VMI契約の「瑕疵担保期間の起算日」、「取引終了時の在庫の取り扱い」に注意

VMI取引(預託取引)では、顧客が、顧客指定の倉庫(=VMI倉庫)から製品を払い出した時に売買契約が成立するのが一般的です。

また、顧客から提示されるVMI契約書の原案では、瑕疵担保期間の起算日を、(1)顧客がVMI倉庫から製品を払い出した時としているケース、(2)サプライヤーがVMI倉庫に製品を納入した時としているケースがありますが、上記(1)のケースの方が圧倒的に多いような気がします。

問題は、私の所属しているような商社の場合、「当社と顧客」間の契約において、瑕疵担保期間の起算日は上記(1)であるにも関わらず、一方、「当社と仕入先」間の契約において、瑕疵担保期間の起算日は、「当社に対する納入日、もしくは当社の受入検査日」という場合です。

上記ケースの場合で、当社の顧客がVMI倉庫からなかなか製品を払い出さない場合、「当社と顧客」、「当社と仕入先」間の瑕疵担保期間にギャップが生じ、当該ギャップ間において瑕疵が発見された場合は、当社は仕入先に瑕疵担保責任を追及出来ず、当社が顧客に対して単独で同責任を負担することになります。

そこで、「当社と顧客」間の起算日を上記(2)にしてくれと顧客に要望しても、特に顧客が大企業の場合には、

・統一フォーマットであり一切修正は出来ない。
・何かあれば、末尾の「協議条項」に基づいて協議はさせて貰う。
 でも、契約交渉については協議の余地は無い。。
・他のサプライヤーはみな原文通りで締結している。
・そんなことを言ってくるのは御社だけ。
・嫌なら他の商社からモノを買う。

というお決まり文句の内、一つもしくは全部を顧客に言われて、反対する余地が無いことが結構あります。。

購買担当としては、サプライヤーが多数ある中で、個々のサプライヤーからの要望をいちいち聞いていたら面倒臭いからなのか、サプライヤーに四の五の言わせないことが購買担当の腕の見せ所と考えているのか分かりませんが、ろくに社内で検討することなく、購買担当だけの見解で上記のような発言をしてくることが結構あります。

また、顧客から提示されるVMI契約書の原案では、顧客から提示されるフォーキャスト(所要計画)に基づいて、サプライヤーがVMI倉庫に製品を納入するよう義務づけられているものの、VMI取引終了後においてVMI倉庫に在庫が残存している場合には、顧客は当該残存品を買い取る義務は無い、と定められているケースが結構あります。全く勝手な話です。

「いつでも当社が使えるように、大体これだけの数量を御社の在庫としてキープしたってや。せやけど、結局、当社が使わずに在庫が残ったとしても、あくまで御社の在庫なんやし、ワイは知らんで。当社はあくまで善意で参考情報を伝えただけであって、後はおたくが勝手にやったことやし。もしこの条件があかんかったら、遠慮なく言ってや。後でがたがた文句言われても、かなんからな。商社なんて他にぎょうさんおるんやし、他の商社さんから買わせて貰いますさかいに。」

なんて、優越的地位の乱用以外の何ものでもないですね。

※何となくエセ関西弁にしてみましたが、特に関西の方に対する
  悪い感情はないですし、関東よりも関西の企業の方が
  上記のような冷たい会社が多い、ということもでないです。念の為。

嫌らしいのは、当社のような、そこそこ規模の大きくて補償能力がある、「下請事業者」対象外の商社をVMI取引で商流に噛ませて、商社には五月蠅いこと言わせない、という魂胆が見え見えなのが嫌ですね。

「Just In Time方式で在庫を削減し、納期も短縮しますた!」、とか格好良いことを言ってても、サプライヤーから見れば、要は下請にイジメみたいなもんですからね。

以前も記事にしましたが、上記のような、「無理を聞いてくれる存在」というところが、悲しいかな、商社の存在価値である、というのが顧客の本音なのでしょうね。。

以上、グチでした。
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VMI

VMIについて言及されている文献やブログというのが珍しいので、参考になりました。
通常の売買からVMIに切り替わる際に基本契約の諸条件も変わってくるはずであるものの、その手当てをしてくれる(配慮してくれる)顧客って少ないです。瑕疵担保の起算点は当然、インボイス発行のトリガー、危険負担や付保範囲など。あと倉庫保管中の在庫の所有権の所在なんかも。受入検査時期もですね。引き出すとは限らないのに溜めて置いとけですし。横暴ですが、あまり知られていない取引形態な気がします。

コメントありがとうございます。

「同じようなこと考えてます」さん、コメントありがとうございました!

ご指摘の通り、VMI取引は通常の取引とは異なることから、既に基本契約書を締結していたとしても、色々と変更すべき箇所が多数あるにも関わらず、なかなか顧客がこちらの要望を聞いてくれないので困ったものです。

特に、通常の取引で大口の顧客からVMI取引の打診を受けて、先方の雛形を原文通り締結するように強く言われますと、なかなかNOと言えないところがもどかしいところです。

とはいえ、初めから「修正交渉をしてもムダ」と考えて一切交渉をしないもの難ですので、少しでも有利な条件で締結出来るように、一方で、長年のビジネス関係を契約交渉で毀損することのなきよう、今後とも交渉を進めていきたいと思います。

基本契約条件の変更は、どちらかに有利不利という訳でもなく、実態に合った取引条件の明確化という意味でも双方にメリットがあると思うのに、購買担当は強情ですよね。
VMIの特殊性についてもう少し認識が拡がればよいと思うのですが、これといった文献や説明もないのも残念なところです(某雑誌にも記事にしてくれないかなと話したことあるにですが、マイナー論点なんでしょうかね)。

そうですね。

NECや東芝が顧客となる私の所属会社の業界では、VMI取引は良くある話ですが、全業界で見るとレアな取引なのかもしれません。

法務系の雑誌や書籍で数ページでも、VMI取引のあるべき姿を特集して貰って、顧客がサプライヤーの声に耳を傾けざるを得なくなる状況になって欲しいものです。
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