不利な条項を単純に削除すれば良いというものでもない(その2)

以前、表題と同じテーマの記事を書きましたが、今回、上記教訓について改めて考えさせられましたので、その内容を備忘の為にまとめておきたいと思います。

先日、外資系サプライヤーから提示された基本契約書を確認したところ、以下のような条項が定められていました。


「第○条(製造物責任の免責)
サプライヤーは、製品の欠陥に起因して発生した製造物責任問題
について責任を負担せず、買主(=私の所属会社)が自己の費用と
責任で本件問題を解決する。」


上記のような条文は到底、受け入れできないので、サプライヤーが製造物責任を負担する旨、修正した修正案を提示したところ、先方から拒否されました。

しかし、サプライヤーから、「普通、本条項は一切修正しないんだけど、今回は特別だよ。」ということで、第○条(製造物責任の免責)を削除する提案を受けました。

「当社の意向を配慮して貰い、不利な条文が削除されて良かった~(^o^)/ 万一、製造物責任問題が発生したら、製造物責任法に基づいて解決すれば良いね。」ということで、上記条項の交渉を終いにするところでしたが、改めてよーく基本契約書を見直したところ、以下のような条文が記載されていました。


「第○条(責任免責)
本契約に定めのある事項を除き、whether contractual,
tortuous or otherwise、サプライヤーは買主に対して
一切の保証責任を負担しない。」


ご承知の通り、製造物責任は不法行為(tort)責任の特則であり、上記のような責任免責条項があると、単純に第○条(製造物責任の免責)を削除しただけであれば、結局、サプライヤーは製造物責任から免責されることになります。

そこで、上記サプライヤーには、改めて製造物責任を契約書に明記するよう、修正案を提案しました。危うく、サプライヤーの術中にはまるところでしたね。

ということで、上記に限らず、「不利な条項を単純に削除すれば良いというものでもない」ということを教訓に、今後も契約審査・交渉を実施していきたいと思います。

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製造物責任

こんにちは。私、法務2年目の者で、しかも1人法務です。いつもブログを拝見し、勉強させて頂いております。
さて、大変厚かましく恐縮ですが、今回のブログの内容について、私も悩んだ経験があり、ご教授頂けると有難いと思い、書き込みさせていただきます。
製造物責任に関する免責条項を削除するか否かについてですが、私がこの問題で悩んだとき、殊製造物責任に関しては、サプライヤーが製造物責任法上の責任主体になり得るのであれば、製造物責任法の強行法規性ゆえに、免責条項の有無にかかわらず、製造物責任法が適用されるものと判断し、相手方に免責条項の削除を強く要望しませんでした。
やはり製造物責任法よりも免責条項が優先されるのでしょうか。

HORIさん、コメントありがとうございます

HORIさん、コメントありがとうございます!

ご指摘の通り、契約書に「製造物責任を免責する定め」があったとしても、買主が消費者の場合には「消費者契約法」に基づいて、また、買主が事業者の場合には「民法第90条(公序良俗)」に基づいて、買主は上記定めの無効を主張することが出来るかと思います。

ただ、特に事業者間の契約の場合には、裁判所や仲裁廷が最終的にどのような判断をするのか分からないこともありますので、個人的には、可能な限り、上記のような定めは削除するか、サプライヤーの製造物責任を認める内容にするよう、契約交渉するようにしています。

もちろん、上記のような責任免責条項だけが最後の交渉ポイントとして残っており、契約が締結出来ないような場合には、将来、上記条項の無効を主張することを前提にして、やむなく原文通り締結するケースもあります。

ありがとうございます!

御回答下さりありがとうございます!
なるほど、裁判所や仲裁廷がどのような判断を下すかわからないというのは、リスクとしてありますね。そういう場合を考えると契約書にきちんと明記しておいた方がいいですね。
ご教示ありがとうございました。
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