完全合意条項と表明保証条項について

今般は、植草 宏一氏、松嶋 隆弘氏著作「契約書作成の基礎と実践
紛争予防のために」を読んでみました。

この手の本はこれまでたくさん読んで来ましたので、正直、
お腹一杯感は否めませんが、何か一つでも参考になることがあれば、
と思い、図書館で借りて読んでみました。

それでは、早速、個人的に心に留まった個所を以下に書き留めて
おきたいと思います。


「わが国の民事訴訟においは、自由心証主義のもと、契約書に記載されて
 いない事実も契約の解釈にあたって斟酌され、とりわけ契約締結に至る
 交渉過程は重要な意味を有する場合が多いので、契約の解釈が紛争で
 争いとなった場合に、完全合意条項がどの程度の効力を有するかが問題と
 なりうる。

 (中略)

 契約締結に至る経緯からみる限り契約条項の文理解釈のみによるのは
 適当ではないと思われる事案において、それにもかかわらず、裁判所が、
 完全合意条項が存在する以上はあくまでも文理解釈のみによるべきであり、
 その結果として結論が当を得ないものとなってもやむを得ず、いわば
 当事者の自己責任として割り切るかどうかは必ずしも明らかではない。
 その意味で、少なくとも現時点では、完全合意条項の効力にはまだ
 未知数の面が残っているとみるべきではないだろうか。」


ということで、完全合意条項が日本法に基づく裁判でどのように取扱い
されるのか、という内容でした。

なお、私の所属会社(当社)では、契約の交渉をしていて、当社の
条文修正依頼は一切受け入れられなかったものの、先方から、

「全グループ統一フォームなので、条文の修正は出来ませんが、
 実際には○○の問題については△△ように対応しますよ。」
「○○は△△のように解釈して頂いて結構です。」

というような回答を得て(メールで回答をくれる時もあるし、口頭でしか
回答をくれないときもあり、その場合は議事録を残す)、やむなく
契約書は原文通りで締結するケースが多々あります。

上記のケースで、完全合意条項が契約書に定めてあった例はなかったと
記憶していますが、もし、完全合意条項があった場合で、上記のような
対応をしていた場合、日本法における裁判で、どこまで契約書外の内容が
採用されるのか分かりませんね。

出来れば、全て契約書で白黒明確にしておきたいのはやまやまですが、
なかなかそうもいかない場合も多いので、完全合意条項が定められている
場合は、裁判所に採用されないリスクをある程度認識した上で、
次善の策として、上記のような対応をしていきたいと思います。

次は、表明保証についての解説部分の抜粋です。


「(c)表明保証の法的性質
 表明保証の法的性質については、①瑕疵担保責任における瑕疵の範囲を
 拡大する特約であると考える立場(瑕疵担保特約説)と②表明保証条項・
 補償条項によって売買契約とは別個に従たる損害担保契約が成立している
 とする立場(損害担保契約説)がある。

 (中略)

(b)無過失責任
 表明保証の法的性質についてのいずれの説によっても、表明保証は
 無過失責任と解されている。

 (中略)

(f)補償期間
 表明保証違反の保証がいつまで受けられるかについては、裁判例がなく、
 訴訟になった場合、どのような判決が下されるか必ずしも明らかではない。
 そこで、表明保証する際には、瑕疵担保の規定を参考にしつつ、補償期間を
 規定するべきだろう。」


恥ずかしながら、表明保証の法的性質には、「瑕疵担保特約説」と
「損害担保契約説」があるのは知りませんでした・・。

ただ、これまで、相手方から提示された契約書に表明保証条項があり、
補償期間が明記されていなかった場合は、「瑕疵担保責任期間と同一期間」
となるように修正したり、補償内容が明記されてなかった場合には、
明記するよう交渉するようにしており、極力、裁判所の判断に委ねる余地を
少なくするように対応してきましたので、法的性質等への理解が薄くても、
対応に問題はなかったかと思います。

しかし、こちらの要望通りに修正が受け入れられないケースもありますので、
その際の当社からの代替案の作成時、先方からの修正案の検討時に、今後は、
上記抜粋箇所を参考にして対応たいと思います。

最後に、本書については、dtkさんのdtk’s blogでもご紹介されておりますので、
ご参照ください。

契約書作成の基礎と実践―紛争予防のために契約書作成の基礎と実践―紛争予防のために
(2012/10)
植草 宏一、松嶋 隆弘 他

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まとめ【完全合意条項と表明保】

今般は、植草 宏一氏、松嶋 隆弘氏著作「契約書作成の基礎と実践紛争予防のために」を読んでみました。こ

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