書籍:中国のビジネス実務判例から学ぶ契約書の作成と運用Q&A100

今般は、韓晏元弁護士著作の「中国のビジネス実務判例から学ぶ契約書の作成と運用Q&A100」という本を読んでみました。

韓 晏元弁護士の著作については、以前、「中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100」という本を読んだことがあり、読書後の備忘メモを本ブログに書かせて頂きましたが、今回の書籍も上記書籍と同様、Q&A方式となっており、分かりやすい構成と解説振りで、非常に参考になりました。

本書に付箋をした箇所はいくつかありますが、その中の2箇所を、備忘の為に以下に抜粋させて頂きます。

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1.検品期間満了後の異議申立の可能性について

<以下、本書抜粋(p177)>
契約法158条では、「買主が合理的期間内に通知せず、又は目的物を受領した日より起算して2年以内に売主に通知しない場合、目的物の数量及び品質は契約の約定に合致しているものとみなされる。」と定めています。また、中国の最高人民法院は、「合理的期間は目的物受領から2年を超えない」、「約定した検品期間が短すぎて、目的物の性質及び取引習慣により買主が当該検品期間内に全面的な検査を行うことが難しい場合、約定した検品期間は目的物の外観瑕疵に対する品質異議申立期間と認定すべきであり、裁判所が目的物の隠れた瑕疵につき異議申立の合理的期間を別途定める」との司法解釈を出しています(最高人民法院の売買契約紛争案件の審理における法律適用問題に関する解釈18条)。
つまり、検品期間が約定されていない場合又は約定されている検品期間が短すぎて当該検品期間内に隠れた瑕疵を発見出来ない場合、買主は「合理的期間内に」品質異議申立を行わなければ売主の瑕疵担保責任を追及できなくなります。
<抜粋終了>

<上記に関する備忘メモ>
本書には契約法158条の条文の記載がありませんでしたので、ネットでUPされている日本語訳を参照したところ、本条はどうやら任意規定のようで、契約書に品質保証期間を別途定めていた場合は、当該定めが優先適用されるようです。

その為、契約書に2年間を超える品質保証期間を定めていた場合、当該期間は「合理的期間内」ではないとして、裁判所で当該定めが無効になるという心配は無さそうです。

なお、以前、「中国法における(1)不安の抗弁権と(2)売買契約の売主の担保責任について」という記事を書いた際にも記載の通り、契約法158条はあくまで売買契約に関する品質保証期間の定めとなります。

請負契約に関する品質保証責任については、契約法 第15章(請負契約)第262条に、請負人の成果物に対する担保責任が定められているものの、具体的な担保責任期間については明記されていません。

本書には、「請負契約」に関する品質保証期間のQ&Aや解説はありませんでしたので、「請負契約」の場合の品質保証期間はどうなるのか分かりませんので、上記問題については、他の中国法令に関する書籍をあたってみたいと思います。

また、「契約法」に定める品質保証義務と、「製品品質法」に定める品質保証義務の区分け・相違点がいまいち個人的に理解出来ておりませんので、請負の場合の品質保証期間と合わせて、今後の個人的な課題としていきたいと思います。

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2.秘密保持義務違反の場合の賠償金額について

<以下、本書抜粋(p287)>
秘密保持義務の追求方法

秘密保持義務者が契約に違反した場合、当該義務者に対して損害賠償を求めることができます。秘密保持契約書に損害金額が定められていればよいですが、損害金額の証明が困難である場合には、裁判所は特許権侵害時の損害賠償金額を参照して最大100万人民元までは損害賠償を命じることができます(最高人民法院の不正競争防止民事案件審理における法律適用若干問題に関する解釈17条1項)
<抜粋終了>

<上記に関する備忘メモ>
上記抜粋の通り、契約書に、秘密保持義務違反について具体的な違約金を定めておかないと、賠償額は100万人民元が上限になってしまうようですね。

重要な秘密情報が漏洩した場合、漏洩された側が被る損害は「100万人民元」では済まないケースも想定されますので、特に自社が秘密情報の主な開示者の場合は、具体的な違約金の定めを契約書に設けたいところですね。

ただ、

(1)じゃあ、上限は「100,000万人民元」とでもしておけば良いのか
(2)あまりに高い上限を設けた場合、裁判所に当該定めが無効とされる
   可能性はないのか
(3)裁判所が合理的な範囲内と認めてくれる上限がいくらなのか
(4)自社が秘密情報の主な開示者である場合で、中国法人の取引先から
   NDAのフォーマットを提示された場合、そのNDAに、例えば、違約金を
   「1,000万人民元」と追加するよう法務部門から営業部門に提案した場合、
   当社の営業担当やその先の取引先はどう思うのか。
   上記提案をすることで、ビジネスを潰すことにならないか。

等、いろいろと悩みはつきませんが、上記抜粋部分の定めがあることだけは常に意識しながら、中国法人の取引先との契約書に関する審査をしていきたいと思います。

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<目次>
第1部 総論
第2部 各論
第3部 コンプライアンス

中国のビジネス実務 判例から学ぶ契約書の作成と運用 Q&A100中国のビジネス実務 判例から学ぶ契約書の作成と運用 Q&A100
(2014/10/02)
韓 晏元

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