締結済の契約書を全社で共有する方法(BLJ 2016年7月号)

先般、私の所属会社でようやく定時株主総会が終了致しました。

これまで、「株主総会の対応で忙しいから」と言い聞かせて自分を正当化し、本当に至急案件以外の契約書確認依頼についてはスルーしてきた結果、最近、営業の方からの借金取りのような矢のような催促と戦っておりました。。

しかし、やっと株主総会が無事終了したので、大量に溜まってしまった契約書案件と、(常に頭の片隅にはおいていたものの、断腸の思いでやむなく後回しにしてきた為、モヤモヤの原因となっていた、個人目標として期初に掲げた)プラスアルファの業務(非定型業務)について、順次、対応していきたいと思います。

さて、上記の通り、少し心の余裕が出てきたことから、以前、既に読み終わっていた「ビジネスロー・ジャーナル2016年7月号」の内、個人的に気になった記事について書き留めたいと思います。

本号では、「継続的契約トラブルの予防・解決」という特集が組まれていました。
本特集でも、「ビジネスロー・ジャーナル」の真骨頂である、他社の法務担当がその時々のテーマについて語る問題意識・懸念点等の記事が掲載されておりまして、本特集の内、個人的には、「大手メーカー 法務担当者」の方が書いた「法務担当者の視点 継続的契約のトラブル回避策」という記事が参考になりましたので、その一部を、少し長いですが以下の通り抜粋させて頂きます。


基本契約の存在が認識されていない

本部や部などの上位組織がせっかく(自社に比較的有利な条件で)継続的取引を前提とした基本契約を締結しているにもかかわらず、それを下位組織である各課の担当者が認識しておらず、基本契約を引用していない(基本契約に比べて不利な条件で)個別契約を結んでしまうことがあります。後日、こうした事実が発覚した場合、当然、基本契約が適用される契約に変更したいと考えますが、相手方からは、基本契約がありながらあえて個別契約を結んだという経緯を持ち出され、変更に応じてもらえないこともあります。

このようなトラブルを予防するためには、あらかじめ基本契約の存在を周知・共有することが極めて重要です。当社では、数年前から契約管理システムを導入し、上位組織が締結した契約のうち、自身の課に適用される基本契約については、それぞれの担当者が自由に閲覧できるようにしています。しかし、各課の担当者が能動的に検索しない限り、これらの基本契約に気付くことはできません。実際には、相談を受けた法務担当者が取引相手の名前を聞いたときに、基本契約の存在に気付くことができるかどうかにかかっており、根本的な解決にはいたっていないのが実情です。



「大手メーカー 法務担当者」の上記抜粋箇所の問題意識は、私も非常に共感出来ますね。私の所属会社も同じような悩みを抱えております。

ただ、上記抜粋箇所とはやや異なりますが、個人的には下記の問題も抱えています。


<当社の問題点(=契約書の内容が全社で共有出来ていない)>
1.契約書の原本は、(私が所属している)法務部門が一元管理している。

  契約書原本は、外部業者に委託して、全てPDF化しているが、
  情報漏洩防止の観点から、法務部門外には公開しておらず、
  営業部門の人が契約書の内容を確認したいときは、私の所属部門に
  送付依頼をすることになる。

2.(社内教育の効果むなしく)営業部門の方が契約書の内容を確認するのは、
  たいてい、トラブルが発生した後であり、その時になって、
  「契約書にはこんなことが書いてあったんだ」ということに気付き、
  後の祭りになることもある。

  契約書の審査や管理に関する教科書・書籍で記載されているような、
  「契約書が日々の業務のマニュアルとしての機能を果たす」とは
  言い難い状況にある。。

3.当然、基本契約書の締結時に、法務担当が後ろで支援しながらも、
  契約交渉に携わった営業担当とその部門の責任者は、一部、
  リスクを引き受けて契約を締結した場合、当該契約書の問題点を
  認識して取引出来ている(と願いたい)。。

  しかし、契約の締結からしばらく経って、担当者や責任者が変わり、また、
  上記基本契約書の相手方と、他の営業部門が取引を新規で開始する場合、
  契約書の問題点について引き継ぎや情報共有がされることなく、
  取引を開始するケースもあり、上記2.につながることになり、
  自社内の契約リスクがコントロール出来ていない。



ということで、当社の上記問題点を少しでも改善する為、2年前位から、当社に不利な条件で基本契約等を締結した際には、「懸念のある契約書一覧」(実際のファイル名は少し違います)を作成して社内で共有するようにしました。

具体的には、「取引先名」、「契約書名」、「契約日」、「契約担当部門」、「懸念点」をエクセルに記載して、パスワードを掛けた上で、社内のイントラネットに掲載することで共有しています。

上記「懸念のある契約書一覧」は、新規契約書案件だけでなく、過去分も順次、追記するようにしていますが、取引先が数千社あり、これまで数千件の契約書を締結している中、当社には私も含めて法務担当が2人しかいない為、上記対応にも限界があります。

そこで、現在、これまで、法務部門で一元管理している契約書コピー(PDF)を全社に公開し、他の部門が取引口座を開設した取引先と、新規に取引を開始する際には、必ず、営業部門で基本契約書等の内容を確認するフローを導入することを検討しています。

ただ、PDFファイルを保存しているファイルサーバー内のフォルダを単純に誰でも見られるようにした場合、大量の契約書が社外に漏洩するリスクがあります。

LOIや秘密保持契約書には、「本契約の締結の事実自体を秘密情報とする」と定めているケースもあり、「契約書の漏洩」→「契約違反」となり、対象の契約書コピーの漏洩により、多くの会社から損害賠償請求を受ける可能性があります。

さらに、契約書に上記定めが無かったとしても、契約書を漏洩した会社としてメディアに取り上げられた結果、当社のレピュテーションが大きく低下するリスクもあります。

ということで、情報漏洩対策も考慮しながら、契約書コピーを全社共有することの出来るシステムを導入するべく、現在、色々な既存のソフトウェアを検討しております。ただ、いずれソフトも、初期費用が数百万円掛かるもの、初期費用は掛からないものの、毎年、高いランニングコストが掛かるものがあり、直ぐに導入しよう、という感じではありません。。

これからプレゼン・紹介を受けるソフトもありますので、もし、費用対効果を考えてコストもさほど掛からない良いソフトがあり、当社に導入することになった場合には、それまで検討した複数のソフトの比較も交えて、本ブログでも紹介させて頂きたいと思います。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ(細谷 功氏著作)
担保物権法 (民法講義 3)(松井 宏興氏著作)
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