書籍:ビジュアル対訳 基礎からわかる中国語契約書

今般は、「ビジュアル対訳 基礎からわかる中国語契約書」という本を読んでみました。

本書は、前半部分に中国語契約書を読む上で必要な、中国法の基礎知識、中国語の契約書に特有な事項の解説で、後半部分は中国国内の動産売買契約書、賃貸借契約書、業務委託契約書、合弁契約書について、本書の左側部分に中国語、右側に日本語訳と解説が記載されています。

私は、仕事で中国語の契約書を読むことは皆無であり、また、今後もその予定も意気込みも無いので、本書の後半部分の対訳には正直興味はありませんでしたが、中国企業との契約交渉をする機会は多々あるので、中国語の契約法務について勉強出来ればと思い、本書を手に取りました。

本書を読んで感じたのは、一部の中国特有な強制法規、契約書に関連する登記制度を除けば、中国語も日本語の契約書も、チェックポイントはさほど変わらないんだな、というものでした。

なお、私は本書で中国法の瑕疵担保責任に関する定めを確認出来ればと期待していたのですが、本書では


<以下、抜粋>

このように「品質保証」と「権利保証」について契約書に定めておくのが望ましいのです。しかし、これらを契約書で定めていない場合が良くあります。中国ではこの場合、当事者が合意のうえこれを決めることができますが、合意が整わないときは、契約の全趣旨または商慣習によって決めます。これでも決められない場合は、国家基準や業界基準、一般基準、契約の目的に合致する特定基準によって履行するとされています。

<抜粋終わり>


という記載に留まり、具体的に、瑕疵担保期間や救済措置がどうなるのかについての解説がなかったのが残念でした。これはあくまで私の推測ですが、中国の法制度は良く変わるので、本書を今後も長い間「使える」書籍とするべく、あえて、具体的な内容を記載しなかったのではないか、と思われますが、考え過ぎでしょうか。

私の理解では、

中国では「製品品質法」上の「三包責任」が、日本でいう「瑕疵担保責任」に該当し、納入製品に、性能不備や仕様との不一致等があった場合、製品の購入者は、「その権益に損害を受けると知ったあるいは知るべきときから」2年間、製造者に対して修理、交換、返品、損害賠償を請求することが出来る。

と考えています。しかし、上記理解が正解なのかどうかどうも怪しいので、今後の個人的な課題として、引き続き調査を進めたいと思います。

なお、本書で個人的に参考になったのは、合意管轄の複数の要件に関する解説箇所で、中国国内取引に関する契約書の合意管轄裁判所を定める場合は、渉外取引に関する契約を除き、「被告の住所地」「契約(義務)履行地」「契約締結地」「原告の住所地」「目的物の所在地」にある人民法院に限定されているということです。

私の所属している企業グループは該当ありませんが、例えば、中国のA市に統括会社を設立した会社があり、中国のA市以外に所在する他の現地法人の雛形契約書では、統括会社が存するA市を管轄する地方裁判所を、合意管轄裁判所と定めた場合、もし、A市が上記要件「被告の住所地、契約(義務)履行地、契約締結地 、原告の住所地、目的物の所在地」のどれかに該当しない場合、当該合意管轄条項が無効になり、さらに最悪の場合、当該条項の無効により契約全体の効力も否定されてしまう可能性がある、ということです。

私は、現在、中国現地法人の契約書(日本語版と英語版のみ)のチェック依頼を受ける立場にありますので、合意管轄の定めについては留意したいと思います。

<目次>
第1部 中国語契約書の基礎(中国法の基礎知識;中国契約法の基礎知識;
    中国語契約書の基礎知識;注意すべき中国語契約書の表現)
第2部 中国語契約書の事例(国内動産売買契約書;賃貸借契約書;
    業務委託契約書;合弁契約書)

ビジュアル対訳 基礎からわかる中国語契約書ビジュアル対訳 基礎からわかる中国語契約書
(2008/10)
胡 健芳

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