(1)仲裁費用の高負担に注意、(2)中国の裁判所は外国仲裁に冷たい?

先日は、商事法務 2013年11月15日号に掲載されていた、森本大介弁護士、前田葉子弁護士著作の「米国・中国・台湾企業との国際契約における紛争解決手段の視点(上)」にて、仲裁でもディスカバリーが行われる場合があるとの記述を取り上げさせて頂きました。

今回は、同一論文内にて記載されていた、仲裁費用の負担に関する記述についても参考になりましたので、以下に抜粋しておこうと思います。


<以下、抜粋>
仲裁を選択した場合の、金銭的な負担としては主に、(1)仲裁機関に支払う事務管理費用(仲裁機関による場合)、(2)仲裁人報酬、(3)弁護士報酬および費用がある。
(1)と(2)については仲裁機関ごとに規則が設けられており、機関によって金額が異なる。たとえば、International Chamber of Commerce(ICC)を選択した場合、(1)と(2)の合計は、平均すると、係争額5,000万円の場合、約410万円(仲裁人1名の場合)または約950万円(仲裁人3名の場合)、5億円の場合、約2,680万円(仲裁人1名の場合)または約6,130万円(仲裁人3名の場合)となる。

(中略)

ただし、仲裁人においては訴訟と異なり、仲裁人が当事者の費用負担について決定を下す権限を有し、この費用には各当事者が費やした外部費用も含まれる。そのため、仲裁判断を勝ち得た当事者は、場合によっては外部弁護士費用についても相手方から全部または一部取り戻すことができる
<抜粋終了>


ということで、仲裁の場合は、仲裁合意条項で費用分担を定めた場合はその内容と、仲裁人次第で、ひょっとしたら仲裁管理費用だけでなく、弁護士費用も相手方に請求することが可能となるかもしれないものの、結構な仲裁費用を負担しなければならないリスクがあることについては、注意が必要ですね。

仲裁合意条項で仲裁人の人数を合意していない場合、仲裁コストを考慮して仲裁人を1名とするよう主張するのか、もしくは、より妥当な結論が出るように仲裁人を3名とするよう主張するのか、難しい選択になりますね。

売買契約の場合で、もし自社が買主であれば、主な義務は代金の支払債務位であり、自社が債務不履行をする恐れは、売主のそれと比較して少ないかと思いますので、上記契約書に仲裁合意条項を設ける場合には、仲裁費用(弁護士報酬を含む)は敗訴側が負担する旨、明記した方が良さそうですね。

さて、話は変わりますが、上記論文(上)には、仲裁を外国で行う場合において、日本や米国の裁判所が保全命令の申立てを受理するのか否かについても解説されておりました。

また、商事法務 2013年11月25日号に掲載されていた、上記論文の(中)(森本大介弁護士 , 張翠萍弁護士 , 前田葉子弁護士著作)や、商事法務 2013年12月5日号に記載されていた、同論文の(下)(孫櫻倩弁護士著作)には、仲裁を外国で行う場合において、中国や台湾の裁判所が保全命令の申立てを受理するのか否かについても解説されておりました。

その中で注意が必要なのが、中国の裁判所は、外国仲裁の場合、保全措置を申し立てても受理してくれない、と言う点です。その為、保全措置が重要となる知的財産権関係の契約書については、仲裁地は中国で合意すべし、という著者の指摘は、今後、中国法人と契約書を締結する際に留意したいと思います。

双方とも中国法人間の契約であっても、親会社(台湾とか日本法人とか)の関係で、仲裁地が親会社の所在地に設定されているケースが散見されますが、中国法人間の契約なんだから中国で仲裁しましょうとかいって、修正した方がいいですね。

Fin
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