基本契約書の「Cumulative 条項」について

取引先から提示された英文契約書を読んでいますと、以下のような「Cumulative 条項」に遭遇することがあります。

「第○条 本契約書に定める権利、救済措置は累積的なものであり、排他的なものではない。」

上記条項の末尾に、「本契約は、契約当事者のコモンロー上もしくはエクイティ上の救済を妨げるものではない。」という文言が続いたり、時には、「本契約は、契約当事者の法律上の救済を妨げるものではない。」という漠然とした文言が続いたり、はたまた、日本法を準拠法とした日本語の契約書でも、「本契約は、契約当事者の民法、商法、製造物責任法その他法令に定める救済を妨げるものではない。」というような文言が続く等、色々なパターンもあります。

契約書の作成側が上記の条項を定めた目的や条項の書き振りが、例えば、「準拠法が英米法で、コモンローに基づいた損害賠償という救済方法に加えて、エクイティに基づいた特定履行や差止命令という救済方法も選択可能であることを明確にしたい」というところにあるのであれば、まあ原文通りでも良いのかと思います。

しかし、例えば、契約書で具体的な品質保証期間を明記するものの、「法律上、その保証期間よりも長い期間、権利行使することが出来るのであれば、法律に基づいて権利行使出来る余地を残しておきたい」というところにあるとすると、提示された側としては注意が必要ですね。

準拠法が日本法や英米法であればまだ、法律上の定めについて確認は容易に可能ですが、マイナーな法律を準拠法としている場合、その国の法律上の定めについて確認可能としても、時間と費用が掛かって実質確認が出来ない場合もあります。また、取引に関連する全ての法律上の定めを確認することは無理でしょう。

上記のような場合、そのマイナーな国の法律上の定めについて理解が乏しい状態ですと、いくら交渉の末に契約書で具体的な条項を定めたとしても、将来、不意打ち的にその国の法律に基づいて相手方から権利行使される可能性もあるので問題がありますね。

これまで、「Cumulative Clause」は特に修正することなくスルーしてきましたが、準拠法と条項の内容(書きぶり)によっては、修正も検討したいと思います。とふと、最近、思いましたので、備忘の為に書き留めておきました。

なお、上記のような条項の修正方法としては、単純に削除するだけでは、準拠法によっては、契約書に具体的な定めのある条項があったとしても、法律上の定めに基づいて、権利行使することが可能となる場合もあるかもしれませんので、明確に、本契約書の定めは排他的である、というような文言に変更する方法が考えられます。

なお、「Cumulative Clause」という一つの条項にまとめられているのであれば、上記の通り対応して終いにすることが出来ますが、各補償関係の条項の冒頭もしくは末尾に、「法律上、甲に認められている権利行使を制限されることなく、甲は、乙に対して本条に基づいて○○の権利を行使することが出来る。 ※甲=顧客、乙=当社」という文言が記載されているパターンもあります。

このパターンへの対応は、「法律上、甲に認められている権利行使を制限されることなく」という文言をいちいち削除したり修正することになり、修正履歴付の文面が汚くなりますので、そのような修正案を相手方に提示することに気が引けますが、余計なリスクを残すよりはマシですので、検討したいと思います。

P.S.
明日はビジネスロー・ジャーナルの第15回交流会が開催されますね。
前回は抽選に漏れてしまったものの、今回、私は抽選に当たったのか、参加出来ることになりました。

過去に一度だけ、第2回か3回目の交流会に参加したことがありますが、その際は、参加者の皆さんから情報をテイクするばかりで、ギブすることがあまり出来なかった反省を活かして、今回は積極的に情報交換をしていきたいと思います。

よろしくお願いします!
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