中国での財産保全(仮差押等)申し立て時の担保に代わる保険について

日本に限らず中国でも、訴訟や仲裁の申し立て前後に財産保全(日本でいう仮差押等)を申し立てるときは、裁判所から担保の提供を求められます。

担保の内容(現金担保、不動産に対する抵当権設定、銀行による保証等)や担保の金額等については、裁判所や裁判官の裁量によってまちまちのようですが、係争金額の20%から、(申し立て者にとって)酷い場合は全額に相当する担保の提供を求められるケースもあるようです。

財産保全の申し立て手続の費用はたいしたことはないものの、担保提供の負担が重くて、財産保全を断念するしかないケースもあるかと思います。

そんな中、中国の某律師に聞いた話では、深センの裁判所では、財産保全の担保金に代わる保険に加入し、保険証券を裁判所に提出することで、財産保全を申し立てることが出来るケースもあるとのことでした。また、日本円にして数千万円程度の係争金額であれば、数十万円程度の保険料の(担保に代わる)保険に加入すれば良いようですので、担保提供のハードルがぐっと狭まりますね。

ただ、深センの裁判所であれば全て上記保険に対応しているのか、また、他の地域の裁判所でも上記運用があるのかどうかは把握しておりませんが、いずれにしても、中国に所在する相手に対して財産保全を検討する場合は、担保提供のハードルは、場合によってはそこまで高くない場合もある、というのは頭の片隅においておこうと思います。

以上、個人的な備忘の為に書き留めておきました。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法(山口真由氏著作)
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招集通知の英訳について(CGコード対応)

3月決算会社の株式法務担当者は、2016年6月の株主総会シーズンでお忙しいことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

私が所属している会社は3月決算会社なので、今、色々と準備を進めておりますが、先日、招集通知が校了しまして、東証やHP等に取り急ぎ、電子版を掲載致しました。

招集通知といえば、2015年6月1日付で適用開始となったCGコードの「補充原則1-2-4」にて、「招集通知の英訳をすすめるべき」と定められましたので、今年の株主総会から、招集通知の英訳版の作成を開始した、という会社も多いのではないでしょうか。


<CGコード 補充原則1-2-4>
上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。


当社もその一社ですが、さすがに招集通知の全訳をするのはコストと時間が掛かるのと、誤訳の可能性が高まるので、狭義の招集通知(表紙部分)と株主総会参考書類だけを英訳対応しました。

なお、招集通知の英訳対応に関与してみて、一番面倒くさかったのは、取締役・監査役候補者の略歴ページに記載する過去の英語の役職名をどうするかですね。

会社が設立されてから一環して、(名詞の裏側に記載する)英語の役職名について、同じ呼称を使用している会社は問題無いかと思います。しかし、例えば、「専務取締役」という呼称について、ある時期には「Senior Executive Director」という英語呼称を使っている時期もあれば、またある時期には「Senior Vice President」という呼称を使ってみたりと、統一感が無い会社の場合、過去の名刺の裏側の英語呼称を忠実に記載すると、英語圏の人からみたら、この役員は降格したのかと勘違いが発生する可能性もありますので、その辺の配慮・全体の統一感も考える必要がありますね。

また、「専務取締役」くらいの一般的で短い役職名であればまだいいですが、略歴に「専務取締役 〇〇本部長 〇〇担当」というような詳細な略歴を記載しているものの、過去の名刺の裏側にはそこまで細かい英語呼称を書いていない場合、翻訳会社が訳出した英語呼称をそのまま採用していいのか、色々と社内調整が大変ですね。

さらに、会社によっては、親会社の指名により取締役が派遣されてくる会社もあるかと思いますが、その場合、親会社出身の取締役候補者の昔の英語の役職名や略歴に間違いがあってはまずいので、親会社の関係部署に事前確認する手間と時間が必要になりますので、大変そうですね。お察しします。

なお、日本の会社法上の「機関」は、外国法には無い概念もあるため、誤解が生じる可能性があるということで、日本監査役協会が、「監査役」と「監査役会」を以下の通り表記することを推奨しているのはご存知でしょうか。「推奨」なので義務ではないですが、もし、招集通知の英訳対応を検討している会社は、ご留意頂ければと思います。

 <日本監査役協会の推奨案>
 監査役  Audit & Supervisory Board Member
 監査役会 Audit & Supervisory Board

 http://www.kansa.or.jp/news/ns120904-2.pdf

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
132億円集めたビジネスプラン(岩瀬 大輔氏著作)
45歳から5億円を稼ぐ勉強法(植田統氏著作)
フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。(きたみ りゅうじ氏著作)
伊藤真の兵法(伊藤 真氏著作)
即戦力がつくビジネス英文法―基本から実務のルールまで(日向 清人氏著作)
泣き寝入りしないための民法相談室―クイズと司法試験全82問(伊藤 真氏著作)

中国の製造物責任には多額な罰則規定あり

今般は、「中国のビジネス法務Q&A(長谷川 俊明 他 著作)を読んでみました。

早速ですが、本書で個人的に参考になった箇所を以下の通り抜粋させて頂きます。

<本書抜粋P273(一部抜粋)>
欠陥製品の製造・販売に関する原則

日本の製造物責任法と異なり、中国の製品品質法は、欠陥製品の製造・販売を行った場合の民事責任だけでなく、罰則規定も設けています。
具体的には、製品品質法49条は、欠陥製品の製造・販売を行った場合の以下の処分を行う旨を定めています。

①製造・販売の停止命令
②製品の没収
③違法生産・販売製品(販売済みの製品と未販売の製品を含む)の
価値と同額以上3倍以下の過料
④違法所得がある場合には、これの没収
⑤情状が重い場合には営業許可証の取消し
⑥犯罪を構成する場合には刑事責任の追及
<抜粋終了>

なお、中国における製造物責任では、日本法にはない、懲罰的損害賠償義務が認められる場合がある(不法行為法第47条)というのは認識しておりましたが、上記抜粋の箇所の通り、民事責任だけでなく、罰則規定もあるのは知りませんでした。

製品品質法第49条③の「違法生産・販売製品(販売済みの製品と未販売の製品を含む)の価値と同額以上3倍以下の過料」が課された場合、販売数量・金額によっては、民事責任に基づく金銭的賠償金額をはるかに超える金銭的な負担が発生しそうですね。

上記罰則規定を知って、個人的に懸念している内容を備忘の為に書き留めておきたいと思います。週明けにでも確認してみたいと思います。

<個人的な懸念>
(1)私の所属している会社は、国内・外でPL事故が発生した場合に備えて、
   PL保険に加入しております。
   その為、当社が販売した製品・部品に起因して第三者の身体、生命、
   財産に対する損害が発生し、当社が当該損害を賠償した場合は、
   保険金を受領することが出来ます。
   しかし、上記本書抜粋の通り、罰則を受けた場合にも保険金が
   おりるのかは現時点で把握しておりませんので、週明けにでも
   保険会社に確認しておきたいと思います。
   ただ、たぶん、過料については保険金はおりないような気がしますが・・。

(2)当社と中国の顧客(A社)間で取引基本契約を締結し、当該契約内に、
   「当社がA社に販売した製品・部品に起因して製造物責任問題が発生し、
   A社に損害が生じた場合、当社はA社の損害を賠償する」旨、
   定めているとします。良くありがちな条文ですね。

   そして、例えば、当社が販売したのが1個100円程度の電子部品で、
   A社が当該部品を搭載して製造・販売した最終製品(例えば、自動車)について
   中国内で製造物責任問題が発生し、A社が、「違法車両(販売済みの
   車両と未販売の車両を含む)の3倍」
の過料を支払った場合、
   当該過料をA社に生じた損害として、A社が当社に請求してくる事態も
   想定されるわけです。

   そうしますと、当社が上記取引にて上記事故の時点までに得た利益なんて
   軽く吹き飛び、その上、莫大な賠償義務を負担する可能性もありますね((( ;゚Д゚))

   上記観点からも、当社が加入している海外PL保険の免責条件を
   確認しておこうと思います。
    ただ、たぶん、過料については保険金はおりないような気がしますが・・。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
最新中国ビジネス法の理論と実務(田中 信行氏編集)
中国法務ハンドブック(森川 伸吾氏 他 著作)
会計と税務のズレ(川田 剛氏著作)

Wordの校閲機能(変更履歴の記録)はみんなが知っていると思うな。

日常的に契約審査業務をする方で、Wordの校閲機能(変更履歴の記録)を知らない方はいないかと思いますが、営業担当の方で上記機能を知っている人は少ないかと思います(当社調べ)。

そんな中、せっかく校閲機能を使って修正履歴を明示したドラフトを作成してメールで送付しても、「変更内容の表示」の切り替え方法を知らない営業担当が受け手の場合で、ワードを開いた際に、修正履歴が見えない「シンプルな変更履歴」画面が表示された場合、どこが変更されたのか分からないとしてクレームを受け、校閲機能の使い方をレクチャーするという余計な時間を取られる、という事態がたまに発生しています。

※もしかしたら、受け手がワードを開いた際に、必ず、
 修正履歴が明示されるよう、「変更内容の表示」が
 「すべての変更履歴/コメント」と設定された状態で
 開かれるようにワード文書を作成する方法があるものの、
 私がそれを知らないだけかもしれません・・。
 上記方法をご存知の方は教えて下さい・・。


その為、社内で「校閲機能(変更履歴の記録)」の周知を図ることも必要ですが、契約相手先の営業担当の理解度は知る由もありませんので、ちょっとした修正案のドラフトであれば、「校閲機能(変更履歴の記録)」を使わずに、「下線」と「取り消し線」機能を駆使して修正案のドラフトを作成することも併用しています。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
・新商標教室(小谷 武氏著作)
・レベルアップをめざす企業法務のセオリ(応用編)
 一段上の実務とマネジメントの基礎を学ぶ(瀧川 英雄氏著作)
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主に、週末にブログを更新する予定です。

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