仲裁合意していても、ディスカバリーを行う場合あり

今般は、最近の商事法務で気になる記事がありましたので、以下にまとめておきたいと思います。

なお、商事法務は会社で購読しておりまして、まずは私宛に冊子が届き、その後、回覧する人の名前が記載されている回覧表を貼付して、上司やら他の管理部門へ回覧を進めるのですが、(私には)小難し過ぎて、読んでもすっと頭に入ってこないので、よっぽど気になる記事しか読んでいません。ただ、あんまり読んでいないのがバレるのもまずいので、読んでいないにも関わらず、折り目やドックイヤーを付けて回覧するときもあります(笑)

さて、つまらない前置きが長くなりましたが、個人的に気になった記事は、2013年11月15日号に掲載されていた、森本大介弁護士、前田葉子弁護士著作の「米国・中国・台湾企業との国際契約における紛争解決手段の視点(上)」という論文です。

まずは、早速、該当箇所を以下の抜粋してみたいと思います。


<以下、抜粋>
(3)多くの先進国の仲裁法や仲裁機関の規則上、仲裁人には当事者に証拠開示を命じる権限が与えられている(注二六)。しかしながら、仲裁においてどのような範囲でどのように証拠開示を行うかという具体的な規定は存在せず、そもそもディスカバリー手続を行うか否かとあわせて、仲裁人の裁量によって決まる。ただし、ディスカバリーを行わないという当事者の合意をすることも可能であり、仲裁人はこれに拘束される(注二七)。
(中略)
一般的に、一定の規模を超える国際仲裁においては一定規模のディスカバリーが行われることが多く、ディスカバリーが一切行われないようなケースは少ない(注二九)。
<抜粋終わり>


ということで、仲裁合意さえすれば、費用と時間が掛かるディスカバリー手続きから解放されるわけではない、というのは勘違いしやすい点ですので注意が必要ですね。

なお、上記の点について、浜辺 陽一郎氏著作の「ロースクール実務家教授による英文国際取引契約書の書き方―世界に通用する契約書の分析と検討」という書籍に、興味深い記述がありましたので、これまた以下に抜粋してみたいと思います。


<以下、抜粋>
米国の連邦法や州法においては、仲裁手続においても裁判所における証拠開示手続の利用を認めている。さらに、これが司法共助によって米国内では州境を越え、証拠開示が行われることもあり、さらに米国の国境を越えて外国に及ぶことがありうる点に注意する必要がある。
(中略)
現に、In re Application of Roz trading Ltd.事件では、オーストリアにおける仲裁について米国の連邦裁判所に証拠開示の申立てについて、外交ルートを正式に通したわけではないが、米国裁判所における証拠開示を認めた。この判断により、国際商事仲裁から米国の証拠開示手続に洪水のような申立てを導く可能性があると指摘するものもある。
<抜粋終わり>


ということで、米国で実施される仲裁でディスカバリーが行われる可能性があるだけでならまだしも、米国外で仲裁をする場合にも、ディスカバリーが実施される可能性もある、というのは、ディスカバリー対応能力が低い会社にとってはかなり怖い話ですね・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル 

もちろん、米国内に、仲裁判断に影響を与える可能性のある資料等が存する場合にのみ、上記例外を裁判所が認めるのかと思いますが、ディスカバリー慣れしている大手企業の相手方が、嫌がらせ目的と時間稼ぎと消耗戦に持ち込む意思をもって、ディスカバリー慣れしていない会社を相手にディスカバリーを発動してきて、それが受理されるリスクもあるかと思いますので、自社のディスカバリー対応能力が低いと認識している会社は(私の所属会社は、・・秘密です・・。)、仲裁合意条項にディスカバリーを排除する文言を設けましょう。ただ、ディスカバリーを排除する文言を設けた場合、自社のディスカバリー対応能力は低いことを公言していることになるのでは、という懸念もありますが、これは考え過ぎですかね。

なお、上記論文には、仲裁における証拠開示手続以外にも、参考になった個所がいくつかあり、また、次回号の「米国・中国・台湾企業との国際契約における紛争解決手段の視点」の「中」と「下」についても、参考になる記述がありましたが、長くなってしまいましたので、次回の記事にて取り上げさせて頂きます。

To be continued.
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