように、当該契約の締結に至った事情や経緯、動機を詳しく記載すべきですね。後々、裁判や仲裁で、契約の奥にある背景が争点になることもありますからね(過去に苦い経験あり・・。)

<目次>
契約法実務序論
契約の成立
契約存続中における実務上の問題
契約関係の終了
契約当事者間の紛争解決と和解契約
財産権の移転に関する契約
 売買契約
 不動産売買契約
 事業譲渡契約
 債権譲渡契約
金銭の貸借に関する契約
 金銭消費貸借契約(融資契約)
 リース契約
物の貸借に関する契約
 賃貸者契約
 サブリース契約
権利の使用・実施に関する契約
 ライセンス契約
 フランチャイズ契約
 販売店・特約店・代理店契約
他人の役務の利用に関する契約
 雇用契約(労働契約)
 請負契約
 委任契約
 寄託契約
債権の担保とリスクの分散に関する契約
 保証契約
 損失補償契約
 履行保証
 債務引受契約
 担保権設定契約-抵当権設定契約
 保険契約
企業間の共同事業に関する契約
 合弁契約
 共同研究開発契約

実務契約法講義 (実務法律講義)実務契約法講義 (実務法律講義)
(2012/08)
佐藤 孝幸

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