有償支給取引とリベートの会計処理について(書籍:「業種別会計シリーズ 卸売業」)

今般は、新日本監査法人が出している、「業種別会計シリーズ 卸売業」という本を読んでみました。この業種別会計シリーズは、「業種ごとの業界動向、事業の特徴、会計や監査上の留意点、業務の流れと内部統制のポイント」を解説した本です。

本書は、経理部門や会計事務所に勤務している人向け、というわけでもなく、一般的なビジネスパーソンをも対象とした内容となっており、本書を読むのにさほど細かい会計知識は必要ありませんので、「会計知識は身に付けたいけど、専門書は敷居が高くて」という方は、自身が所属されている業界のシリーズを手に取って、読んでみてはいかがでしょうか。

さて、本書で個人的に参考になった個所は2点ありまして、有償支給取引とリベートの会計処理について解説した箇所です。

日本の会計基準では、有償支給取引において、一定の条件を満たせば、有償支給先に対する部材の販売時に売上を計上し、さらに、有償支給先から加工品を買い上げて、顧客に販売する際にも売上を計上することが出来、ダブルで売上を計上することが出来ます。

一方、IFRSでは、

<以下、本書抜粋>
企業は物品を販売し、同時に、その物品を後日、買い戻すという契約を結んで、その取引の実質的効果を打ち消すことがあるが、このような場合、二つの取引は一体として取り扱われる。
<抜粋終了>

ということで、有償支給先への部材の販売時点では、売上を計上出来ないことになるようです。

私の所属会社では、有償支給取引、いわゆる「いってこい」の取引において、有償支給先への部材の販売時に売上を計上しているケースがありますので、IFRSを適用するとなると、会計上の売上高が大きく減少するので影響大ですね。

IFRSといえば、収益認識基準がクローズアップされがちですが、今後は、他のポイントにもアンテナを広げて情報収集していきたいと思います。

有償支給取引に限らず、「IFRS導入が卸売業に与える影響」については、新日本監査法人のHPの下記ページに掲載されておりますので、ご興味のある方はご参照下さい。
http://www.shinnihon.or.jp/services/ifrs/issue/ifrs-industries/wholesale.html

また、本書で参考になったもう1点目は、リベートの会計処理です。
少し長いですが、該当部分を以下に抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋>
リベートの表示科目については、財務諸表等規則72条および財務諸表等ガイドライン72-1-2が参考になる。同ガイドラインでは、「一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対する売上代金の返戻額等の売り上げ割戻」は、売上値引として売上より控除することが求められるが、実務上は、(1)売上から控除する処理、(2)販売費とする処理の両方の処理が行われている。
これは、リベートの内容が値引きとしての位置づけであるのか、販売促進費としての位置づけなのか、各社の判断によって異なっているからである。

例えば、販売数量との関連性の強い「達成リベート」「価格補償リベート」等は売上高から控除する処理が採用され、一方で、得意先が支出したキャンペーン費用や出店費用等を補填するリベートの場合には販売費として処理する方法が採用される事例もある。
<抜粋終了>

ということのようです。

営業担当から、ボリュームディスカウントに関する覚書を作成して欲しい、と言う要望を受けた場合には、上記の会計処理方法を理解していないと、実務と合わない契約書を作成してしまうかもしれませんので、留意しておきたいところですね。

売上と粗利が営業担当の評価で重視される職場では、リベートは出来れば販売費で処理したい、というインセンティブが営業担当に働きますが、その辺は、契約書の初期の打ち合わせで、法務担当から正しい処理方法を伝えて、変な期待を持たせないようにしたいところですね。

ちなみに、リベートの会計処理についても、新日本監査法人のHPの下記ページに掲載されておりますのでご参照下さい。

http://www.shinnihon.or.jp/misc/search/result.html?cx=009842784674593943437%3Acaiv2jc5yxy&cof=FORID%3A11%3BNB%3A1&ie=UTF-8&q=%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E7%A7%91%E7%9B%AE

上記箇所に限らず、太っ腹ながらも、本書に記載されている内容については、新日本監査法人のHPで解説されていることが多いようですので、会計上、気になることがあれば、まずは同法人のHPを検索してみてもいいのかもしれません。

業種別会計シリーズ 卸売業業種別会計シリーズ 卸売業
(2011/07/08)
新日本有限責任監査法人卸売業研究会

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