書籍:企業法務バイブル2010

今般は、「法律オンチが会社を滅ぼす」でお馴染みの畑中鐵丸法律事務所が出している
「企業法務バイブル2010」という本を読んでみました。

本書は、下記の目次の通りとなりますが、企業法務とはなんぞや、から始まり、
組織運営、労働、製造・調達、ファイナンス、知財、営業・販売関連という
複数のカテゴリーについて、主な課題や、法令、情報収集の仕方、予防法務、
戦略法務、訴訟法務のポイントが解説されています。
企業法務を網羅的に勉強したいという方には、その入門編としてお勧めします。

さて、本書で個人的に参考になった個所を、少し長いですが書き留めておこうと思います。
以下は、民事訴訟法務のポイントを解説した部分です。


「裁判官が早期に争いのある事実についての認識(心証形成)が出来るように協力する

 裁判官には、事件当初から、事件の背景や全体像を詳細に理解していただくことが
 重要です。裁判官は多くの事件を抱え、常に時間がありません。
 そのような多忙な裁判官にとっては、企業の生死を決するような重大な契約事故・
 企業間紛争や商事紛争であっても、一般的な民事事件と同じ「どうでもいい、
 犬も食わないロクでもない話」の一つにすぎません。
 
 (中略)

 多数の事件を抱え、常に時間に追われる裁判官は、少しでも早く事件の全体像を
 把握したがっています。そして、一度把握した事件の全体像は、よほどのことが
 ない限り、修正したりしません(事件の全体像を何度も変換させると、時間の無駄に
 つながりません)。
 ですので、事件の後半ではなく、初動段階が勝負となります。この段階で、
いかに裁判官に効率的に事件の全体像を示せるのかが、企業にとって勝負を決する
 ポイントとなります。」


ということで、本書では、訴訟の戦い方として、競馬でいえば後半から巻き返す
「差し馬」型ではなく、「先行逃げきり」型を勧めています。

裁判をどのように戦うのかは、弁護士によってそれぞれ戦略、得手不得手がありますので、
全ての裁判において「先行逃げきり」型が最適とは言えませんが、上記の記述には
一理あると思います。

ちなみに、私が体験した中国の裁判事例(当方被告側)ですが、担当した中国人弁護士は、
当方の第一回目期日の答弁書にあれこれ詳細な事項を記載すると、裁判官の心証が
悪くなるので、簡潔な内容が良いと主張し、A4ペラ1枚程度の答弁書案を提示してきました。

当方からの「答弁書が簡潔し過ぎやしないか」という質問にも、当該中国人弁護士は、
「日本と違い、中国では○○なんです。」と「中国特有の事情」を殊更に強調するので、
「そういうものなのかな」ということで弁護士の方針通り戦ったところ、本件については
1回の期日を経ただけで判決が出てしまい、後半に巻き返す前に裁判で負けてしまいました。
その後、弁護士を変えて控訴しましたが。

上記のケースでは、敗訴した原因が、「差し馬」型を選択したからなのか、
別の要因によるものなのか、それとも、当方はどんな方法・戦略を選択したとしても、
敗訴するべくして敗訴したのかは分かりませんが、今後の教訓としては、
「□□と違い、△△では○○なんです。」的な説明を受けて、どうも腑に落ちない場合は、
セカンドオピニオンとして、他の弁護士等にも相談するなどして、しっかりと
腹に落としてから、弁護士の回答を受け入れて判断するようにしたいところです。

<目次>
1 企業法務総論
2 企業法務各論―序
3 企業組織運営法務
4 「ヒト」に関する企業活動の法務(労働関連法務)
5 「モノ」に関する企業活動の法務(製造・調達関連法務)
6 「カネ」に関する企業活動の法務(ファイナンス関連法務)
7 「チエ」に関する企業活動の法務(知的財産関連法務)
8 企業の営業活動の法務(営業・販売関連法務)

企業法務バイブル〈2010〉企業法務バイブル〈2010〉
(2009/11)
畑中鐵丸法律事務所

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