書籍:平気で冤罪をつくる人たち 誤審は必然的に生まれた

今般は、井上薫氏著作「平気で冤罪をつくる人たち 誤審は必然的に生まれた」という本を読んでみました。

本書の前半部分では、冤罪事件で有名な、菅家利和さんの無実が判明した「足利事件」の解説を、後半部分では、痴漢冤罪を取り上げて、冤罪の原因について分析されています。

足利事件について、著者は、「DNA鑑定技術が進歩した結果、当時の判決の決め手であったDNA鑑定の誤りが判明し、誤判が明らかになった。当時の低いDNA鑑定技術では誤判は避けようがなかった。」という理解は間違いであると言います。

そして、裁判当時において、血液型とDNAが一致する確率は、当時の技術では「1000分の1」程度であることを認識していながら(裁判記録にも記載されているようです。)、それまで無かった画期的なDNA鑑定の精度の高さを盲信し、菅谷さんが自白していることを重要視して裁判官が有罪判決を出したのは、明らかに裁判官の判断ミスであったと主張します。また、菅谷さんが犯人であると決めつけて捜査にあたった警察・検察についても批判しています。

なお、著者は本書の総括部分で、

<以下、本書抜粋>
「司法統計上99%の有罪率からして、はじめから有罪であろうと思い込んで法廷に臨むというような裁判官の手抜きがみられること、また、控訴されるときに自分のした判決が覆されると立身出世の妨げになると危惧するばかりで、法律に基づいて公正な裁判をしようという心がない裁判官も少なくない」
<抜粋終了>

と主張しています。

以前、著者は裁判官を経験したことがあると言っても、上記の他、随所で著者の主観に基づいて裁判官の怠慢を痛烈に批判するのはいかがなものかと思いましたが、裁判官も聖人君主ではないので、程度のこそあれ、上記のような裁判官もいるんでしょう。

いずれにしても、以前、「書籍:自白の心理学」を読んだときにも感じましたが、未だに、自白が捏造される余地を大きくはらんでいる現行の取調べ制度と、自白を重要視した裁判慣習は早急に改善して貰いたいものですね。

<目次>
第1章 有罪率九九%の疑問
第2章 足利事件に見る誤判の原因
     (足利事件の概要;DNA鑑定の光と影 ほか)
第3章 痴漢冤罪の場合
     (典型事例で考える;水掛け論でも有罪 ほか)
第4章 冤罪は必然的に起こる
     (告告人無罪推定の原則;裁判実務上の原則逆転 ほか)
第5章 冤罪蔓延がもたらすもの
     (裁判所の暴走;国民の基本的人権が有名無実化 ほか)
第6章 冤罪根絶のために
     (裁判腐敗の現実を知ってほしい;裁判所信仰を断ち切る ほか)

平気で冤罪をつくる人たち (PHP新書)平気で冤罪をつくる人たち (PHP新書)
(2010/01/16)
井上 薫

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