書籍:小説で読む知的財産法

今般は、四宮隆史氏著作の「小説で読む知的財産法」を読んでみました。

本書は、表題の通り、小説形式で知的財産法(特許、著作権、商標等)について
勉強出来る本で、「知的財産基本法」を勉強する本ではありません。

なお、本書は、昨年の特許法改正が反映されていない点と、小説として違和感がある点が
ポツポツ出てくる点(弁護士との訴訟に関する第一回目の打ち合わせに、営業から最近
異動した人が一人で対応し、法務部長がいるのに同席せず、当該対応者が帰社したら、
法務部長は既に帰宅していて、一人で社長に結果を報告する件とか。その他いろいろ、
「それって、どうよ?」。というシーンがあり、いまいち小説の世界に入りきれない
箇所がありましたが、小説で学ぶ形式なので、仕方がないのかもしれませんが・・)を
差し引いても、知的財産法の初学者が基本書の前に読む本としては、肩肘張らずに
読める内容なのでお勧めしたいと思います。

さて、本書にて個人的に参考になった個所について、以下に抜粋して
書き留めておこうと思います。

なお、下記抜粋箇所は、クライアントからわずか3ページのクロスライセンス契約書の
レビュー依頼を受けた若手弁護士に、先輩弁護士(田口先生)がレビュー時のポイントを
レクチャーするシーンです。レクチャーシーンの前に、当該契約書の全条項が小説内に
掲載されていますので、自分なりに要修正箇所を考えてから田口先生のお話を聞きましょう。


「あくまでも私見だけど、今回の契約で最低限おさえておかないといけない
 ポイントは五つかな・・・。まず、(1)特許にかかる発明のほかに、技術発明やノウハウも
 ライセンスの対象に含めるのか否か。今回の契約には、特にこの点について書かれて
 いないので、素直に読めば技術情報やノウハウはライセンス対象に含まれない、
 と解釈できるけど、それでお互いの実務に支障がないのか、を確認しておく必要はあるわよね。」


上記の考え方は、ライセンス契約書に限らず、全ての契約書に言えることですが、
契約書をレビューする場合は、「今回、当社はこの契約書を締結して何を達成したいのか」を
よく考える必要がありますね。

上記抜粋箇所で言えば、単純に「クロスライセンスする契約書」のレビューとだけ
考えてしまいますと、原文でも問題ないのではないか、という発想になってしまいますが、
契約書の背後にある「目的」を念頭に置いて想像力を働かせれば、定めなければならない
条項が頭に浮かんでくるかと思いますので。

「目的」を考えたレビューをする為にも、依頼者からしっかり契約締結の背景をヒアリング
してからレビューに臨む必要があります。依頼者と電話等で会話もせずに、依頼者から
受領した数行のメール文面の行間から色々読み取ってレビュー、ドラフティングすることは
依頼者をミスリードする可能性がありますので避けましょう(=自戒を含む)。

<目次>
第1章 特許侵害訴訟の萌芽
    株式会社メディアライト・知的財産担当GM・山本祐一郎の場合
第2章 ライセンス契約(実施権の許諾)
    星野総合法律事務所・弁護士・鍛冶祐介の場合
第3章 発明の対価 システムエンジニア・中野克弘(元メディアライト社)の場合
第4章 映画ビジネスと著作権
    日本ITシステムズ株式会社・コンテンツプロデューサー・西康介の場合
第5章 WEBサイトの権利(編集著作物)
    星野総合法律事務所・パラリーガル・小笠原圭子の場合
第6章 著作権法の課題 星野総合法律事務所・代表弁護士・星野達也の場合
第7章 「商標」と「商品等表示」 星野総合法律事務所・弁護士・田口宏美の場合
第8章 特許侵害訴訟の行方

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(2010/10)
四宮 隆史

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