書籍:できるサーチャーになるための特許調査の知識と活用ノウハウ

今般は、「できるサーチャーになるための特許調査の知識と活用ノウハウ(共著:東 智朗氏、尼崎 浩史氏)」を読んでみました。

「特許調査」といっても、著者の分類では、

 ・先行技術調査
 ・無効資料調査
 ・特許異議申立のための調査
 ・ウォッチング調査
 ・情報提供のための調査
 ・侵害調査
 ・技術収集調査
 ・パテントマップ調査

と色々な調査があります。

ちなみに、私の所属している会社はメーカーではなく商社なので、現在の業務で私が実施している「特許調査」は、取引先と特許(ノウハウを含む)に関する技術ラインセンス契約を締結する場合や、有用な特許権(技術)を有していることがサプライヤーの選定理由となっている場合等に、本当にその会社が特許を保有しているのか、また、その特許の概要(出願国、出願日、特許権者等)を調査することくらいです。

その点、本書の内容は、私にはオーバースペックといいますが、直接、私の今の業務に関わりの無い箇所が多々ありましたので、その箇所は流し読みしてしまいましたが、今後、他の調査も実施する必要が生じた場合は、再度、読み返そうかと思います。

本書を読んで個人的に感じたことを以下の通りメモとして残しておきたいと思います。

1.先日、本ブログにて「書籍:キャリアアップのための
  知財実務のセオリー」という記事を書きました。
  http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-510.html

  上記記事にて、

  >特許権の権利化前に、無効資料を特許庁に提供して権利化を
  >阻止することが出来る「情報提供制度」、「特許異議の
  >申し立て制度」を利用した場合、
  >そのことが特許権の出願人側に通知され、薮蛇になるので、
  >上記制度を利用する場合は注意が必要。(P258)

  と記載しました。

  しかし、今回読んだ「できるサーチャーになるための特許調査の
  知識と活用ノウハウ」によりますと、「情報提供制度」については、
  情報提供後のフィードバックは得られないものの、匿名での情報提供も
  可能なようで、特許庁のHPを確認したところ、
  確かの上記の通りのようです。

  なお、特許庁のHP(情報提供制度)によれば、

  「近年、情報提供件数は、年間7千件前後で推移しており、
   情報提供を受けた案件の73%において、情報提供された文献等を
   拒絶理由通知中で引用文献等として利用しています(平成25年
   12月に拒絶理由通知書が起案された案件について調査)。」

  とのことで、結構、有効活用されているみたいですね。

  私の会社が情報提供制度を利用することは今の所、想定していませんが、
  サプライヤーや顧客と共同で特許出願をするケースもたまにありますので、
  制度の概要位は理解しておくようにしたいと思います。

2.本書では、主に「J-PlatPat」を利用した日本の特許権の調査方法が
  記載されており、個人的に期待していた欧州特許庁の
  データベース(Espacenet)を利用した調査方法は解説がありませんでした。

  Espanetでは、パテントファミリーが検索出来ますが、例えば、
  PCT出願後、各国で国内移行手続きをした後の結果が
  Espanetで検索出来るのかを知りたかったのですが、本書にその答えは
  ありませんでした。

  そこで、google先生にお聞きしたところ、欧州特許以外の国の特許の
  登録状況については、各国の特許庁のデータベースを調べる
  しかなさそうですね。たぶん。
  まあ、良く考えれば当然といえば当然かもしれませんが。

3.本書を読んでいて思い出しましたが、以前、取引先と特許
  (ノウハウを含む)に関する技術ラインセンス契約を締結した際に、
  ライセンサー候補者(A社)から、対象となる特許権は、
  A社とB社が当該特許権を共有していると(営業担当経由で)聞き、
  本当かどうか「J-PlatPat」で確認したことがあります。

  その結果、B社が単独で保有していたことが判明したので、
  A社に確認した結果、持ち分を譲渡する旨、半年前に口頭で了承は
  得ていたものの、特許庁での移転登録手続きが
  まだ完了していなかったということで、持分(一部)譲渡に関する
  契約書(当社に対するサブライセンス条項あり)を当社でファースト
  ドラフトを作成して締結して貰い、移転登録が完了したことを確認後、
  ライセンス契約を締結したことがありました。

  こちらが特許について無知だと思って適当・曖昧なことを言ってくる
  取引先もありますので(上記のケースは単なる勘違いかもしれませんが)、
  本書でいうところの「できるサーチャー」にはなれないものの、
  最低限の特許調査のノウハウは会得しておきたいものですね。

<目次>
基礎編(法律・制度に関する知識;特許調査の種類と考え方;
     特許分類について;特許分類検索について;
     キーワード検索について;J-PlatPatの
     機能について;調査の流れ・実務的知識;演習)
応用編(商用データベースに関する知識;侵害調査;
     応用知識・TIPS)
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合併して消滅会社から契約関係を承継した結果、契約書が重複する場合の優先関係

早速ですが、合併して、消滅会社から契約関係を包括承継した結果、同一の取引先との契約書が重複することになった場合の優先関係について、弁護士に相談した結果を、個人的な備忘の為と誰かのご参考の為に書きとめておきたいと思います。

なお、下記解釈はあくまで上記弁護士の個人的な意見であり、色々な考え方があるかと思います。
「その考え方、おかしいんじゃね」という方は、コメント欄からでもご指摘頂ければ幸いです。

<設問>
A社がB社と2016年6月1日付で合併し、A社(存続会社)は、B社(消滅会社)の全ての契約関係を包括的に承継した。

AとB社が合併する前、

(1)A社は、C社と2000年10月1日付で「基本契約書」を締結していた。
  ※A社のC社に対する瑕疵担保責任期間=納入後1年間

(2)B社は、C社と2015年4月1日付で「基本契約書」を締結していた。
  ※B社のC社に対する瑕疵担保責任期間=納入後5年間

上記の通り、2つの契約内容(瑕疵担保期間等)が異なる場合、合併後、A社とC社に適用されるのは、上記2つの契約内容のどちらか。

なお、上記の基本契約書は、いずれも、基本契約書が適用される取引製品、事業部門を特定しておらず、AC間、BC間の取引全般に適用される内容になっているものとする。

<選択肢>
(1)締結日の新しい契約書(B社とC社の契約書)が優先適用
(2)存続会社が締結していた契約書が優先適用
(3)その他

<回答>
A社とC社との間に、上記2つの契約が有効に存続している状態となり、ケースバイケースで判断される。

(ケース1)
A社内でB社の従前の事業を実施する部門(元B社の所属社員で構成)と、従前B社と取引をしていたC社の担当部門が取引する場合。
いずれの担当者も、「B社とC社との間の契約書」しか認識しておらず、A社とC社間の契約内容を把握していない場合は、BC間の契約書が適用される。要は、当事者間の認識を重要視する。

(ケース2)
A社とC社との間の取引で、双方の担当者が、二つの契約が存続していることを認識して、取引をしている場合。
通常、二当事者間において複数の契約書がある場合、日付の新しい契約が優先すると解釈される。
上記理由は、日付の新しい契約を締結するということは、日付の古い契約を廃止するという合意が黙示的に認められるということが根拠となる。

上記考え方は、上記ケース1には当てはまらないが、ケース2について大枠で該当し、日付の新しい契約書を優先したものとして(裁判所や仲裁廷で)判断される可能性が高い。

<個人的なメモ>
ということで、合併直後は別として、上記のように重複が生じた場合は、日付が新しい契約が優先されて適用される可能性が高そうですが、一方の当事者から「(日付の古い)○年○月○日付の契約書」に基づいて取引していたと主張されて紛争に発展する可能性もゼロでは無さそうですね。

そこで、紛争予防の観点からは、合併後、同一の当事者との契約書が複数存在することになる場合は、どちらかに一本化することを合意した契約書を取り交すようにしましょう。

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とはいうものの、なかなかそこまで手が回らないのが現状です。。。
M&Aをたくさん実施している会社はどうしているのでしょうかね。

私が所属している会社では、契約書原本は、私が所属している管理部門が保管・管理しているので、営業担当の方から、

「Z社との基本契約書の締結の有無を教えて下さい。もし、締結されていれば、そのコピーを下さい。」

と依頼を受けることがあります。

ただ、Z社は、過去、多数のM&Aを繰り返して実施しており、当社が、Z社が吸収合併した複数の消滅会社と基本契約書を締結している、というケースもありまして、どれが適用されるのか明確に回答出来無いケースがあります。。orz

また、折角、契約交渉をして妥当な契約を締結出来ても、合併した際に、その消滅会社から承継した契約書は、同一の取引先とろくに契約交渉をしておらず、消滅会社(存続会社となる自社)に不利な原文通りで締結しており、さらに、消滅会社から承継した契約書の日付の方が新しい場合、当該契約書が優先適用され、契約交渉した時間が無駄になる、という悲しい事態も想定されます。

シナジーを得るため、同業者を吸収合併すればするほど、自社に不利な契約関係がどんどん増えていくというスパイラルに陥る可能性もあるわけです。

その為、M&Aを検討している際に、特に同業者を吸収合併するような場合は、重要な取引先との契約書に重複が無いか、また、重複がある場合は相違点(不利な内容)が無いか、DDの段階からチェックをして、不都合のある重複は早く解消するように対応したいものですね。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
手ごわい頭脳―アメリカン弁護士の思考法(コリン・P.A. ジョーンズ氏著作)

外務省における認証(アポスティーユ)時の登記官押印証明が不要に

先日、久しぶりに、外務省にて認証(アポスティーユ)手続をしましたが、「平成28年4月1日以降に交付を受けた」登記官発行の証明書(登記簿謄本等)について、外務省にて公印確認・アポスティーユ申請をする際に、登記官の押印証明は不要となったみたいですね。

常々、東京法務局長に証明して貰わないと、外務省が認証してくれない登記官ってどうなのかと感じておりましたが、今後は押印証明を取りに東京法務局に行かなければならない手間が省けて良かったです。

ただ、(こんなことを書くと品性を疑われるかもしれませんが)、押印証明の受付をしてくれる東京法務局総務部庶務課の担当者は、経験上、綺麗な女性の方が多いので、契約書審査で疲れた目に、一服の保養を与えてくれる窓口でのやり取りが無くなってしまうのは、なんだか寂しいものですね(笑)

なお、「平成28年4月1日以前に交付された」登記官発行の証明書(登記簿謄本等)については、従来通り、押印証明が必要となりますので、平成28年4月1日事前に交付を受けた証明書の在庫分を用いて、アポスティーユを取得する場合はご留意下さい。

書籍:キャリアアップのための知財実務のセオリー

今般は、「キャリアアップのための知財実務のセオリー ―技術を権利化する戦略と実行― (岩永 利彦氏著作)」を読んでみました。

本書は、「BOOKデータベース」によりますと、「OJTのベースとなる知財のセオリーを、知財担当者の心構えから個々の知財業務遂行スキルと案件での実践を豊富な事例で解説。知財戦略の立案、発明発掘、先行技術調査、侵害紛争の対応まで、知財業務を標準化。」という内容です。

本書では、「練習用箸」という発明を題材に、発明の発掘から出願、登録、特許侵害者への対応、自社が第三者の特許を侵害した場合の対応において、実務家目線で解説されています。

なお、本書のタイトルは「キャリアアップのための知財実務のセオリー」ではあるものの、ほとんどの紙面が「特許権」に割かれており、商標権、意匠権、不正競争防止法は、おまけ程度にしか触れられていません。その為、「キャリアアップのための知財実務のセオリー 」という書名は、内容と相違しているかと思いますが、いずれにしても、例えば、理系技術者が特許担当に異動となった場合等、これから特許実務の基礎を勉強しなければならない、という方には参考になる本ですので、手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

本書について、個人的に参考になった箇所を以下の通りまとめておきたいと思います。詳細について気になる方は、ページ番号を記載しておきますので本書をご参照下さい。

1.欧州特許庁のウェブサイト(Espacenet)では、各国に出願した特許(パテントファミリー)の
  検索が出来る。さらに、日本語に対応している。(P155)

 「Espacenet」とググったところ、「Espacent」の使い方を解説した資料がありましたので、
 とりあえず、以下の通りリンクを記載しておきます。

 欧州特許庁Espacenet を利用した特許出願・審査情報の取得方法
 https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/pdf/user03.pdf

 誰でも出来る簡単 欧州特許庁での特許調査方法
 http://trac.umin.jp/hospital/file/20111121/2.pdf

2.自社の特許権の実施者以外の者(実施者の取引先)に、実施者が特許侵害をしている旨、
  警告する行為は、不正競争防止法第2条1項14号の信用毀損行為(=競争関係にある
  他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為)に該当する可能性があるので、
  安易に上記行為をしないほうが良い。(P243)

3.「特許権侵害訴訟の判決のほぼ100%が最高裁のウェブサイトで公開されている。」
  (中略)
  「当事者が法人の場合、そのまま商号が掲載されることになる。上場企業のように、
  IRの観点から発表せざるを得ない場合でも大きなダメージであるが、上場企業
  ではなく、本来発表しなくてもよい場合にもかかわらず公開されるのは更に
  大変なダメージになる。」(P248)

  特許権の訴訟で負けたことが公表された場合、レピュテーションが大きく低下することに
  加えて、当該特許に係る従来のライセンスビジネスの継続が困難となる等の
  大きな副作用があるので、特に自社保有の特許権に係る訴訟では、
  意固地にならず、和解の選択肢を十分検討する必要がありますね。

4.特許権の権利化前に、無効資料を特許庁に提供して権利化を阻止することが出来る
  「情報提供制度」、「特許異議の申し立て制度」を利用した場合、そのことが特許権の
  出願人側に通知され、薮蛇になるので、上記制度を利用する場合は注意が必要。(P258)

5.「無効審決が確定すると対世的に無効にできる(特許法125条)。もちろん、
  特許権侵害訴訟で、無効の抗弁が認められた場合も、同じ実施者に同じ特許権で
  権利行使することは二度とないだろう。」(P274)

  とのことですが、特許権侵害訴訟で、無効の抗弁が認められた場合も、訴訟の相手方に
  対する「相対効」しか認められず、「対世効」が認められない理由について、
  本書に記載が無く、私の勉強不足ながら理解出来ておりませんので、
  他の書籍にあたる等して、勉強を進めていきたいと思います。

6.特許権者が、特許のクレームを広く解釈して、特許権侵害を主張してきた場合、
  その分、当該特許権が、新規性欠如、進歩性欠如により無効となる可能性が高まるので、
  クレームを広く解釈して攻めてきたら、上記の点を突くことを検討すべし。(P275)

<本書目次>
第1部 知財部門担当者の心構え
     (知財部は何をするところか?;グローバル化における、企業知財管理業務の
     全体像;企業力強化のための知的財産戦略;発明者などが求める知財担当者の役割)
第2部 知財業務遂行スキル
     (法的文書の読み方;法的文書の書き方;外国語;技術;特許法の基礎知識;
     特許調査;クレームチャート)
第3部 知財案件のセオリー
     (発明発掘と出願;権利行使までを想定した拒絶理由通知への対応;
     特許権侵害の実務/特許権者編;特許権侵害の実務/実施者編;
     ブランドとデザイン保護のための商標権・意匠権等活用法;研修)

書籍:わが英語今も旅の途中(阿川 尚之氏著作)

今般、「わが英語今も旅の途中(阿川 尚之氏著作)」を読んでみました。

本書は、「BOOKデータベース」によりますと、「ある時は高校の交換留学生、ある時はソニーの社員、またある時はロースクールの学生。友は出会いとともに、出会いは英語とともにあった。米国弁護士がつづる、ホロ苦く数奇な英語修業録。」という内容です。

先般、阿川 尚之氏が書いた「アメリカン・ロイヤーの誕生―ジョージタウン・ロー・スクール留学記(1986年10月出版)」を読んだら面白かったので、本書も1998年6月出版と出版されてからかなり時間が経過してはおりますが、同氏が書いた「わが英語今も旅の途中」を手に取ってみました。

本書は、「アメリカン・ロイヤーの誕生―ジョージタウン・ロー・スクール留学記」の内容をただ薄く焼きまわした内容の本では無く(著者も上記書籍と同じ内容を書いてもしょうがないので重複が無いように留意して書いた、との記載あり)、著者が悪戦苦闘しながらも、色々な人との出会いを通じて、英語を武器として楽しんで見につけていく中で、著者の世界・活躍の場が大きく広がっていく様が生き生きと書かれていました。

本書は、特に、まだまだ色々な選択肢・未来がある高校生、大学生に読んで頂き、著者と同じ法学の道に進まないまでも、英語が出来ることでこんなにも世界が広がるんだ、ということを感じて欲しいですね。

ちなみに、本書を読んだ後、アマゾンのレビューを見て知りましたが、著者の父親は作家の阿川弘之氏で、妹は(TVタックルでお馴染みの?)阿川佐和子氏のようです。言われてみれば確かに、どことなく著者と妹さんの(育ちの良い)柔らかい顔が似ている気が(笑)
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