我社の契約書の管理方法(その1)(BLJ 2013年6月号)

遅ればせながら、BLJの最新号(2013年6月号)を読み終わりました。

6月号では、「契約書の管理」に関する特集が組まれておりまして、特に9社の取組事例の紹介では、現在の対応方法や今後の課題まで詳細に開示されており、なかなか参考になりました。

さて、私が所属している会社の契約書の管理方法について、ご参考になるかは分かりませんが、以下にまとめてみたいと思います。


業態:専門商社
法務担当者:1名(=私)
従業員:約1,000名

<契約書原本>
契約書の原本(個別契約は除く)は、個々の部門で保管するのではなく、私が所属する管理部門で一括管理しております。

契約書の原本の総数は約1万部位あり、自社のオフィスでは保管し切れないので、原本は全て外部の倉庫業者にて保管しております。

また、同倉庫業者に契約書の電子化も委託しており、直近に捺印したばかりで私のキャビネットで一時保管されている数百件の契約書原本を除き、全ての契約書がPDF化され、会社のファイルサーバーに保管しています。

捺印済の契約書については、「契約書NO.」、「契約当事者名」、「契約書の表題」、「締結日」をエクセル管理しており、電子化されたPDFファイル名と契約書NO.が紐付いているので、「以前締結したこの契約書の内容を見たい」場合には、1分もあれば対象の契約書を見つけて内容を参照することが可能な状態です。

なお、エクセル管理をしていることもあり、例えば、秘密保持契約の期間が満了する前に、担当者にアラートメールが自動的に送信される、というようなシステマチックな管理はしておりません。契約期間の管理は営業担当に任せています。

また、ファイルサーバーに保存された契約書は、管理部門の者しか見ることが出来ないようにアクセス制限がされており、営業担当者が内容を確認したい場合は、法務担当(=私)を介して取得する必要があります。

各部門の責任者に限定して閲覧権限を与えることも一時期考えたことがあるのですが、やはりセキュリティ上の懸念から、権限付与はしておりません。

たまに、当社の販売先から、「当社がサプライヤーと締結している基本契約書や秘密保持契約書の内容を確認したいので開示して欲しい」との要請を受けることがあるのですが、契約書によっては、「契約締結の内容・存在そのものが秘密情報に該当するので、契約書を第三者に開示する場合には事前承諾が必要」という条文が定められていることがあるなかで、上記の条文の存在を知らずに営業担当が第三者に契約書を開示してしまい、後で相手先から怒られるリスクを考えますと、なかなか契約書の閲覧権限を営業担当に与えることは躊躇してしまいますね。

今のところ、「契約書の内容を確認したいので、コピーを送付して欲しい」という要望は週に3件位の頻度であり、締結済の契約書は全てPDF化されているので、今のところ不便は感じておりません。

<契約の締結管理>
BJLで紹介されていた会社の中には、専用のシステムを組んで契約交渉・相談対応の進捗管理をしている会社もあるようですが、当社ではエクセル管理すらしていません・・。やった方が良いんでしょうが。

契約締結に向けて交渉中(相手方にボールがあり返答待ちの状態)の契約書達は100件程ありまして、私のデスクの引き出しに、社名をキーにして名前の順にファイルケースに入れて保管しております。

だいたい1か月毎に、動きの無い契約書について、交渉窓口の営業担当に進捗を確認するように依頼しておりまして、大きめのポストイットに催促した日と確認結果を追記してファイルケースに貼付し、再度、デスクに保管するようにしています。

取引をしていて、当社が販売先から補償請求を受けた際に、サプライヤーにしっかり求償することが出来るよう、当社では、販売先との契約書よりはサプライヤーとの契約書の締結を重要視していまして、販売先との契約書については、2回催促の連絡をしても動きが無ければ、以後、私から催促をすることはありませんが、サプライヤーとの契約書については、締結完了に向けてしっかりフォローするようにしています。本当は、販売先との契約書も締結完了までしっかりフォローした方が良いのですが、なかなかどうして・・。

<契約締結時の決裁方法等>
当社では、全ての契約(個別契約は除く)について私の所属する法務部門のチェックを受け、契約申請書に基づく社内審査を経てからではないと締結出来ない仕組みになっています。

契約申請書には、交渉履歴が記載された所定のフォーマットを添付して回議されます。
以前の記事(3/13)でも記載しましたが、私の所属会社では、取引先から提示された契約書について修正案を提示する場合、もしくは、当社の雛形契約書や当社から提示した契約書案に対して修正依頼を受け、当社から回答を提示する場合、以下のようなことが記載されたフォーマットを取引先に提示しています。

フォーマットの名称やフォーマットの体裁については、会社名を特定されそうなので記載出来ませんが。


1.弊社の要望欄(2013年5月3日)
  ○○○の理由により、第○条を以下のように修正願います。

  【修正案】
  ○○○

2.取引先様のご回答欄(2013年 月 日)

 ・
 ・
 ・


後々、このフォーマットを見れば、どのような交渉経緯・理由があって締結に至ったのかが分かるようになっています。

契約申請書には、上記の交渉履歴が記載されたフォーマットと、交渉履歴の説明を補完する為に、必要に応じて相手先から受領したメールや議事録等を添付して、社長の決裁を得てから捺印作業に進みます。

締結承認後は、契約申請書と上記付属書類一式をまとめてホチキス止めして保管します。当該契約申請書についても、契約書原本と同様に、外部の倉庫業者で保管しておりまして、また、同倉庫業者に契約書申請書の電子化も委託しております。

その為、過去の契約申請書の内容を確認したいときは、いちいちオフィスのキャビネットをホコリまみれになって探し回ることなく、1分もあれば会社のファイルサーバーから目当ての契約申請書を見つけることが出来ます。

契約書の原本と同様、セキュリティ上の懸念から、契約申請書についても営業担当には開示していませんが、契約申請書を参照するのは私くらいなもので、交渉経緯を確認したいという営業担当の需要はそもそもありません。

<今後の課題-1>
契約書原本を営業担当に開示する予定はありませんが、基本契約書の締結の有無については、営業担当が法務担当にいちいち確認しなくても、営業担当が自然と認識出来るような仕組みを作りたいですね。

当社では、契約書の重要性を認識し、「取引する場合は基本契約書を締結しましょう」というルールを導入したのが7、8年前のことです。

その為、かなり以前から取引している取引先とは、基本契約書を締結せずに取引をしているケースが多々あり、営業担当者の中には、既に基本契約書が締結済と勘違いして取引していて、何らかのトラブルが発生して基本契約書を確認しようとしたときに初めて、基本契約書を締結していない事実を知る、というケースが結構あります。

以前、法務部門が音頭を取って、仕入高上位100社のサプライヤー(=総仕入高の約7割を占める)との基本契約書の締結推進活動を実施し、仕入高上位100社とはほぼ締結済となったものの、まだまだ締結出来ていないサプライヤーは多々あります。

管理部門から、未締結先を調べて営業担当者に締結を呼びかけることも出来なくはないですが、マンパワー的に限界があります。そこで、現在、営業担当がシステム上で発注手続きをする画面に、「基本契約書の締結の有無の欄」を新たに設け、発注の都度、契約書締結の有無を確認出来る仕組み作りを進めています。先般、上記入力欄を設けたのですが、取引しているサプライヤーが約5,000社あるなかで、締結の有無を調べてシステムに入力する作業がかなり面倒臭いので、先延ばしにしていますが、順次、入力を進めて、基本契約書の締結率がUPするようにしたいと思います。

<今後の課題-2>
現在、当社は、法務が専門ではない私の上司を除きますと、私の一人法務担当状態なので、ナレッジの共有化については喫緊の必要性を感じていませんが、私も今の会社・部門にずっといるとは限りませんので、契約審査の基準・マニュアルの整備を進めていきたいです。

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(2013/04/20)
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