1.契約審査時の後輩指導方法、2.若手弁護士・法務担当者の心得 他(ビジネス法務 2017年6月号)

遅ればせながら、積読していた「ビジネス法務 2017年6月号」を読み終えました。

本号では、「新人弁護士のためのリーガル・リサーチ」という特集が組まれており、「若手弁護士」や「先輩弁護士」らによる匿名座談会形式で、話が展開されておりました。

早速ですが、個人的に参考になった箇所(2箇所)を以下の通り抜粋させて頂きます。

1.後輩に対するドラフト指導について


若手弁護士 座談会 新人の失敗談と先輩へのホンネ

3 先輩からほしいフィードバック

D:私の事務所には、新人と2人で会議室に寿司詰めになって、
  新人が作成した書面について、一言一句、どうしてこうしたのか、
  こうした方がよりよくなるだとうと、修正の趣旨や理由を
  伝え続けるという指導をする先輩がいます。

B:それはとてもいいですね!

D:私もそんな指導を受けたいです。ドラフトのレビューは大変だと
  思いますが、細かく論理的に教えてくださるとありがたいです。

E:修正理由を細かく教えてくれる先輩は少ないですが、修正理由を
  自分で考えるのも勉強なので、それはいいんですよ。
  ただ、修正の中には、理屈じゃなくて先輩の好みでなされた修正が
  はいっていることがあるんですね。説明がないと区別はつかないので、
  理由なく好みでなされた修正の理由まで考えることになります。
  これは時間の無駄だと思うので好みで修正した部分と理屈で
  修正した部分を分けて欲しいです。

※hitorihoumu:以下、会話が続きますが記載を省略します。



上記は、弁護士だけでなく、法務部門にも当てはまる話かと思いますが、私は、後輩が作成した契約書のドラフトや顧客に提出する提案書に赤を入れたり、私のチェック結果を後輩に伝える際には、必ずその理由を納得するまで説明するようにしています。

また、後輩が作成した目の前の文章でもいいかもしれないけど、何か気に入らずに、手を入れたいという場合には、「これは趣味の問題かもしれないけど」と必ず付け加えるようにしています。

俺の背中を見て学べという寿司職人スタイルの方もいるかと思いますが、後輩をずっと下請として「使う」のではなく、早く独り立ちさせて、指導しなくても自発的に対応して貰えるようにしなければならないのであれば、教える手間を省かずに、丁寧な指導を心がけたいものですね。

なお、私であれば、後輩が早く独り立ちしてくれた方が、自分がチェックする作業が無くなって楽になるので、忙しくても、しっかり指導しようというモチベーションが(一応)あります。一方、弁護士事務所で勤務する弁護士の方は、一人ひとりが個人事業主のような存在かと思いますので、メンター制度も無く、(目に見えない)後輩指導が評価される制度になっていなければ、後輩弁護士を教えるモチベーション(メリット)がそもそも無いので、結果として、教え方がぞんざいな人もいるんでしょうね・・。

2.新人弁護士・法務担当の心得

次の抜粋箇所は、若手弁護士が業務に従事する際の心構えについて、「若手弁護士」の匿名座談会で交わされた会話の一部を抜粋した内容です。


新人弁護士に求める最低限のクオリティー

IV 新人の頃を振り返って・・・

(略)

A:たとえばM&Aの場合には、新人だと、案件に入っても、
  デューデリジェンスをしてレポートを作成して終わりという
  ケースが多いと思います。
  ただ、案件自体はそれで終わりではなく、最終的な契約書の締結や、
  さらにクロージング後の作業というのもありえます。
  私が新人のときは、自分が忙しいということもあって、
  デューデリジェンスの後にどのようにして案件がクローズしたのか
  といったところまであまり関心を持ちませんでした。
  しかし、デューデリジェンスで自分が発見した事項が最終的な契約書で
  どのように扱われることになったのかというのを知っておくのは、
  自分がいざ契約書をドラフトしたり契約交渉をしたりする立場に
  なったら生きてきます。
  今振り返ると、なるべく自分から先輩弁護士に聞きに行って、
  一歩先、二歩先を勉強していくということを心がけておけば
  よかったなと思います。



上記についても、弁護士だけでなく、法務部門にも当てはまる話かと思いますが、デューデリジェンスに限らず、法務担当をしていれば、大きなプロジェクト(業務提携、投融資、合弁、大規模な社内調査等)に対して、「法務分野」について部分的に関わるケースが出てきます。

この場合には、業務完了後の最終結果を(もし上の人が教えてくれないようであれば)自分から確認するようにしないと、やりがいも達成感も感じられませんし、いつまでたっても一担当者のレベルから抜け出せず、全体を統括する仕事には従事させてくれないでしょう。

なので、目の前の(時には単調な)業務をしっかり対応しつつ、色々な仕事に忙殺している中でも、最終的な結果にも好奇心を持って知りに行く姿勢が必要ですね。

3.契約審査業務における会社毎の相違

私の所属会社では、法務担当が営業担当と二人三脚となって、交渉段階から社内で承認を得て、捺印作業を進める段階まで関与しますので、自信が作成した修正案なり提案内容が、取引先からどう評価されて、最終的にどのような落としどころで決着したのかを知りえることから、徐々に契約審査の経験値がUPしていくことになります。

一方、以前、他の大きな会社の法務担当から聞いた話では、法務担当は、所定の審査基準に基づいてリスクと対応方法をアドバイスするところまでしか対応せず、「後は営業判断で」ということで、最終的に事業部門がどのように締結に至ったのか分からない、という体制になっている会社もあるようです。

こちらの体制の方が効率的なのかもしれませんが、法務担当としてはあまり面白くは無さそうな制度ですね・・。もし、他の会社に法務従事者として転職を考えている方は、社風や待遇面も大事かもしれませんが、通常、法務部門の業務は契約審査が大半を締めている会社が多い中、どのような契約審査方法を取っているのか、面接等で確認するのはいかがでしょうか。

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(下請法上の)下請事業者との相殺に関する一考察(ケーススタディ)

下請法 第4条第2項第1号に基づき、「有償で支給した原材料等の対価を、当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること」は禁止されております。

では、以下のケースは下請法上、適法なのでしょうか?

最近、社内で下記内容の相談を受け、下請法担当者のバイブル的な存在である「下請取引適正化推進講習会テキスト」(中小企業庁・経済産業省)では触れられていなかったので、公正取引委員会の相談窓口に質問してみたのですが、その確認結果を、個人的な備忘と誰かの参考の為に、以下の通り書き留めておきます。



Q.下記のような支払い方法は下請法上、問題無いのか。
  
  1. 下請代金の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)下請代金
      120万円
  
  2. 有償で支給した原材料の取引条件
    (1)支払条件
      月末締翌月末払い(納入日基準) ※手形払い サイト:120日

    (2)原材料の取引金額
       100万円

  3. 前提条件
    親事業者が2017年X月に下請事業者に製品の製造を発注。
    親事業者は当月中に下請事業者に有償支給材を納入し、同月中に
    下請事業者から有償支給材を用いて製造された製品を受領。
    2017年(X+1)月末に、上記1と2の支払い期日が到来する。

  4. 質問事項
   下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)を2017年(X+1)月末で相殺し、
   親事業者がその差額の20万円について、下請事業者に手形払いすることは、
   下請法上、問題無いか。



A.下請法上、問題無し。

上記相殺については、親事業者の禁止事項である、「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」にも「下請代金の支払遅延の禁止(物品等を受領した日から起算して60日以内に定められた支払期日までに下請代金を支払わないこと)」にも該当しない為、下請法上、問題無し。

※2016年12月14日付で公正取引委員会が出した下記の通達(=下請代金の支払手段について)1と2は、今のところ努力義務である為、考慮しないものとします。


<通達:下請代金の支払手段について>
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、
  下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と
  下請事業者で十分協議して決定すること。
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の
  業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、
  将来的には60日以内とするよう努めること。





「個人的な疑問点」
上記ケースで、もし、相殺をせずに、「下請代金」と「原材料の代金」を別個に支払いした場合、下請事業者は、下請代金(120万円)と原材料の取引金額(100万円)の差額である「20万円」の手形ではなく、下請代金の「120万円」の手形を親事業者から受領出来ることになります。

そうなりますと、下請事業者は、上記手形を受領した時点ではまだ、原材料の代金の支払いについて、手形サイトの120日分、猶予されていますので、親事業者から受領した手形を割引して現金化すれば、「20万円の手形」を割引したときと比較して、割引手数料は別として、「100万円」分、多いキャッシュを手に入れることが出来、資金繰りが楽になります。

なので、下請法第1条で定めている本法の「目的」(親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護)を考えれば、上記のような相殺は下請法上、問題があるかもしれないと思い、上記疑問点を提示した上で、公正取引委員会の相談窓口に相談してみましたが、繰り返しとなりますが、結論としては法律上、問題は無いようです。

ここまで読んできて(ここまで駄文にお付き合い頂き、ありがとうございます・・)、そもそも、下請事業者との「支払方法」を「手形払い」ではなく、「現金(振込)払い」で合意しておけば、上記問題は生じないじゃね?という疑問が沸いてくるかと思います。

ただ、上記下請事業者とは、「有償支給材に関する取引」だけでなく、下請取引には紐付いていない、純粋な販売取引(当方:売主)も実施している取引先であり、同じ取引先口座:コードを使用していることから、このようなややこしい疑問が生じているわけです。

将来、下請法上の立ち入り検査を受けた際、万一、今回の確認結果とは異なり、「上記方法は違法です」と差し込まれたときに備えて、今回、確認した窓口の担当者の方の名前も含めて、確認結果を記録に残しておくようにしたいと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本>
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主に、週末にブログを更新する予定です。

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