書籍:外資な人たち―ある日外国人上司がやってくる

今般は、楡 周平氏著作の「外資な人たち―ある日外国人上司がやってくる」という本を読んでみました。

本書では、著者を含めた、特に米国系の駐日外資系企業に勤務する人達の体験記をまとめたもので、本書を通じて、駐日外資系企業特有の内部事情、日本と米国との企業文化や考え方の違い等を垣間見ることが出来ます。

なお、本書が出版されたのが1999年と、出版後10年超が経過していることから、出版当事と社会情勢等も変化しており、現在の外資系企業の実態と合致していない記載部分もあるかと思います。また、そもそも「外資系企業」と言っても色々な会社があるので、本書に出てくる外資系企業が、当時の外資系企業の全てでは無いということを考えますと、本書の内容の全てを自身の何らかの判断材料にすることは出来ないかと思います。

ただ、本書は軽い文体と流れで肩肘張らずにさっと読めてしまいますので、この手の話に興味のある方は、通勤電車のお供に、一読をお勧めします。

なお、本書の内容としては、本国から派遣されてくる外国人ボスの日本人秘書が、秘書業務を超えて、メイドやベジーシッターのような雑務を求められる事例、バイリンガルであることと通訳が出来ることは違うことを物語る事例が、個人的に興味深かったですが、一番心に留まった個所を以下に抜粋しておきたいと思います。

<本書抜粋>
「そこなんだよなぁ。外資の営業やってて何が辛いって、長期に亘るビジネスの話なんて、おっかなくてできやしないのよ。へたにそんな話をお客さんとしようものなら、木谷さんのように突然の製造中止、あるいはスペック変更になって、かえってお客さんを無くすことになるからなぁ。いきおい販売も刹那的になっちゃうんだよなぁ。

(中略)

弾丸激しく飛び交う最前線に、必死の思いで匍匐(ほふく)前進。ようやく銃を発射しようとしてみれば、弾薬の補充は突然打ち切り、後方に控える本隊からは援護射撃があるかと思いきや早々に退却の憂き目に合うとあっては、誰が安心して激戦のさなかに身をさらす気になどなりましょうや。

外国企業においては、今や日常茶飯事と化した感すらある部門売却や突然の製造中止は、文字通り最前線で身を粉にして働く営業マン達の士気を根こそぎにしてしまうというような深刻な問題を生むことになるんです。
<抜粋終わり>

外資系企業特有(と言われている)朝令暮改が、その会社で勤務する営業担当のモチベーションにどこまで悪影響を与えているのか知りませんが、この外資系企業の突然の製造中止、スペック変更には、私の所属している会社でも何度も遭遇し、取引先との間で挟まれて厳しい立場に追い込まれることがあります。

外資系企業に日本の慣習が通用しないのであれば、契約で縛ろうということで、汎用品・カタログ品の取引は別として、当社の顧客向け仕様に基づいて製造するカスタマイズ品の取引について、スペック等を変更する場合や、当該カスタマイズ品の供給を停止の際には、例えば6ヶ月前に通知して欲しいと、駐日外資系サプライヤーに依頼したとしても、

「スペックの変更や製品供給の停止については、外国の親会社が決めることなので、日本法人の当社では関知していません。その為、事前に把握して貴社に通知することは無理ですね。」

と平然と回答されるケースがほとんどです。
では、御社の存在価値は何なのかと言いたくもありますが、そんなことは言えません。

つい最近では、当社の顧客から要求されている事項を盛り込んだ書面を某駐日外資系サプライヤーに提示して契約締結を打診したところ、

「当社では、外国の親会社からの指示により、取引先から提示された確定的な内容の契約を締結出来ないルールになっています。たとえば、『保証します』とか『確約します』という表現のある契約書には一切サイン出来ません。但し、『~の内容については理解はしました。』とか『書面を受領しました。』というような表現に変更して頂けるのでれば、サインしますよ。」

というような、なんだそりゃな回答を受けることもあります。

なお、当社が外資系サプライヤーを発掘してきて、当社の顧客とマッチングさせたのであれば、まだ納得出来る部分もありますが、当社の顧客から「この外資系サプライヤーからAという製品を買って、当社に販売して欲しいんだけど~」と(強い)要請を受けて間に入ったにも関わらず、このような板ばさみ状態となる場合は、やりきれない思いで一杯となります。この手の間に入る案件は、粗利率は低いことが多い割りに、なかなか苦労させてくれます。

大手製造メーカーとしては、なかなか言うことを聞かない外資系企業から部材を購入する場合に、(当社のような)使い勝手が良くて、いざという時の賠償能力がそこそこ高い商社を間に入れて購入すればよい、という考えもあるのでしょう。

上記は、「外資系企業」を「下請法上の下請事業者」と読み替えても通じる話かもしれませんが、商社不要論が出ては消える背景には、いつの時代にも便利な緩衝材を求める需要が要因としてあるのでしょう。

だんだんと、本書の内容から話の方向性がそれてしましましたが、色々書いたので、とりあえずUPしておきます・・。

<目次>
外資系秘書事情―マキの場合
巨大プロジェクト顛末記(井上氏の苦労;井上氏の苦労は続く)
外資の男、外資の女~ミチコは語る
外資系企業の渡り鳥
最後に・・・

外資な人たち―ある日外国人上司がやってくる外資な人たち―ある日外国人上司がやってくる
(1999/03)
楡 周平

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