書籍:債権回収 基本のき

表題の本『債権回収 基本のき』は、私が毎日拝読しているhiroさんのブログ
『風にころがる企業ホーマー』や法務系の他のブログでも取り上げられて
いましたので、最近、債権回収に興味のある私は早速読んでみました。

本書は、はしがきに「主に事業会社に勤務されている方、特に新入社員の方や初めて
管理部門に配属された方が、債権回収に関する必要最低限の知識を短時間で
身につけることを目標としています。」と書いてある通りの本で、法務局で謄本を入手する際に
記入する「交付申請書」の書き方に始まり、出口の債権回収の方法まで、文字通り
非常に基本的な所を丁寧に解説してくれます。

約3年は法務に関わっている法務担当のはしくれの私としては、本書の載っている事で初めて
知ることはほとんどありませんでしたが(←何か上から目線ですみません・・)、
書式も多く非常に分かりやすい内容ですので、今後、法務に関する新入社員向けの研修資料を
作成する際の参考資料の一つとさせて頂きたいと思います。

なお、本書に、取引先が倒産したときに、他社が納入した商品を引き揚げて代金を回収する際の
法的な根拠に関する記述があり、勉強になりましたので以下に書き留めておこうと思います。

^^^^(以下、抜粋)^^^^^^^^^^^^^
3 他社が取引先に納入した商品を動産譲渡担保として差し入れさせる

取引先の同意を得て他社が納入した商品を引き揚げ、これを自社の支払いにあてる方法は、
法律的に、動産譲渡担保の設定および担保権の実行と構成することも可能です。
このような法律構成をとると、とりあえず1,000万円の売掛債権の担保として商品を引き揚げ、
転売してみたら300万円でしか売れなかった場合、残額の700万円の売掛債権を取引先に
請求することができます。

 (本書P200に、法律的な根拠を「代物弁済」と構成して他社商品を引き揚げた場合に
  ついても記載があります。この場合は、その商品の価格を評価し、いくらの債権の
  支払いにあてるのかを代物弁済証書等に明記する必要があり、もし、単純に
  「この商品で代物弁済する」とだけ記載した場合は、残債権があったとしても、
  債権が全て弁済されたとされてしまう、と解説されています。)

とりわけ取引先が倒産した場合には、商品価格をいちいち評価している暇はありませんから、
動産譲渡担保として引き揚げる方法を取ったほうがよいでしょう。
この方法を取る場合にも、取引先の同意があることが大前提になります。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
なお、本書には解説がありませんでしたが、取引先から倒産した旨の通知を受領し、
取引先に急いで飛んでいって、代物弁済なり譲渡担保を急いで設定して他社商品を
引き揚げた場合、仮に自働債権の弁済期が到来している場合でも、偏頗行為として
否認されてしまう可能性が高くなりますので注意が必要です。

また、支払不能になる30日以内に、債務者側に、契約等に基づいて担保を提供したりする
義務が無いのに、譲渡担保等を急遽設定して回収する場合も偏頗行為として否認される
可能性が高くなります。

しかし、否認権のリスクを恐れて回収出来る大きなチャンスを自ら放棄してしまうのも
得策ではありませんので、上記のリスクを理解したうえで、最低限は「窃盗罪」に
ならないようにだけは注意して、他社商品の引き揚げを実施してみるのも検討したいところです。

債権回収基本のき債権回収基本のき
(2008/01)
権田 修一

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はじめまして。

hitorihoumuさんはじめまして。

トラックバックありがとうございます。
dtkさん以来、半年ぶりのトラックバックでした(笑)

取引先の倒産時に「さてどうしよう」と調べている余裕はないことも多いので、このような本を参考に「自分の準備」をしておくことはもちろん、自分でなくても対応できるようマニュアル化しておく、ということが必要なのでしょうね。

またお邪魔しますね。
ではでは。


初めまして

コメントありがとうございます!

いつもhiroさんの興味深い記事を読ませて頂いています。

私の会社にはまだ債権回収マニュアルのようなものはないので、
情報の共有化の為にも、営業担当と相談して実務的な方法も確認しながら、
近々作成してみたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。
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35歳 男 二児の父
主に、週末にブログを更新する予定です。

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