書籍:ソニー本社六階

今般は、竹内慎司氏著作の「ソニー本社六階」という本を読んでみました。

本書は、著者が1988年にソニー株式会社に新卒で入社後、経営企画部に配属され、その後、電子部品事業部、経営戦略部と異動していくなかで、かつては実質無借金会社であった国際的優良企業 ソニー株式会社が、1兆5千億円という巨額の負債を抱える一大借金会社に転落し、次第に競争力を失っていく様の内情を暴露しています。

なお、著者が新卒で入社した当時のソニー株式会社の本社では、七階、八階に役員フロアがあり、その真下である六階には、著者が新卒入社時に配属された経営企画部があり、同部はトップと密接な関係にあることから、トップの権威を背景にして事業部門に様々な情報の提出を要求する為、社内で隠語的に「六階」と呼ばれていたそうです。

本書によると、本来、経営トップを支えるべき「六階」の人達を含めた本社スタッフに官僚化が進み、また、当時、経営トップが神格化されていて、その名誉を守ることが組織の目的と化してしまっていたソニー株式会社では、恐怖政治が蔓延しており、粛清を恐れて、経営トップが誤った判断をしようとしていても、誰もNOと言えないという状態が発生していた、ということが、元経営幹部候補である著者により赤裸々に語られています。

本来、経営トップが正しい経営判断を下せるように、必要な情報を提供し、また、必要に応じて苦言を呈しなければならない本社スタッフが、いつのまにか経営陣のご機嫌伺い的な存在に成り果ててしまうのは、人材の流動性が低く、基本的には一つの会社に身を置いて会社員人生を全うすることがまだまだ一般的である日本においては、どの会社にも程度の差こそあれ発生しそうなことですが、「自由闊達ニシテ愉快ナル」経営を目指したソニー株式会社の創業者 井深大氏の考え方は、いつの間にか忘れ去れてしまったようですね。

なお、私の所属する会社は、ソニー株式会社ほど大企業ではないものの、社員数が連結で1000人超の中規模な一部上場企業ではありますが、私の上司を含めた本社スタッフの長達が、経営陣に意見・苦言を述べるシーンは普通に良く見られる光景であり(私の上司の言葉を借りれば「ちょっと、○○役員に差し込んでくるわ」)、また、経営陣も何か問題が発生するなり、新しいことを始めようとする場合は、本社スタッフと相談をしながら問題に対峙していこうという、という風通しの良さがまだありますので、今のところはソニー株式会社の二の舞にはならなさそうです。しかし、会社が大きくなる度に、大企業病が蔓延し易くなりますので、社内が硬直化しないように留意しなければなりませんね。

最後に、本書で個人的に心に留まった個所を抜粋して、ここらでペンを置きたいと思います。


<以下、抜粋>

モラルハザード
こうした投資案件は、もちろん形式上は経営企画部を始めとする関連部門の部長の決裁印を得ている。つまり、社内のルールに則って然るべき職責の人たちがこの投資計画を検討し、証人を与えたことになっている。
しかし、どんなに経済性に疑問がありリスクが大きい投資案件でも、当時の社長がやろうとすることに反対する者は一人もいなくなったので、このようなチェック&バランス機能は完全に形骸化していた。
このことはコーポレート・ガバナンス(企業統治)の仕組みが有効に機能するには、決裁ルールなどが形式的に整っているだけでなく、それに実効性を持たせるマネジメントの強い意志が必要であることをよく表している。

<抜粋終わり>

<目次>
第1章 本社六階の住人になるまで(バブル前夜の就職活動;就職考 ほか)
第2章 ソニー本社の掟(本社六階;銀行から来た上司 ほか)
第3章 ソニーの投資と事業(アメリカのガラス工場;モラルハザード ほか)
第4章 ソニーを去る日(EVAという経営指標;本社復帰 ほか)
第5章 ソニー型経営の幻想と現実(経営者と経営責任;禅譲型の経営交代 ほか)

ソニー本社六階ソニー本社六階
(2005/03)
竹内 慎司

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