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元総務&法務担当の部屋     

これまで、ある企業で約十数年間、法務担当(+α)として仕事に従事していた者です。最近、財務・経理部門に移動しました。このブログは、仕事に関する書籍を読んだ感想や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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あえて契約書を締結しなかった経緯をまとめた資料を残すことの重要性

1.契約書の交渉経緯をまとめた資料の重要性

今般、遅ればせながら「Business law Journal 2019年7月号」を読み終わりました。

Business Law Journal(BLJ)は今の会社で購読していまして、今年、財務・経理部門に異動した後も継続的に私にも回覧して貰い、当社の事業に関係ありそうな記事はなるべく読むようにしています。

私はまがりなりにも10数年間、法務担当をしていましたので、(あくまで社内では相対的に)法務に強いという自身の強みを維持したいことと、また、財務・経理部門に異動したとしても、営業部門から相談を受ける内容には、純粋に財務・経理に関する相談(この経費はどの勘定科目で処理すればいいのか等の相談)もありますが、BLJで取り上げているような企業法務に関する内容も多いので、今後も最新の企業法務情報をキャッチアップするべく読み続けていきたいと思います。

さて、BLJ 2019年7月号で個人的に心に留まった箇所を以下の通り抜粋させて頂きます。

下記は、「海外取引における最近のトラブル類型と対応策」という特集の内、「海外取引トラブルにおける法務担当者の役割(中尾智三郎氏 三菱自動車工業 法務部担当部長)」という記事の抜粋です。


契約が締結された後、トラブルが発生するまでに年数単位の時間が空いているのが一般的ですから、たとえ契約に不備があったとしても、それは不注意により記載がもれていたのか、交渉上やむを得ないことだったのか、戦略的にあえて書かなかったのか。
それは最終契約書だけを見てもわかりません。関係者の記憶も薄れています。しかし、複雑な契約書の締結時には引継書・解説書を作るようにしていれば、書き方が悪くて失敗したのか、詰めが甘かったのか、そもそもビジネス事例から再発防止に役立つ教訓を格段に得やすくなります。これは法務にしかできない重要な仕事でしょう。



私の会社では、基本契約等を締結する際、法務部門を介して社内の承認を得る必要がありますが、その際、申請書の添付書類には、最終的に合意した契約書だけでなく、合意に至る経緯等をまとめた資料を添付するよう運用しています。

先般、私が数年前に契約交渉に関与した某外資系企業との契約書について紛争が発生しました。詳しい内容は書けませんが、契約上、某大手外資系企業(サプライヤー)は納期通りに納入する義務について「努力義務」を負うものの、明確な遵守義務は負わないと記載されている中、実際に納期遅延問題が発生したケースで、当初、上記サプライヤーは上記契約条項を元に契約責任を拒否していました。

上記契約の交渉時、某サプライヤーは外資企業ということもあり(?)、一切の修正には応じないというお決まりスタンスだった中、契約書を締結しないと取引口座が開設出来ないということで、やむなく原文通りに締結しました。

しかし、上記条項も含めて懸念のある条項については、「契約書には〇〇と記載されているけども、実際は△△と対応します」という先方担当者の回答、言質を交渉経緯書、議事録にまとめて締結しました。(上記内容を覚書形式して締結することは、親会社の承認がおりないということで拒否されました・・・)

結果として、上記経緯書を盾に交渉した結果、サプライヤー側も譲歩してくれた、という事例がありました。もし最終的な契約書しか残存していなかったら当社が不利な立場に陥っているところでした。
(サプライヤーが契約書を盾に強硬に自身の契約責任を拒否してきて裁判に移行した場合、勝てたのかどうかは分かりませんが・・・)

ワードの校閲機能を使った契約書の交渉履歴はちゃんと残して締結している、という会社も多いかと思いますが、その履歴が担当した法務担当しか分からない内容、体裁、保存の仕方であれば、トラブルが発生した数年後に当時の法務担当がいなくなっていて、誰も経緯が分からないという事態も想定される為、正直面倒くさいですが、重要な契約ポイントだけでも締結の経緯をまとめたペーパーは残すように運用したいところですね。

なお、締結前に経緯書を一から作成するとなると、長い交渉を経て締結に至ったケースであれば尚更、法務担当も細かい経緯を忘れてしまっている場合もあると思うので、交渉の進捗がある都度、交渉の推移を記録していった方がいいですね。その記録があると、交渉の際にも過去の経緯を思い出す際に役に立ちますし。私が法務担当時代も交渉に都度、時系列的に交渉経緯を残すようにしていました。

というか、社内で締結の承認を得るプロセスがある場合、交渉の経緯が記載された資料なしに、決裁者はどうやって締結の可否を判断するのか、というのはありますね。最終ドラフトだけで、内包するリスクが許容範囲かどうか等をしっかりした判断が出来るのかと。

法務担当が「交渉の結果、問題ない内容で妥結しました。」とコメントした契約申請書(最終ドラフトの添付あり)に決裁印を捺印しているだけでは、儀式的に決裁しているだけで、真に決裁している訳では無いので、交渉の経緯書の作成と決裁者への提示はマストと思います。もし経緯が煩雑であれば、決裁者用にサマリーを別途作って社内申請時に提示する心遣いも大切ですね。



2.あえて契約書を締結しなかった経緯をまとめた資料を残すことの重要性

契約書の締結交渉経緯を残している会社は多いかもしれませんが、あえて戦略的に基本契約書等を締結しなかった経緯を残している会社はどの程度いるのでしょうか?

例えば、基本契約書について色々と交渉したものの、話が平行線となり、先方の要望通りに不利な契約書を原文通りに締結するくらいであれば、トラブルが発生したときは法律に任せた方がマシという判断で、あえて基本契約書を締結しないケースがあると思います。

このようなケースの場合、上記経緯を紙に残して、可能であれば、契約締結の承認権限者の了承印を貰っておいた方がいいですね。

上記エビデンスが残っていないと、いざ、みんなが上記経緯を忘れたころに相手先とビジネスのトラブルが発生した場合、「なんでこれまで基本契約書が締結されていなかったんだ?」と、トラブル発生時点の法務部門が責められる可能性があります。

また、寝た子を起こさないように、あえて契約交渉をペンディングに持ち込んでいたのに、数年後、基本契約書の締結が無いことに気づいた(やる気のある法務部門が)締結推進活動を進めた結果、再度、平行線の交渉が開始し、さらに悪いことには、


「現在の方針として、基本契約書の締結が無い先とは取引しない方針としている。御社とはてっきり基本契約書は既に締結されているものと考えていたが、未締結とは気づかなかった。今後、基本契約書の締結が出来なければ、取引の継続は出来ない。


というような強硬なことを言われる余地を与えてしまうことが想定されます。

その為、契約を締結するに至った経緯を残すことも大事ですが、あえて締結しなかった経緯も書面に残して、すぐに参照出来るように保管しておきたいものですね。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
銀行業務検定試験公式テキスト 外国為替3級
(経済法令研究会 (編集))

[本書で参考になった内容等]
為替予約は原則、期日に履行する必要がある。
ただし、銀行との取り決めで取り消しが可能な場合は、原則、取消日の直物相場で反対取り消しを行い、これにより生じた為替差損は、ペナルティとして取り消し手数料と合わせて銀行から請求を受ける(場合がある)。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
いちばんやさしい為替の教本 人気講師が教える実務で使える通貨と経済のしくみ
(いちばんやさしい教本シリーズ)
(神田卓也氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
稲盛和夫の実学―経営と会計(稲盛 和夫氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
一番わかりやすい 連結会計の教科書
(TAC簿記検定講座 著作)

※本書では練習問題も掲載されていましたが、まだ私の力不足で
 取り組めていない問題がたくさんあるので、
 もう少し連結会計の勉強を進めた後、チャレンジしようと思います。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
そのまま使える 経理の英文メール
(新日本有限責任監査法人著作)

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「買掛金、売掛金、在庫の増減」 = 「キャッシュの増減」と言えるか?

ご承知の通り、キャッシュフロー計算書(間接法)では、「税金等調整前当期純利益」を出発点として、非資金損益項目等を加減算して営業キャッシュフローを算出します。

ではここで少し考えてみましょう。

以下の通り、「買掛金、売掛金、在庫の増減」 = 「キャッシュの増減」と言えるのでしょうか?


  [キャッシュフロー]
  XXX百万円の買掛金の増加  = XXX百万円のキャッシュ増加

  XXX百万円の売掛金の増加  = XXX百万円のキャッシュ減少

  XXX百万円の在庫の減少    = XXX百万円のキャッシュ増加



なお、商品売買の会計処理方法としては、主に「三分法」、「分記法」、「売上原価対立法」がありますが、多くの会計本では「三分法」をベースにキャッシュの動きを解説しているケースが多いかと思います。

そんな中、当社では「売上原価対立法」を採用していることもあり、今回は、営業活動でキャッシュがどのように増減していくのかを確認する為に、「売上原価対立法」で処理する場合で、各取引段階での仕訳と現金の流れを以下の通り記載してみました。

なお、下記仕訳以外の要素は無視した前提となっています。

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このように、あえて長々と書いてみるまでもなく、「買掛金、売掛金、在庫の増減」 =「キャッシュの増減」とは必ずしも言えず、あくまで、PLの「税金等調整前当期純利益」も含めて考えないと本当のキャッシュの増減要因は表せないことが分かりました。

ただ、業種にもよるかと思いますが、BS上の現金の増減を簡易的に分析するだけであれば、金額的に大きな運転資金に関する上記3項目をベースに検証するのも手っ取り早くてアリなのかもしれないなと思った土曜日でした。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
基礎から学ぶSEの会計知識(改訂版)(金子 智朗氏著作)

[本書で心に留まった内容等]
・正しい意思決定をするには、埋没コストを取り除き、将来発生するコストだけを考えなければならない。

・「もったいない」という感覚で、すでに発生している投資額や売却損をコストに組み入れてしまいたくなるが、「もったいない」という感覚は経済合理的には根拠はない。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
図解&ストーリー「資本コスト」入門
(岡 俊子氏著作)

[本書で参考になった内容等]
M&Aを検討する際、対象会社の価値に見合う買収価格かどうかを検証する上では、対象会社のWACCを使用する意味はあるが、自社の投資の妥当性を検証して第三者の理解を得る上では自社のWACCを使って買収価格を検討する必要あり。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
SEがはじめて学ぶ会計
(広川 敬祐氏著作)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
為替リスク対策のすべて(1988年3月出版)
(大塚 順次郎氏著作)

[本書で参考になった内容等]
・外国為替が暴騰・暴落している場合を除けば、例えば、米ドルの先物相場が直物に比べて安いの要因は金利平価によるものであって、米ドルが先々弱くなることを示すものではない。

・本書には、著者が実需原則撤廃直後に考案したという先物ヘッジ予約(包括ヘッジ予約)の手法が詳しく解説されています。

上記手法について、「円高局面でもこのヘッジ予約で為替益を出せるのですから楽しみです。」という輸出メーカー担当者のコメントが記載されておりました。

為替益を狙いに行くファンドの為替担当であれば分かりますが、輸出メーカーの為替担当の役割は、為替変動リスクを抑えることにあり、どれだけ変動幅を抑えられたを狙いに行くべきであり、為替益を楽しみしちゃダメだろと思いましたが、どうなんでしょうかね。為替益を取りに行く輸出メーカーもあるんでしょうか。

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
マンガ 外国為替入門―難しい為替のしくみがよくわかる
(中藤 健治氏、高橋 達央氏著作、住友商事外為部 監修)

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<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
為替オーバーレイ入門―戦略的為替リスク・マネジメント
(中窪 文男氏著作)

以下、本書前書き(本書の特徴)一部抜粋


◆初心者にもわかりやすい
本書をベースに、運用経験のない若手社員数名と「外国為替勉強会」を実施し、彼らのコメントをもとに、初心者にも理解し易い本に仕上げた(ただし、後半は数式も多く、初心者には理解しにくい部分も多少ある)



上記前書きを読んで本書を読み始めましたが、超初心者の私には理解出来ない部分が多々あり、
早々にそっと本を閉じました・・orz

著者と私の考える「初心者」のレベル感が違いすぎましたね。

もっと為替の知識レベルが向上したら本書に再挑戦しようと思いますが、そんな日は来るのだろうか・・。

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