1.交際費に該当する場合とは今般は、「Q&A経理担当者のための税務知識のポイント (第3版)(松田 修氏著作)」を読んでみました。
「交際費」と「広告宣伝費」のどちらに該当するのかについては、税務調査で調査官と攻防が繰り広げられることの多いポイントの一つかと思います。
本書でも解説されておりましたが、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図する支出は「広告宣伝費」に該当し、「交際費等」には該当しません。
なお、国税庁HPの
「タックスアンサー(よくある税の質問>法人税>No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算)」に交際費等の範囲について解説されていましたので、以下の通り抜粋しておきたいと思います。
国税庁HP(該当ページ):
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
1 交際費等の範囲
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。
ただし、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(2) 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用
(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために
支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で
割って計算した金額が5,000円以下である費用
なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
イ 飲食等の年月日
ロ 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ 飲食等に参加した者の数
ニ その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は
所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
ホ その他参考となるべき事項
(3) その他の費用
イ カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
ロ 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
ハ 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、
又は放送のための取材に通常要する費用
上記「(3)その他の費用 イ」の
「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」の内、「これらに類する物品」とは何なのかの解釈が悩ましいところですね。
2.広告宣伝費に該当する場合とは国税庁HPの「
タックスアンサー(よくある税の質問) >法人税>交際費>No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」に、「交際費等と広告宣伝費との区分」に、交際費等と広告宣伝費の区分について以下の通り解説されています。
国税庁HP(該当ページ):
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/5260.htm
No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。
以前、私の所属会社に税務調査が入った際、取引先に配布する為に作成した当社の社名入りゴルフボールを「広告宣伝費」として処理した件について、「ゴルフボールは不特定多数の者に対して配布するものではない」として、損金を否認されたことがありました。国税庁としては「ゴルフ」と名の付く費用項目の損金性には特に厳しい目を持っているようです。
(社名入りゴルフボールの損金性についてググってみたところ、数個のボールであれば「広告宣伝費」になると解説している税理士事務所のブログ、HP等もありますので、調査官・税務署のスタンスによって厳しさに違いがあるのかもしれません。)
年末等の挨拶で使用するノベルティを選ぶ際は、交際費等から除かれるとされる「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」への該当性だけで判断せず、「広告宣伝的意図」があるかどうか、つまり、贈答先が「不特定」なのか「特定者」なのか、というポイントでも検討した方が良いですね。
[その他本書で参考になった内容等]・取引先との商談や打ち合わせ時に高級料亭、一流レストランを利用して1人あたり5,000円をオーバーした場合でも、会議としての実態があれば会議費として認められる。
[hitorihoumuメモ] 損金算入が否認されないよう、会議があったエビデンス(議事録等)をどう残すのかが問題ですね。
・給与所得者が受ける給与は、役務の提供の対価であるものの、事業として対価を受領するものではないので、消費税は課税対象外
・輸入消費税の課税標準は、下記3項目を合算したもの
関税課税価格(CIF価格)+消費税以外の消費税(タバコ税、石油税等)+関税
・役員に対する賞与について、事前確定届出給与制度において、「事前確定届出給与に関する届出書」にて届け出た賞与通りに支給しないと、損金に算入出来無い。届け出た額よりも多く支給した場合だけでなく、たとえ少なく支給しても損金不算入となる。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
為替リスク管理の教科書
(金森 亨氏著作)
[本書で参考になった内容等]・為替リスクのヘッジ方法はたくさんあるが、あまり手を広げすぎると管理が複雑になり、高度な金融工学を駆使したものを日常的に利用しようとした場合、それが自己目的化して本来のヘッジ目的から乖離してしまいがちとなる。
・個別の取引発生の都度、少額のヘッジを繰り返した場合、事務が煩雑になり、また、ヘッジ商品の取引相手となる金融機関としては、市場に再ヘッジする際に市場の取引単位になるまで、少額の顧客取引を蓄積しなければならず、それまでのリスクを補う為、ヘッジ商品に上乗せするマージンは高いものになってしまう。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>すらすら税効果会計〈第3版
(三林 昭弘氏著作)
[本書で参考になった内容等]
・法人税、法人住民税は、利益(もうけ)の結果に対してかかる税金。一方、法人事業税は、所在地で自治体からサービスの提供を受ける為に支払う税金で、税金の性質が異なり、法人事業税は損金算入が可能となる。
法人事業税の損金算入時期は「申告書を提出した日」で、翌期となる。その為、法人事業税の「所得割」部分は税効果の対象となる。「付加価値割」、「資本割」部分は税効果の対象外となる。
・「その他有価証券」の評価差額について税効果も対象となるが、「全部純資産直入法」の場合、評価差額は純資産に直入されてPLにヒットしない。その為、評価差額の税効果時の繰延税金資産・負債の相手課目は「法人税等調整額」ではなく、「その他有価証券評価差額金」となる。
連結BSの評価差額もPLにはヒットしないので、繰延税金資産・負債の相手科目は「法人税等調整額」ではなく「評価差額」となる。
[hitorihoumuメモ]税効果にて「法人税等調整額」を相手科目に使う場合と使わない場合があり、どのような理由で使い分けているのか、これまでモヤモヤしていましたが、本書ですっきりしました。