仲裁人の選び方(BLJ 2016年1月号)

かなり遅ればせながら、BLJの先月号(2015年1月号)を先般、読み終わりました。今月号は、今年中には読み終えようかと思います。。

先月号には、二瓶弁護士が寄稿された「国際商事仲裁における仲裁人の選び方-選任する際の着眼点とデューデリジェンスの手順」という記事が掲載されていまして、「仲裁人を選ぶ際の着眼点」、「仲裁人候補のデューデリジェンス」、「仲裁人候補のインタビュー」について解説がされていました。

私は、以前、別の記事で記載したことがありますが、国際商事仲裁の経験はありませんが、日本で、日本法人を相手に、日本法を準拠法として、日本商事仲裁協会の仲裁規則に基づく仲裁案件に関与したことがあります。

上記仲裁にて、私の所属している会社は、当社の代理人弁護士から推薦された方を選任したので、選定段階に深く関与しておりませんが、上記仲裁を経験して、仲裁人の選定の仕方について思うところがありましたので、個人的な備忘の為に、メモしておこうと思います。

上記仲裁を実施した時期、仲裁の内容、仲裁判断等の詳細については、守秘義務がありますのでお伝え出来ませんが、上記仲裁の仲裁人は計3名で、当社と先方が、それぞれ1名の仲裁人を仲裁協会から提示された仲裁人名簿から選定し、選ばれた2名の仲裁人が協議の上、最後の1人を選ぶ方法を取りました。

当社は、仲裁名簿の中から、弁護士資格のある仲裁人を選任し、先方も弁護士資格のある仲裁人を選定し、最後の一人は、弁護士資格はないものの、元総合商社マンが選ばれました。

BLJの先月号の上記記事では、国際商事仲裁において仲裁人を選定する際に考慮すべきポイントとして、「国籍」、「中立性・独立性」、「経験値」、「評判」、「専門性」、「語学力」、「時間的余裕」、「一般的傾向」、「性格」、「仲裁廷の長への影響」が挙げられていました。

私が上記仲裁を経験して個人的に考えさせられたのは、上記ポイントの中でいえば「専門性」についてです。

上述の通り、3名の仲裁人の内、1名は、弁護士資格の無い元総合商社マンということを仲裁前に把握した際、「これは豊富なビジネス経験に裏打ちされた判断・采配をしてくれるからありがたい」と当初、考えておりました。

しかし、仲裁開始後、元総合商社マンの仲裁人が、「私の長年の経験で培った理解によれば~」という前置きにより示された仲裁人のご理解は、大手総合商社では当然の認識なのかもしれませんが、当社(専門商社)の所属する業界慣習とは異なる内容でした。

仲裁人を選定する際には、その方の経歴等を当然、考慮することになりますが、もし、「ビジネス経験が豊富」な仲裁人を選任しようかな、と考えている場合には、その候補者は、具体的にどのようなビジネス、業界、業種に関与していたのかについて、可能な限り深く調査する必要があるなと感じました。

当たり前の話ではありますが、次回、仲裁を実施する機会があれば、十分留意したいと思います。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
1.議事録・稟議書・契約書の書き方 実務マニュアル: 税務調査の事前対策
  (長部 弘氏、馬場 一徳氏著作)
2.中国人OLは見た! 猛毒中国ビジネス(張益羽氏著作)
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日本のPL法では、逸失利益も補償の対象となる件について

今般は、土庫 澄子氏著作「逐条講義 製造物責任法: 基本的考え方と裁判例」を読んでみました。

早速ですが、本書で参考になった箇所を以下に抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋>
EC指令においては、製造物責任によって救済する財産的損害は個人の私的生活における財産的被害に限られています(cf. 85/374/EEC Artc.9)。本法の立法時には、消費者の被害救済を主眼とする本法の救済対象に事業者の営業上の損害を含めるのは適当ではないとの議論がなされました。また、法人の逸失利益を損害とすると賠償額の算定が困難になるとの懸念もありました。
しかしながら、本法は特に被害者を特定せず、賠償される損害の範囲を制限する特別の規定を置くといった立法措置をとるものではありません。したがって、賠償義務の範囲は一般不法行為法の考え方に沿って相当因果関係理論により妥当な範囲が判断されることになります。
<抜粋終了>

ということで、日本の製造物責任法では、法人の逸失利益も補償対象となりうるようですね。
そこで気になるのが、自社で加入している現在のPL保険の内容で十分なのか、という点です。皆さんの会社はいかがでしょうか。

ちなみに、私の所属している会社(商社)は、今、自動車業界に力を入れていますが、自社が自動車メーカーやTier 1メーカーに納入した部材について品質不良問題、製造物責任問題が発生し、顧客の製造ラインがストップした場合、莫大なライン補償を要求されるリスクがあります。

なお、自社が納入した部材に起因して、第三者の身体、生命、財産に損害が発生した場合であれば、顧客の逸失利益分についてもPL保険でカバーが可能かと思われます。

しかし、PL事故に繋がりかねない欠陥が顧客の製造工程や市場で発見され、第三者の身体、生命、財産に損害が発生することは未然に避けられたという場合(=品質不良問題で収まった場合)、顧客への補償という金銭的な負担だけを考えれば、むしろ、第三者の身体、生命、財産に損害が発生してくれた方が、PL保険が適用されて良かった、という非常に不謹慎な話になってしまいます。このような思考をせざるを得ない事態が生じないよう、品質管理を徹底したいものです。

また、ついでに、商社に勤務している私がPL関連で個人的に気になっているのが、以下のようなケースです。

・当社は、汎用品・カタログ品を仕入先メーカーから購入し、顧客に販売。
・当社と顧客との間では基本契約書を締結しており、当該契約書には
 製造物責任条項が定められている。
・当社と仕入先メーカーとは基本契約書を締結していない。
・当社が納入した上記製品に起因して、第三者の身体、生命、財産に対する
 損害が発生。

上記ケースの場合、当社は製造者ではなく販売者ですから、当社が輸入者ではない限り、顧客は製造物責任法に基づいて当社に責任追及することは出来ません。しかし、基本契約書に定めた製造物責任条項に該当したとして、当社に対して債務不履行責任を請求することは出来ます。

なお、製造物責任法の解説(長瀬二三男氏著作)によれば、

<以下、上記書籍抜粋>
最終製品たる製造物の欠陥が、その製造物を構成する部品・原材料に起因している場合の、最終製品の製造業者と部品・原材料の製造業者との関係や、表示製造業者と真の製造業者との関係など、複数の責任主体の関係についても、民法の不法行為責任の場合と同様に解される。すなわち、各責任者は被害者に対して不真正連帯債務の関係にたち、各自が損害一額全額の賠償責任を負うことになる。そして、いずれか一方が賠償すれば他方も賠償義務を免れ、不真正連帯債務者間では、実際に賠償したほうが他方にその負担部分を求償するという関係になる
<抜粋終了>

ようですが、上記ケースで言えば、当社が「債務不履行責任」に基づいて顧客から損害賠償請求を受けて請求に応じた場合、当社は仕入先に対して求償をすることが出来るのか、求償する場合には、どのような法的根拠となるのか、という問題があります。

瑕疵担保責任に基づいて求償する場合、逸失利益まで仕入先メーカーに請求出来るのか、という懸念がありますし、不法行為責任に基づいて求償する場合、仕入先メーカーの故意・過失を当社が立証出来るのか、という懸念があります。

このような問題が生じないよう、品質管理を徹底することはもちろん、万一の場合に備えて、仕入先とも製造物責任条項を定めた基本契約書をしっかり締結したいものですね。

また、仕入先に法的に求償可能だとしても、仕入先に十分な補償能力が無いと意味が無いので、当たり前の話ですが、仕入先の選定時には、仕入先の技術・生産能力に加えて、会社の規模、体力等もしっかり検討したいものですね。

以上、つれづれなるままにPL問題について書いてみました。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
【至急】塩を止められて困っています【信玄】(スエヒロ氏著作)
よくわかる最新太陽光発電の基本と仕組み(東京理科大学総合研究機構太陽光発電研究部門著作)

太陽光ビジネスについて(ややこしい法規制に注意)

最近、訳あって、太陽光ビジネスについて調べておりまして、個人的な備忘の為に、その内容を以下の通りまとめておきたいと思います。
総務・法務とは直接、関係の無い話なのでスルーして下さい。

TO:プロの方
もし、下記の認識が間違っていましたらご指摘下さい。。

1.太陽光パネルが設置された土地の売買について
田舎でドライブしておりますと、突如、何も無い畑の真ん中に設置された、たくさんの太陽光パネルに出くわすことがあるかと思います。

昨今、売電価格が下落している中、このような中古の太陽光設備が設置された土地の売買が活発のようです。これは、太陽光設備のメンテナンスには想定以上のコストが掛り、採算が合わずに手放す人が多くなっている旨、先般、(たしか)日経新聞で解説されていました。

上記以外の理由としては、売電の買取り価格は、あくまで発電計画の認定時点のものが適用されることにあります。その為、「売電価格のまだ高かった数年前に発電計画の認定を受けた太陽光設備の設置された土地」の売買が活発のようで、中には、「売電価格のまだ高かった数年前に発電計画の認定を受けたものの、まだ太陽光設備を設置していない更地」の売買もブローカーの間で活発のようです。

上記のような更地を購入して発電を開始すれば、その時点から最大で20年間、「売電価格のまだ高かった数年前に認定を受けた売電価格」で電気を売れ続けるのですから、打ち出の小槌のようなものですね。

「発電計画について認定を受けた後に太陽光設備を設置しなければならない期限」をルール上、設けなかった行政のミスが原因ですね。お金を持っていて上記土地を買い漁っている会社・人は、上記制度を利用しているだけですから違法でもないですし、単純にうらやましい限りです。

なお、現在では、認定を受けた後、180日を過ぎても太陽光設備の場所や設備の確保が確認できない場合、設備認定が失効する「180日ルール」が2014年4月から導入されており、また、2015年4月から、さらに細かい失効ルールが追加導入されていますので、注視が必要ですね。

2.太陽光ビジネスに関する法規制
そんなに活発なら、「売電価格のまだ高かった数年前に発電計画の認定を受けた太陽光設備の設置された土地」や、「売電価格のまだ高かった数年前に発電計画の認定を受けたものの、まだ太陽光設備を設置していない更地」の仲介・ブローカー活動でもしようかな、という頭の良い?人も出てくるわけですが、このような方にはどのような法規制が適用されるのでしょうか。

まず思いつくのが、土地が関係してくるので、宅地建物取引業法でしょう。

しかし、太陽光パネルがたくさん設置された田舎の土地には、宅地建物取引業法が適用されないケースが多々ありますが、何故でしょうか。

それは、宅地建物取引業法では、同法第2条で定義する「宅地」や「建物」を、反復・継続して売買、交換、貸借の代理、媒介をする場合に適用されるからです。

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<以下、宅地建物取引業法 第2条(用語の定義)の一部抜粋>
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ
当該各号の定めるところによる。
一  宅地 建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法
    (昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号 の
   用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で
   定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの
   以外のものを含むものとする。
二  宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。
   以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、
   交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として
   行うものをいう。

-------------------------------

宅地建物取引業法上の「宅地」は、登記簿謄本上の地目(宅地、畑、山林、原野)とは関係ありません。

また、設置された太陽光パネルは、宅地建物取引業法上、「建物」には該当せず、「工作物」となるようで、上記の通り、都市計画法上、用途地域が設定されていない田舎の土地に太陽光パネルを設置しただけの土地は、宅地建物取引業法の対象外となるわけです。

その為、売買において宅地建物取引業法で求められている「重要事項説明」の必要もありませんので、売主から詳しい説明もなく、土地を購入してみたら、とんでもない土地だった(発電計画の認定を受けていると口頭では説明を受けていたものの、認定がされておらず、売主に文句を言おうとしたら、連絡が取れなくなった)、というオチもあるようです。

また、第三者の委託を受けて太陽光パネルを更地に設置する工事は、建設業法上、「電気工事」に該当します。その為、自身が保有している土地に太陽光パネルを設置する場合には関係ありませんが、第三者(顧客)の為に太陽光パネルを設置する場合には、建設業の免許を保有している必要があります。

その為、上記ルールの隙を突く為、自身で調達した土地に自身で太陽光パネルを設置し、その後、顧客に「分譲販売」する人・会社もいるようです。

ただ、特定の顧客が既にいて、その顧客仕様の太陽光パネルを自身が保有している土地に設置し、その後、その顧客に「分譲販売」する場合、建設業法上、自社が元請業者に該当して、建設業の免許が無いと上記取引は出来ないようですのでご注意下さい。上記グレーなことをしている会社・人はたくさんいるようですが・・。

上記法規制の他、土地が山林にあれば、ややこしい許認可手続が必要となる森林法が適用される場合もあります。

また、行政によっては、太陽光設備の設置について独自の条例を設けているところもあるようです。土地の規模によっては、太陽光設備を設置する土地の周辺住民に対して、太陽光設備の設置について住民説明会を開くことをマストにしているところあるようで、せっかく太陽光発電用の土地を購入したものの、周辺住民の反対にあってなかなか事業が先に進まないケースもあるようです。

その他にも、土地が農地の場合、農地法が適用されて、売買の際には、面倒な事前承認手続が必要となるなど、色々な法規制が絡んできます。

太陽光ビジネスを直接的に規制する法律が無い中、この手のややこしいビジネス分野には、有象無象の者達が跋扈しておりますので、悪いブローカーにだまされて、なけなしの退職金を騙し取られた、ということのないようにしましょう。

3.備考
私が所属している会社や私個人・家族は、上記ビジネスに手を出してはおらず、また、騙されたわけでもありませんが、某理由により調べた結果をとりあえず、上記の通りまとめておきました。

世の中には「太陽光発電アドバイザー」なる資格があるようなので、この勢いで、上記資格を取得してみようかな・・。

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本(社会保険労務士法人 名南経営著作)
中国バブル崩壊 (日経プレミアシリーズ)(日本経済新聞編集)
豊富な仕訳例で世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典(駒井 伸俊氏著作)
72歳はとバス名物ガイドが教える 使える!通じる! おやじギャグ英語術(佐藤卯一氏著作)
週刊 東洋経済 ソーラーバブル崩壊(eビジネス新書 No.98)
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