契約解除条項の存在意義について

先般、当社の販売先の一つがDIP型の会社更生法適用の申し立てをし、
手続き開始の決定がされました。
当社はその取引先とは預託取引をしていた為、今回の申し立てが、預託契約書の
契約解約条項に該当するとして、契約を解除して預託在庫を引き上げようと考えたところ、
先方の弁護士から「本条項は無効の可能性が高い」との回答がありました。

当社の顧問弁護士と協議した所、下記二つの判例を根拠に、当社内では契約を
解除することは難しいと判断するに至りました。

1.判例(最判昭和57年3月30日)
  所有権留保付売買契約で、会社更生手続き開始の申し立てに伴う、「契約解除条項」に
  基づく契約解除を、会社更生手続きの趣旨と目的を害するとして無効と判断
  
2.判例(最判平成20年12月16日)
  フルペイアウト式のファイナンスリース契約について、民事再生手続きの申し立てに伴う、
  「契約解除条項」に基づく契約解除を、民事再生手続きの趣旨と目的に反するとして
  無効と判断

上記の件は結局、ちょうど預託契約の更新時期が、会社更生手続き開始後の1ヵ月後
だった為、通常の契約解除条項(契約満了前の1ヶ月前通知)に基づき、契約を解除して、
今では代引取引を継続することで事なきを得ましたが、「倒産」を解除事由とする
「契約解除条項」の存在意義について色々と考えさせられました。

なお、今月の「ビジネス法務」8月号に、ちょうど上記の判例二つを取り上げて、
倒産時の契約解除条項の無効を取り上げている記事がありました。

参考になったのは、リース契約の解除の可否をQ&A形式で取り上げ、
契約会社更生、民事再生でも、契約解除条項が全て無効となるのではなく、
例えば再生手続き開始によっても、「再生債権につき、弁済期の変更等の対外的な法律上の
効果は生じず、再生債務者の履行遅滞を免れさせるものではないとするのが
通説的な見解であり(最判昭和33.6.19参考)、これを前提にすれば、リース料の
不払いを理由にリース契約を解除することは可能ということになります。
ただし、民事再生手続の申し立て後、弁済禁止の保全処分決定が発令されている場合には、
その保全処分期間中にリース料の弁済期が到来しても、リース業者は、その履行遅滞を
理由にリース契約を解除することはできないものと解されていることに留意が必要です
(最判平20.12.16補足意見,最判昭57.3.30参照)」という点です。

また、顧問弁護士によると、倒産時の契約解除条項とは異なり、期限の利益喪失条項については、
「再生手続き開始」に関わらず、有効であることから、契約書上に記載する意義はあるようです。

しかし、「双方未履行の双務契約」について、再生債務者が契約継続の有無を判断できたり、
民事再生では原則として担保権の実行が除外されるけども、実行禁止の命令を請求できたりと、
再生債務者側に立った法制やら判例が確立されてきたので、ちょっと経営が辛くなってきたら、
早めに再生手続きの申し立てをして、恩恵を受けようとする会社はますます増加するのでは
ないかと思います。

今後の対応としては、契約書の規定に関わらず、取引先が倒産をする前に、
経営の悪化に関する情報をいち早くキャッチして、早期にそして事前に対処できるように
取引を行いたいものです。

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