情報システム・ソフトウエア取引トラブル事例集

先日、このブログでも取り上げましたが、BLJの10月発売号では、
「システム開発契約 成功と失敗の分かれ目」という特集がされており、
遅ればせながら、当該特集で紹介されていた、経済産業省監修の
「情報システム・ソフトウエア取引トラブル事例集」を読んでみました。

この事例集では、トラブルを大きく分けて
 ・契約締結前に開発作業を実施してしまったことによるトラブル
 ・実体と契約書の内容が合致していないことによるトラブル
 ・締結した契約書の不備に起因するトラブル
の三つに分類し、23の裁判例の要点説明と、当該紛争の反省点について
分かりやすく解説されています。

また、上記事例集は、同じく経済産業省が監修して作成された
「システム・ソフトウェア開発のモデル契約書」(←これにも解説が付いていて
読んでて参考になります)と関連付けて説明されていますので、システム系の
契約書を審査する方は、上記事例集とモデル契約書を一読されてはいかがでしょうか。

上記事例集の中で、個人的に心に留まった箇所を抜粋してみたいと思います。
以下は、ベンダが、契約成立前に口頭にて契約が締結されていると考え、
開発作業を進めてしまったことによる紛争の反省点を記載した箇所です。
実際の裁判判決では、ベンダの代金支払い請求は棄却されています。


「 正式に契約書を締結すべきである

 ベンダは、ユーザが「キックオフミーティング」と題する会議に出席した
 ことをもって、開発作業の開始に同意したことを示すものであるとして
 契約の成立を主張したが、判決ではそれまでの経緯から当該ミーティングは
 単なる打ち合わせに過ぎず、ユーザの出席に特別な意味はなかったと
 認定された。

 本件に限らず裁判では、契約書がない状況では、たとえ諸般の事情が
 考慮されても契約成立が認められる可能性は低い。キックオフミーティングや
 セレモニーを経ても契約が成立したことにはならず、ベンダはユーザとの
 間で、開発対象物、金額、作業内容、完成時期(納期)等の契約の内容に
 ついて、書面で合意すべきであった。」


ということで、システム開発を請け負うベンダとしては、
契約が締結されてから開発をスタートするべきですね。

  ・
  ・
  ・

と、言葉で言うのは簡単ですが、実際、開発物の納時がタイトに
決定されている場合、ベンダとしては契約書の締結交渉中であっても
見切り発車しなければならないケースも多々あると思います。
そのような場合は、次善の策として、メールや議事録で、契約成立の
証拠を残すしかないですね。

P.S.
システム開発契約が、成果物の納品後に事後的に取り交わされるケースが、
私の所属している会社で結構あります。
案件によっては、3ヶ月以上前にバックデートするケースもあります。

契約書が無いと、ベンダの社内システム上、代金の授受が出来ないことを
ベンダの担当者が気づき、契約書の締結が事後で進められるケースが多いでしょうか。

なお、非常に怖いのは、当該契約書に記載の事項で、当社側が(潜在的に)債務不履行
している事項があり、契約書を締結した瞬間に、当社が債務不履行となってしまう
リスクがある点です。

上記問題については、システム系契約書に限らず、バックデートで契約を
締結する場合に発生するリスクですが、当社を債務不履行にさせる意図を持って
締結を打診してくる輩もいるかもしれませんので、「形式的なものだから」という
担当者の言葉を間に受けずに、事後だということで、契約内容のチェックを
疎かにしないようにしたい所ですね。

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