書籍:海外取引の与信管理と債権回収

今般は、Business Law Journal 2月号の「法務のためのブックガイド2011」特集で
取り上げられていたので早速購入したものの、しばらく積読していた
「海外取引の与信管理と債権回収」を最近やっと読む事が出来ました。

本書は、ダンレポートでお馴染みのD&Bで経験を積んで、現在、与信管理等に関する
コンサル会社を経営する牧野氏が、書名の通り、与信取引を開始する前の取引先の
分析から債権回収まで、実務的なノウハウ、アドバイスを提供してくれます。

本書で参考になった箇所はいくつかありますが、その内2点を備忘の為に
以下に書き留めておこうと思います。

1.トレード・レファレンスについて

恥ずかしながらトレード・レファレンスというものは本書で始めて知りました。
匿名で情報開示されるとはいえ、顧客の支払い情報(支払い遅延してないか等)を
調査会社等の第三者に開示することは日本では考えられないことですが、
米英では一般的な商慣習みたいです。

特に、取引先が上場会社である場合を除き、非上場会社の場合は
仮に決算書を入手出来たとしても、粉飾とは言わないまでも、決算情報が
たくさんお化粧されている可能性がありますので、本当の会社の姿を
決算書から判断する事は出来ませんが、トレード・レファレンスを利用して、
第三者から提供を受けた対象会社の支払情報が分かれば、ある程度の高い
確信を持って、取引先を判断出来そうです。

しかし、そのトレード・レファレンスにもデメリットがあるようで、

^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^^^

これだけ優位性がある支払情報とて万能ではない。いくつかの弱点がある。
例えば、網羅性である。支払情報は入手できたものだけ、信用調査レポートに
記載されている。それが、その企業の取引全体の何割を代表しているのかは
判断できない。また、トレード・レファレンスなど支払情報を交換する
商慣習のない国では、情報が入手しにくい傾向にある。また、自社でCredit
Applicationなどのツールを使って、支払情報を入手する場合の注意点は、
企業は期日どおりに支払っているサプライヤーの社名しか挙げない可能性が
あるということだ、その場合には、任意に列記されるのではなく、
こちらからサプライヤーを指定する方法もある。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

ということみたいです。
あくまで参考までに、ということですね。

2.債権回収の5原則の一つ (1)目標の設定

^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^^^

債権回収に関わらずすべての業務は目標設定から始まるといっても差し支えない。
例えば電話1本かけるにしても、債務者との電話から得たい成果を決めることから
始める。なんの目標もなく電話すると、相手が不在で何の成果がなくても、
電話したというだけで満足しがちである。これで何となく仕事をしたような
気になり、次の電話はまた明日という具合に先延ばしになる。債務者にとっても
緊迫感がない。

(中略)

催促のメールを書く場合も同じで、自分は何を伝え、相手からどういう
返答を導き出したいのかを考えながら催促状を書くようにする。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

上記はまさにその通りです。

なお、上記の部分を読んでいて、ふと、上記の考え方は、
(1)自社の社員から契約書のチェック依頼を受けて契約書原本を受領し、
その後、修正依頼をしたものの、なかなか音沙汰が無いときや、
(2)捺印した契約書の原本(2部-当社分と相手側分)を送付したものの、
なかなか原本の当社控え分の返却が無いときにも
適用出来るなと感じました。

以前までは、あまり催促をしつこくして嫌がられるはイヤだなあと考えるあまり、
一応催促のメールは打つものの、全く返答が無くても、今は対応してくれている
ものなんだと前向きに考えて、しばらく放置している時期がありました。
しかし、この結果、多数の契約書の原本という停滞在庫と、
ある意味不良債権化した未返却の原本(当社控え分)の数が増える一方でした。

そこで、メールしても返信が無い場合には、2,3日中には確認の電話を必ず
入れるようにしたところ、100%までは至らないものの、停滞在庫と不良債権は
かなり改善してきました。
今考えれば非常に当たり前のことではありますが・・。

なお、私の所属している会社だけかもしれませんが、営業担当者の
「契約書」に対する意識は低く、営業活動と比較して、優先順位は
低い地位に追いやられる事が多いので、嫌がられず、しかし忘れさせない
微妙な立ち位置で、これからも回収業務を実施したいと思います。

<目次>
第1章 国際取引の与信管理の基本
第2章 海外の信用情報を分析するポイント
第3章 取引先の分析と与信限度額の設定
第4章 各国・地域における与信管理、債権回収のポイント
第5章 海外取引の債権回収実務
第6章 英文督促状のポイント
第7章 海外取引の債権保全策

海外取引の与信管理と債権回収海外取引の与信管理と債権回収
(2010/03)
牧野 和彦

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