書籍:商社審査部25時―知られざる戦士たち

今般は、「商社審査部25時―知られざる戦士たち(高任 和夫氏著作)」を読んでみました。

会社の「審査部」というと、常にオフィスにいて、審査書類に目を通し、「自分が審査書類に受付印を押さないと、取引先との新規口座開設手続や与信増額手続が出来無い」という立場上、変な権利意識を持ってしまい、審査部門が偉いわけでもないのに、踏ん反り返っちゃって、「A社とちゃんと支払条件を交渉したんですか~?(嘲笑)」と、自分よりも10歳も年齢が上の人に言い放ってしまう、上から目線な人達のいる部署、というイメージがあるかもしれません(私だけでしょうか)。

これは言い過ぎにしても、終日、机に座って、淡々と審査・債権管理業務を実施している、陽の当らない部署、というイメージがあるかもしれません。

しかし、本書で出てくる畿内商事の審査部は、審査部長が掲げる「クリエイティブ・クレジット(造語)」という部の方針にも現れている通り、受け身な姿勢ではなく、回収金額の最大化と、損失の拡大を防ぐべく、積極的に審査部員が活動をしており、本書ではその活躍が描かれています。なお、本書はフィクション経済小説です。

詳しくはネタバレになりますので書きませんが、個人的に色々と参考となる記述がありましたので、以下にその箇所を書き留めておきたいと思います。

<(1)以下、本書抜粋>
小早川が客観的な事実だけを答える。
千草がこの利発な部下を信用している原因の一つには、彼が報告のなかに、手前勝手な憶測を混入させないという点がある。
みずからの知力を恃む者の報告は、ややもすると事実と憶測の境界が曖昧で、それが意思決定者の判断を狂わせる。千草はそれで幾度も手痛い目にあっている。何人かの部下と、そして具合の悪いことに、その何倍も実害の大きい上司によって。
<抜粋終了>

  上司に対して、報・連・相をする場合でも、憶測の話をしても良いかと思いますが、
  「事実」と「憶測」なのか明確にした上で、会話をしたいものですね。

  なお、自分の報・連・相に対して、上司から質問を受けた事項が、
  本来は機転を利かせて事前に確認すべきだったにもかかわらず
  確認不足であった事項の場合、確認不足という落ち度を隠す為、
  質問に対する答えになっていない回答をしてしまったり、
  事実ではなく憶測で回答してしまいがちになるかと思います。
  
  しかし、正しい情報を把握しないと、正しい判断が出来無い、
  ということを念頭に、「事実」と「憶測」はしっかり分けて
  報・連・相をしたいものですね。知ったかや憶測の話を
  していると上司に気付かれた方が、確認不足による減点よりも
  上司の信頼を損なうことになりますので、注意したいと思います。

<(2)以下、本書抜粋>
「債権者より先に得意先、つまり那珂資材工業が販売していた取引先を審尋するのか?逆じゃあないのか?」
「逆?単なる手順の問題にすぎないと思いますが・・・」
あらゆる事務手続は、手順によって成立している。そして、さりげない手順の裏には、往々にして、その手順を組んだ者の隠された意思があることを千草は知っている。果たしてこの場合、裁判所に何らかの意図があるのか?
<抜粋終了>

  慣例と異なる手順に遭遇した場合、何となく違和感を感じるものの、
  そのままにしてしまいがちになりますが、その違和感の正体が何なのか、
  時には突き詰めて考えるようにしたいものですね。

最後に、本書の出版年は1990年と15年以上も前なので、信用調査会社から(今は無き?)テレックスで信用不安情報が送付されてくるなど、時代を感じさせられる描写も所々ありましたが、それを差し引いても、(特に企業取引に携わっている人であれば)面白い書籍かと思いますので、通勤電車のお供として、手に取ってみてはいかがでしょうか。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
域外適用法令のすべて(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 著作・監修)
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主に、週末にブログを更新する予定です。

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