中国法人とのライセンス契約の留意点について

遅ればせながら、雑誌「ビジネス法務 2012年12月号」を読み終わり、
特集「知財紛争の攻め方・守り方」の内、市橋智峰弁護士が書かれた
「事例で学ぶ知財紛争に備えた予防策・紛争対応-営業秘密編-」という
記事が参考になりましたので、その一部を備忘の為に以下に
抜粋しておきたいと思います。


「(3)輸出禁止の合意
   自社が海外に移転した技術が自社製品と競合すること(いわゆる
   ブーメラン効果)を避けるために、ライセンシーによる外国販売を
   禁止する合意がなされることがある。日本では、この種の合意は
   独占禁止法上違法ではない。
   しかし、中国では、合理的な理由のない輸出制限を違法と規定しており、
   その『合理性』の判断基準も明確ではない。すなわち、契約(書)上
   その旨の合意があっても、当該条項は無効とされるリスクがある。
   そうしたリスクを減じるには、『合理性』の説明をしておく必要がある。
   例えば、品質保証や特許保証を根拠にライセンス対象地域を限定したと
   するのは一つの説明方法である。」


「中国では、合理的な理由のない輸出制限を違法と規定しており」というけれど、
じゃあ、そのソースは?ということで、自分でググってみたところ、
どうやら以下の3点が根拠となるようです。


1.「中国契約法」

  第 329 条 違法に技術を独占し、技術の進歩を阻害し、または他人の
  技術成果を侵害する技術契約は、無効とする。

2.「最高人民法院による 技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に
   関する解釈(司法解釈)」

  第10条 以下の情状は、契約法第329条にいう「技術の違法独占、技術進歩の
  妨害」に該当する。
 (1)当事者の一方が契約目的の技術に基づいて新たな研究開発を行うことを
    制限、又は改良された技術の使用を制限する又は、双方の改良技術交換の
    条件が不平等である場合。これには一方が自ら改良した技術を他方に
    無償で提供することを要求する、相互利益とならない技術譲渡、
    当該改良技術の知的財産権を無償で独占又は共有することを含む。
 (2)当事者の一方がその他の出所から技術供与側に類似した技術又はそれと
    競争関係にある技術の取得を制限する場合。
 (3)当事者の一方が市場のニーズに基づき、合理的な方法によって契約の
    目的である技術を十分に実施することを妨げる場合。これには
    受け入れ側が契約の目的となっている技術を実施して生産する
    製品又は提供するサービスの数量、種類、価格、販売ルート及び
    輸出先を明らかに不合理に制限することを含む。
 (4)受け入れ側に、技術の実施に不可欠ではない付帯条件を受け入れるよう
    要求する場合。これには必要ではない技術、原材料、製品、設備、
    サービスの購入及び不必要な人員の受け入れを含む。
 (5)技術受け入れ側の原材料、部品、製品又は設備等の購入ルート又は
    購入先を不合理に制限する場合。
 (6)技術の受け入れ側が契約の目的である技術の知的財産権の有効性に対する
    異議申し立てを禁止する又は異議申し立てに条件を付ける場合。

3.「技術輸出入管理条例」

  第29条 技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。
 (1)譲受人に技術輸入に必須ではない付帯条件を求めること。必須ではない
    技術、原材料、製品、設備又はサービスの購入を含む。
 (2)譲受人に特許権の有効期間が満了し又は特許権が無効宣告された技術に
    ついて許諾使用料の支払い又は関連義務の履行を求めること。
 (3)譲受人が譲渡人に提供された技術を改良し、又は改良した技術の使用を
    制限すること。
 (4)譲受人にその他の供給先から譲渡人が提供した技術に類似し又は競合する
    技術の取得を制限すること。
 (5)譲受人に原材料、部品、製品又は設備の購入ルート又は供給先を不合理に
    制限すること。


なかなか色々な制限があるんですね~。

そういえば、以前、某日本法人(A社)と二社間のライセンス契約を作成した際に、
当該契約書に、A社が、A社の関係会社である某中国法人にサブライセンスする
ことを許諾する旨、定めて締結したことがありますが、当該契約書に上記制限に
抵触する条文がないか、改めて確認してみたいと思います・・。

上記のケースでは、準拠法が日本法だったかと思いますが、仮に、
中国の強行規定に抵触するような条文があった場合、色々とややこしいことに
なりそうですね・・。

日本法ではOKだからということで安心していると、中国法の強行規定に
該当して、契約の全部もしくは一部が無効にされ、契約は無効になったものの、
ライセンス契約に基づいて重要な技術情報・ノウハウ等は相手方に開示した後で、
秘密情報の記載された資料等の破棄・返還を受けたとしても、相手方の社員の
頭の中になる情報まで消し去るわけにはいかない、何てことになれば
目も当てられない事態になりそうなので注意が必要ですね

ライセンス契約を締結する場合で、「これって、相手方に不利な条項じゃね?」
というような条文を定める場合は、中国法に詳しい弁護士に強行規定への該当の
有無について確認したいと思います。

最後に、中国でのライセンス契約の注意点については、ジェトロから以下のような、
分かり易い資料が公開されていますので、上記テーマについて興味のある方は
ご参照されてはいかがでしょうか。

「中国進出における委託加工貿易、技術ライセンスの契約、商標に関するQ&A」
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/pdf/china_qa_pamphlet.pdf

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