中国で仲裁合意をした場合の保全申し立てについて

今般は、「Q&A中国ビジネス 法務の現場」という書籍を読んでみました。

ちなみに、最近、私の近所の某区立図書館に法律関係の蔵書が多いことに気づきました。
これまでは専ら本は買う派でしたが、今では、本屋で面白い本を見つけたら、
まずは携帯端末で当該区立図書館の蔵書検索をして、もし蔵書が無ければ、しぶしぶ
購入するという感じになっています。
ちなみに、どこの図書館かは、ライバルが増えそうなのでしばらく秘密にしておきます(笑)

さて、本書の出版年は2006年と、急速に変化する中国の法律体系の中にあって、
記載内容がやや古いのではないか、という個人的な先入観があり、記述テーマによっては、
本書の内容を鵜呑みに出来ないのが残念なところですが、本書は三菱商事の法務部が
出しているだけあって、法律の表面的な内容に終始せず、実務的なアドバイスの記述も
多数あり、上記を差し引いてもなかなか読み応えがありました。

本書で参考になった個所を、少し長いですが以下に抜粋します。

「Q22 紛争解決を仲裁するとした場合、仲裁判断を中国で執行できるという点に加え、
相手方中国企業の財産や証拠を保全できるかを検討することが重要と聞きます。
この点で、中国の仲裁機関とそれ以外の仲裁機関で差異はありますか?

(ポイント)
・中国の仲裁機関による仲裁の場合、仲裁手続申立前に財産・証拠の保全申請を行うことは
困難であるが、仲裁手続申立後は、仲裁判断が下される前でも、仲裁手続と並行して
人民法院に財産・証拠の保全を申し立てることはできる。
・香港・日本等の外国の仲裁機関による仲裁の場合、法令上、仲裁手続きと並行して
 行う人民法院への財産・証拠の保全措置は想定しておわず、仲裁判断が下される前に
 財産・証拠の保全を行うことはできない。(~以下、詳細な解説)」

また、財産の保全措置を当初から想定している場合には、契約書に仲裁合意を記載する他、
保全申立については人民法院に対して別途申請出来る旨を併記する方法を紹介しています。

しかし、契約書に仲裁合意を定めていることによって、人民法院が保全措置の申請の
受理を拒否する恐れがあるようです。

また、財産の保全措置に関しては、民事訴訟法に訴訟提起前の財産保全に関する制度が
定められているようです(民事訴訟法93条・252条)。
しかし、保全措置が取られた後30日以内に訴訟の提起をしないと、財産保全は解除
されますので、たとえ30日以内に仲裁手続きに入ったとしても保全措置は解除されます。
その為、仲裁合意と人民法院への保全措置を併記する方法は、実効性に疑問があるようです。

ということで、特に自社が金銭債権の債権者で、将来、債権回収に関する紛争に発展する
懸念があると判断すれば、「日本で仲裁をするほうが地理的に楽だ」という発想だけでなく、
回収可能性を考えて、「あえて中国の裁判を紛争の解決方法にする」ことも選択肢の一つに
入れるよう、留意したいと思います。
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