(1)ディスカバリ対応は日本国内で完結可能か、(2)事業再編にも移転価格税制の問題が

先般、ようやく積読していたビジネスロージャーナル2013年12月号を読み終わりました。

2013年12月号で個人的に心に留まった個所を以下に抜粋してみたいと思います。

まずは、「米国NASDAQ上場ディスカバリ支援企業のトップが語るアメリカにおける証拠開示(ディスカバリ)の最新事情と日本企業の国際訴訟対策」という記事にて、㈱UBICの代表取締役社長 守本正宏氏がコメントされている部分です。

下記は、「日本企業が自社にふさわしいエビデンスコントロールパートナーを選定するポイントはあるのでしょうか?」という質問に対するコメントです。


<以下、抜粋>
第二に見ていくポイントは、サービス内容(特質)が自社の要求に合っているかです。
例えば、情報セキュリティの観点からはディスカバリ作業すべてを日本国内で完結させるスキームが完成されているか、まずはこの点を確認しなければなりません。そうしないと、ディスカバリ作業でベンダーに提出する情報のほとんどすべてが、企業側の意思とは無関係に海外に移され、そこでディスカバリ支援作業を行うことになるからです。そうなってしまっては、情報管理は誰にもできなくなってしまいます。そのため、まずは日本国内にデータを残したままディスカバリ支援作業が可能かどうかを確認することが重要となるのです。
<抜粋終了>


私の所属会社は、先般、ディスカバリ対応ではないものの、某調査の為に、米国系の某ディスカバリ支援企業に、社員のPCメールに関するフォレンジックを依頼しました。その際のフォレンジック委託契約書には、「ディスカバリ支援企業は、必要の範囲内で、自社の関連会社(おそらく米国親会社:ただ、社名の明記は無し・・)に、作業の一部を委託することが出来る」と記載されていました。

上記契約を見た際には、「日本国内で作業が完結しなくてもいいし、むしろ日本法人だけでは作業を完結するのはまあ無理だろう」と考えてスルーしましたが、上記記事の抜粋を見て、改めて良く考えたところ、確かに、作業が日本国外にて実施された場合、情報管理の点では心配ですね。

しかし、日本のディスカバリ支援事業規模は、米国の後塵を拝している状態で(当然ではありますが)、果たして、日本国内だけで作業を完結した上で、さらに十分なクオリティのディスカバリ支援作業を提供することの出来る会社はどれ位あるのか、疑問がありますね。

※先般、フォレンジック業者を選定した際には、弁護士に紹介を受けた
 三社の内から一社を選びましたが、私は日本のフォレンジック業界事情
 については疎いので、日本国内だけで作業を完結することのできる
 支援企業は実はたくさんあるのかもしれません・・。

「日本国内だけで十分なディスカバリ支援事業を完結することの出来る」ことを、業者選定基準において優先順位を高く設定した場合、上記以外のファクターでは見劣る業者を選定せざるを得なくなるのも難だなと思います。日本国内で作業は完結出来るけど、作業クオリティが低い会社と、日本国外にて作業はするけど、情報管理や作業クオリオティは非常に高い会社がある場合、どちらを選べばいいのか。

これは程度問題かもしれませんが、上記天秤をどう考えればいいのか、次回の業者選定の際には良く考えるようにしたいと思います。

<以下、投稿後に追記>
上記支援事業会社に作業を委託する前に、データの保存方法を確認してみましたが、データセンターは日本にあり、海外(米国)の担当者が当該データセンターに米国からアクセスしてフォレンジックの作業をする、との回答でした。ただ、当該担当者は、データをコピーする権限は無く、あくまでアクセスと作業する権限しか与えられていない為、データが海外に移る心配は無いとの説明でした。上記ケースでは、国家機密情報を扱うわけでもなく、日本国外にデータが移ってもよいケースでしたが、一応、安心しました。


さて、次に、BLJ 2013年12月号で個人的に心に留まった個所は、「弁護士・税理士が教える税務の勘所」の「製造部門の海外移転 移転価格税制(2)」という記事です。

早速ですが、上記記事の一部を以下に抜粋してみたいと思います。


<以下、抜粋>
(4)事業再編について
本設例では製造部門を海外に移転し、さらに当社Aから取引先への販売が、子会社Bからの販売に変化している。資本関係のない独立した当事者間では、このような事業再編が行われることはそもそも稀であり、また、仮に事業再編が行われる場合には、移転元となる企業は相当の対価(補償金など)を移転先に要求することが想定される。そのため、グループ企業間での事業再編においても、移転先企業から移転元企業に対して何らかの対価を支払うべきとも考えられている。現在、行われているOECD移転価格ガイドラインの改訂作業が進んでいけば、今後、より明確な考え方が提示される見込みである。
<抜粋終了>


正直、事業再編にまで移転価格税制の問題が関係するとは知りませんでした・・。

これから「OECD移転価格ガイドライン」の上記該当部分を読み込んでみようかと思いますが、もし、私の所属会社にて、事業再編時に移転価格税制を考慮した対価の授受を行うとすれば、当然のことながら、しっかりとした統一基準をまず設けてから実施する必要があるな、と感じました。

場当たり的に、「今回の事業再編では、移転価格税制の問題もあるようだし、グループ会社間にて○○○○円の対価の授受をするようにしよう。」と決めた場合、仮にその対価は妥当な金額であったとしても、国税には、「こっちの事業再編では対価の授受をしているのに、なぜ、こっちの事業再編では授受をしていないのか」という突っ込みどころを与える可能性もありますので、まずは統一基準を設けてから、過去との辻褄があるよう、事業再編時の対価の授受を行うようにしたいと思います。


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